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あんずのてんかんをめぐるお話(1)

− 初めての発作とてんかんの診断 −

自分の犬が悪性腫瘍(ガン)になったときにもしその知識があったなら、病気に対する構え方はずいぶん違うで しょう。そういう意味で、あんずにてんかんの発作が起こったとき、私に人間のてんかんについての基礎的な知識があったことは幸いでした。つれあいは、それ までに私からてんかんについての説明を聞いていたわけですが、それでさえ、初めてあんずの発作を見たときはかなりのショックで寝込んでしまい、そのまま仕 事を休んだほどです。

私はあんずの発作が「特発性(真性)てんかん」の「大発作」に違いないと思って、かかりつけの獣医師に相 談に行きました。獣医師も、おそらく特発性のてんかんであろうことは視野に入れつつも、「他の病気ではないことを消去法で確認しない限りは、そうとは断定 できない」と言いました。これは医師としては当然の診断です。

初めての発作からその後の数回の発作を見て、結局、心臓病からく る発作とは発作の感じが違いましたし、脳腫瘍であれば、発作が起こってから数ヶ月という間にそれなりの変化が起きているはずだと考えられましたし、ジステ ンパーの症状もありませんでした。そういうことで、あんずの発作が特発性の大発作であることはほぼ確実になったのです。

私は、 自分の犬にある種の発作が起こったときに、飼い主がしろうと判断をしてもいいと言っているのではありません。でも、もし飼い主になんの知識もなく、ただた だかかりつけの獣医師の話を聞くだけでは、もしかしたらそれを唯一の治療方法(選択)だと思い込んでしまうのではないかと思うのです。もちろん、できれば 複数の獣医師の意見を聞くにこしたことはありませんし、必要と感じれば大学病院のほうがより専門的な情報が得られるはずです。できれば、人間のてんかんの 専門医のもとを訪ねてみるのもいいと思います。

その飼い主にはそれぞれの限界があります。例えば、精密検査にはお金がかかりま す。大学病院が近くにない場合もあるでしょう。検査のためには、共働きの場合は仕事を休まなければなりません。MRIやCTの検査は全身麻酔ですから犬に とっては負担になることもあります。だから、とことん調べて原因を確かめたいというのであれば、すべての検査を受けたほうが安心だと思いますし、特発性の 大発作という、ごく一般的な発作だと推察できるときには、そうした時間と手間を省いたほうがいい場合もあります。私たちは後者を選びました。

こ れは犬に限ったことでも、てんかんに限ったことでもないのですが、納得できる医療を受けるためには「インフォームド・コンセント」が必要です。獣医師から 病気(症状)や治療について充分な情報を得ることができ、獣医師になんでも質問ができ、そうしたすべてに同意できるかどうかが第一歩なのです。

うちの主治医はきちんとした説明をし、検査・治療の選択肢も与え、どんな質問にも答えてくれましたから、私たちはとりあえず獣医師の指示に従って、あんずに抗てんかん薬を飲ませることにしました。

― 「お話その2」につづく ―


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