七草粥とは?
「芹、なづな、御形、はこべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七草」
昔から、この歌ぐらいは知っています。

「なんで七草粥食べるんだろう?」
と妻に聞いたところ、
「お正月に、食べすぎで疲れた胃を、癒す為じゃない」との事。
やっぱり!私もそれは聞いた事がある。

本当のところは、何故なんだろう?
調べてみました。

一月七日は、人日(じんじつ)の節句。
五節句の一つ。
桃の節句、端午の節句や
七夕の節句、重陽の節句と並び、
季節の変わり目を祝う、大きい行事ではないですか!
その一つだったとは、全く知りませんでした。
古来中国では、
正月の1日を鶏の日、
2日を狗(犬)の日、
3日を猪(豚)の日、
4日を羊の日、
5日を牛の日、
6日を馬の日とし、
それぞれの日には、
その動物を殺さないようにしていた。
そして、7日目を人の日(人日)とし、
犯罪者に対する刑罰は行わない。
それで、人の日、人日となったのですね。
また、この日には、
7種類の野菜(七草)を入れた羹(あつもの)《「熱物(あつもの)」の意》
魚・鳥の肉や野菜を入れた熱い吸い物を食べる習慣があり、
これが日本に伝わって七種粥となった。
日本では平安時代から始められ、
江戸時代より一般に定着した。
江戸幕府の公式行事となり、
将軍以下全ての武士が七種粥を食べて人日の節句を祝った。
邪気を払い、万病を除く占いとして食べる。
呪術的な意味ばかりでなく、御節料理で疲れた胃を休め、
野菜が乏しい冬場に、不足しがちな栄養素を補うという効能もある。

また、この日は新年になって初めて爪を切る日ともされ、
七種を浸した水に爪をつけて、柔かくしてから切ると、
その年は風邪をひかない、と言われているそうである。

現在の7種は、
1362年頃に書かれた『河海抄(かかいしょう、四辻善成による『源氏物語』の注釈書)』の
「芹、なづな、御形、はくべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七種」が初見とされる。

春先に採れる野菜の代表を、春の七草としたのだろう。
旧暦の正月は、現在の2月初旬ごろで、
なんとか、これらの野菜が採れたのだろうか?

そして、これが春の七草とその効用。
●せり…………………………………消化を助け、黄疸をなくす
●なずな(ぺんぺん草)………………視力、五臓に効果
●ごきょう(ははこぐさ)……………… 吐き気、痰、解熱に効果
●はこべら(はこべ)………………… 歯ぐき、排尿に良い
●ほとけのざ(こおにたびらこ)……… 歯痛に効く
●すずな(かぶ)………………………消化促進、しもやけ、そばかす
●すずしろ(だいこん)…………………胃健、咳き止め、神経痛
これ自体が、精進料理のようですね。

調べているうちに、
いい歌に出会ったので、
書きとめておく。

百人一首15番
「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ」
光孝天皇

切ない恋の歌だ。君への想いがいっぱいである。
誰のために、雪が降る寒い中、若菜を摘んだのだろう?
はたして、その恋は実ったのだろうか?
 back