CLASSIFICATION of ISLAMIC ARCHITECTURE
イスラーム建築種別

神谷武夫

イスラーム建築の種別

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 イスラームというのは ヨーロッパにおける「宗教」よりも もっと広い概念であって、聖典に書かれた内容が 庶民の日常生活までも律する点において、インドのヒンドゥ教に似ている。ヒンドゥ教もまた 単なる宗教を超えた包括的なシステムであって、ムスリムにとっての啓典である『クルアーン』は、ヒンドゥにとっての天啓文学である『ヴェーダ』に相当する。いずれにおいても 神への信仰ばかりでなく、社会生活や政治、経済まで包摂した規範となっている点が、ヨーロッパのキリスト教とは 大いに違う。

 そのことが 建築にも反映していて、ヨーロッパにおいては 宗教建築と世俗建築が 別のスタイルをとるのに対して、イスラーム建築においては、宗教建築としてのモスクが、世俗建築としての隊商宿や病院などと ほとんど同一の建築語彙によって建てられている。まして 両者の中間的存在である学院や墓廟は、モスクと ほとんど何の区別もない。

 別の言い方をするなら、イスラーム建築というのは、アーチやドーム、ヴォールトといった きわめて初源的な構造要素の 反復と組み合わせで構成された、ムスリムのための あらゆる用途の建物をさすのである。時としてそれは ある種の退屈さを導きもするが、建築の原型的な構築性といった性格が、他のどんな文明の建築よりも 強く発揮される。

 イスラーム建築が モスク以外に包含する建築種別には、住宅や宮殿、学院や修道場、隊商宿や浴場、病院や給水所、さらには聖者や王侯のための墓廟などがある。そしてまたそれらが庭園と組み合わせられながら集合して、宮廷地区や商業地区、公共施設複合体や城塞、そして都市全体をも構成していった。この章では、そうした多様なイスラーム建築の種々相を、機能別に見ていくことにする。  (2021/ 05 /03)

住居
ダール、バイト
イスラム建築 宮殿
サライ、カスル、マハル
イスラム建築
学院
マドラサ、メデルサ
イスラム建築 修道場 (NEW)
リバート、ハーンカー
イスラム建築
聖者廟
マザール、ダールガー
王侯の廟
クッバ、グンバト
隊商宿
キャラバンサライ、ハーン、ワカーラ
浴場
ハンマーム
病院
ビーマーリスターン、ダーリュッシファー
公共施設複合体
キュリエ
市場
バーザール、スーク、チャルス
種々の施設
タキーエ、ハマーム
水利施設
カナート、ノリア、サビール
城塞
カルア、カスバ、アルク
宮廷地区
カスル、カーフ、サライ
旧市街
メディナ、イチャン・カラ
庭園
バーグ、ジャンナ
都市
マディーナ、ミスル

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