国重要文化財・松尾寺本堂(薬師堂)
正式名は医王山、常楽院、松尾寺。
宗派は高野山真言宗。
本尊は薬師如来。

信府統記によると1528年、仁科盛政を開基として創建されたとされる。
仁科氏は鎌倉時代〜室町時代にかけて、
北安曇から南安曇の一部を治めていた豪族である。
しかし、同じくこの地を治めていた古厩(ふるまや)氏によって、
創建されたとの説もあるそうだ。

1870年廃仏毀釈によって廃寺となり衰退し、
仁王堂と本堂(薬師堂、重要文化財)が残るのみとなってしまった。
古くは醍醐寺三宝院の末寺であったが、
明治25年に復興された際、高野山金剛峯寺の末寺となった。

現存する薬師堂(本堂)は、仁科氏文化の特徴を反映した
豪壮優雅な建物として1959年に国の重要文化財に指定された。
本堂(薬師堂)は室町時代末の建立。
建築様式は寄棟造銅板葺き。
三間に三間の寄せ棟造り。
長野県大町市の盛蓮寺観音堂に似ているそうだ。
この張出しの部分、
「く」の字になっている所が、
全国的にも珍しいそうである。
犬走りが広いので、その為に工夫されたのでしょう。
「お大工さん」の苦労の結晶が詰まっています。

この辺りでは、大工さんの事を「お大工さん」と
「お」を付けて、敬称で呼んでいるのです。
始めて聞いた時は、ちょっと違和感がありました。
この屋根の微妙なカーブも非常に美しい。

昭和44年に復元工事がされたらしいが、
それにしても室町時代末の建物が、
よく現存するものだ。
戦国時代を乗り越え、廃仏毀釈をもしのいで、
今ここに、立派に立っている。
それだけで、何だか感動してしまった。
古いものは面白い。

中にたぶん、薬師如来があるのだろうが、
解放はされていませんでした。
薬師如来もぜひ、御拝尊させて頂きたい。
  
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