問題無い・補足編 アスカ 降臨
 
 



終章 − 堕天使






「何を言いたいのか、おおよその予想はつくが・・ ともかくそういった状況なんだ」
 どうだろう、レヴィアの件、賛成して貰えないか?」

「まあ、そういう事なら仕方ないわね! それにしてもさすが我らがポインタサタン(第1の魔王)ね、
 人間の女房に逃げられたショックで寝込んでしまうなんて、全く想像すらつかないわ」

「皮肉るなよ。俺から言わせれば君の反応も意外だったぞ」

「どうしてよ?」

「君の事だ、旦那がリリスと2人して人間界に居ると知ったらもう少し怒るかと思ったんだが」

「勿論怒ってはいるわよ。でもアイツはああ見えてすごい考えているのよ。
「魔」 とてしての力を使えば、例え人間としては完璧なリリスといえど所詮は 「人」 なんだから、
 簡単にモノに出来る筈なのに、決してそうしようとはしなかったのはその現れなんだわ」
 
 

 そうなんです。旦那様はいわばその道のプロ中のプロ。

 その気になった旦那様から、”女”として求められるような事になった場合、

 リリス様だけではなく、男女を問わずにそれを拒否する事は誰にも出来ないのです。

 しかし実際の所、旦那様がその能力を使用する事はほとんど無く、

 その能力以外で自分が保持している様々な魅力や、あるいは相手との駆け引き等を通じて、

 実に手間をかけた上で相手をモノにして行っているのです。

 尤も旦那様の言い分を採用させて貰いますと、

 それは 「モノにする」 と言った無粋極まる事では無くて、

 お互いに心を通わせ合う事によって、結果としてその身も一つになりたいと思うようになる。

 というような事らしいのですが、私にはどうも詭弁に聞こえてしょうがありません。
 
 

「なるほどな、けど君もよくそれで我慢できるな」

「我慢出来る訳ないでしょう!
 だからさっきのレヴィアの件、一応賛成はしてあげるけど、そのかわり一つ条件があるわ」

「条件? 条件とはいったい何だ」

「私も人間界に行くわ! これが条件よ、どうかしら?」

「おいおい、ちょっと待ってくれよ」

「でなければ賛成は出来ないわね。どうするのベーゼ? 認めるの、認めないの?」
 
 

 いったいどんな思惑があるのか?

 ベーゼ様はお嬢様の実に意外な提案に考えこんでしまいました。

 夫婦喧嘩はケルベロスも喰わないと申しますが、お嬢様と旦那様が四六時中喧嘩

(とは申しましても、実際の所は浮気が日常の事となっている旦那様をお嬢様がなじる。
 といったものなのですが)

 をなさっている事は魔界では知らぬ者が無い程有名なのですが、

 反面、この2人は何故別れないのか? という事が魔界の7不思議の1つになっているのです

 仲が悪い筈の夫の所へ向かおうとするお嬢様の本心を掴みかねるベーゼ様でしたが、

 なんのかの言っても、やはりこの2人はお互いにこれ以上ないベストパートナーなのかもしれない。

 と思い直し、お嬢様から出された条件を呑む事に致しました。
 
 

「わかった認めるよ。但し、君が人間界に行くのはレヴィアを送った後にして欲しいんだが」

「まあ、それくらいは仕方無いでしょうね。ありがとうベーゼ」

「いや、逆にこちらの方からお願いするべき事なのかもしれない。
 今後人間界に何が起ころうとしているのか、現状では全く予測がつかないでいるのも事実だ。
 もしかしたら、神が人間界のその時に向けて動き始めているのかもしれない」

「考えすぎ・・ とは言い切れないか。
 何しろアイツはかつて神の最も近くに居たんだから・・ そして、アイツはそれに気づいた?」

「そう・・ だとしたら君の旦那がわざわざ人間に転生した説明もつくな、
 我々 「魔」 にはそれを阻止する術は無く、所詮、人間の事は人間が解決するしかないからだ」

「ま、考えててもしょうがないわね、それじゃあベーゼ、後の事は任せたわよ」

「ああ、君も気をつけてな」
 
 

 こうしてお嬢様は人間界に行く事になったのでございます。

 やがてレヴィア様が旦那様と程近い場所に降りられた後、

 旦那様の人間界における母となられる人物、何でも名前は、「碇ユイ」 と言うらしいのですが、

 その女性の親友にあたる人物、こちらは、「惣流・キョウコ・ラングレー」 の娘として、

 人間界で言う所の西暦2001年12月4日、晴れてお嬢様もご降臨なされ、

「惣流・アスカ・ラングレー」 と命名される事となるのです。

 転生された旦那様と最も近しい位置にて、やはり人間としての生を受けたお嬢様だったのですが、

 その後母親であるキョウコのドイツへの引っ越しに伴って、

 遂には旦那様に目通りする事叶わず、自身もドイツへとその身を遠ざける事になってしまうのです。

 お嬢様にとっては誠に予定外の大きな誤算だったと言えましょう。
 

 そしてその後、お二方は14年後の太平洋上でようやくまみえる事となるのですが、

 これ以降のお話しにつきましては、今私の命を受けてこの文を代筆している、

業師」 とかいうヒゲオヤヂが書いている 「問題無い」 というSSの中で、

 おいおい明らかにされて行く事と思いますので、私のお話しはこれぐらいにしておく事に致しましょう。

 尤も、これ迄の章の流れを見てもわかる通り、この「業師」 とかいうヒゲオヤヂ、

 文章の構成力は皆無ですし、表現力も弱いし、そして何より書くのが遅い。

 ときているものですから、果たしてそれがいつの事になるのやら・・

 どうか気を長くしてお待ちになっていてください。

 それでは、序章から始まりましたこの物語。ここら辺で終わりにしたいと思います。

 再び皆さんと会えるか否か、その鍵を握っているのは旦那様な訳でして、

 どうかご声援の程、よろしくお願い致します。

 では、これにて失礼致します。
 
 

魔界の書記官 ρennemue

 
 
 

 天界より遣わされし2番目の使者と、自分の伴侶の相手との噂を聞きつけた

 魔界より遣わされし2人目の少女も、彼を追いかけるかのようにこの地に降り立った。
 
 
 
 
 
 
 
 


管理人のコメント
 『問題無い』の補足編。
 なんと魔界をも巻き込んで壮大なスケールのお話。
 シンジは実は魔界から降臨した、デルタサタン(第3の魔王)だったとわっ。
 そして、アスカとシンジが実は魔界で夫婦だったとわっ。(*^^*)
 リリスはやはり、あの娘でしょうねぇ。(^^;
 うーむ。
 『補足編』でようやく『問題無い』の全容がわずかならが明らかになってきました。
 しかし、まだ多くの謎が解き明かされていません。
 ポインタサタン(第1の魔王)とは、そして人間界に降臨したレヴィアとは?
 さらに神が動きだした、人間界の「その時」とはっ?
 
 その答えは――
 『問題無い』本編を待つとしましょう。(^^)
 
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