おいらのご主人様日記 -1-



  

やぁ、皆。

おいら、『青子』。

これからちょいとおいらの話に付き合ってくれよ。

まぁ退屈させない程度に面白く、短く纏めるからよ。

おいらの生まれはここ東京、育ちも東京。

そう、生粋の東京っ子さ。

見てみろよ。この洗練された純白のボディに引き締まった胸筋。

格好良いだろ?



・・・おいおい、そこで何で引いちまうのかなぁ。ノリが悪いんじゃねーの?

まぁおいらがこの親から貰った体と、名前を大層気に入ってるって事が分かって貰えりゃ良いんだけどよ。

え?おいらの名前がおいらとミスマッチだって?

しょうがね―じゃん。

おいらの名づけ親がおいらの性別を最初見間違えてたってのが原因なんだから。

一度付けちまった名前ってのは変え辛いだろ?

もう面倒くせーし、おいらは気に入ってんだから、問題ねぇってこった。

え?そりゃおかしいんじゃないかって?

えぇっ?!学校でからかわれないかって???

はっはっは。なんか誤解してんじゃねーの?

賢明なお客さんは気が付いてるよな。

おいら、ハトだぜ。ハト。

平和の象徴たる、真っ白いハト。

飼い主は・・・そう、黒羽快斗ってんだ。

未来の大マジシャンで、今は訳有りで怪盗キッドなんてやっている、ミラクル高校生の黒羽快斗。

おいらの名前はそんなご主人様の大切な幼馴染の、青子ちゃんから貰ってきたのさ。

青子ちゃんだなんて馴れ馴れしいんじゃないかって?

おいらに言ってるの?それ。

おいらこれでも生まれた時から優秀で、いっつもご主人様の懐にスタンバってる言わばご主人様の懐刀的存在なんだぜ?

当然青子ちゃんとも超ラブラブな関係さ。

ご主人様がし掛けるマジックで青子ちゃんのふわふわな髪の毛の中や、肩の上や、時にはスカートの中に入り込むのは当然おいらの役目なのさ。

そんじゃそこらの下っ端にやらせられるか?!こんな大役を。

青子ちゃんってさ〜。めちゃ良い匂いするんだぜ〜。

おいらが青子ちゃんの傍にいると自然とその匂いがおいらの白い羽に移っちまうんだ。

そうすっとだな。

ご主人様はおいらをなかなか離したがらないってのはココだけの話。

ご主人様は本当においらが見てもじれったくてしょうがない。

青子ちゃんが好きなのは一目瞭然で、そのくせ、一緒にいると憎まれ口しか叩かない。

そこらのお嬢さんがたに色気振り向く前に青子ちゃんにこそその気障な台詞を贈るべきだとおいらは思うわけ。



だってさ〜。

ご主人様、寝言で青子ちゃんの名前呼ぶんだぜ〜。

決まって怪盗キッドが活躍した夜に。

小さな声で1回だけ。

切なそうに、大切そうに、呼ぶんだ。

そんなの聞いちまったらおいらの方がドキドキして眠れなくなっちまうよ。

ハトは夜眠らないと大変なんだぜ。まったく。



青子ちゃんは確かにちょっと子供っぽいところがあるけど、おいらは知ってるんだぜ。

歳を重ねる毎に青子ちゃんが綺麗になってること。

今や振り向かない男がいない程きらきら輝くような可愛い女の子になっちまった。

うかうかしてると攫われちまうよ。ご主人様?



だからおいら、今日はちょっとした二人のきっかけになれば良いなぁと思って、青子ちゃんのうちに家出してきたんだ。

聞き間違いじゃないぜ?

『家出』だよ『家出』。

ご主人様の懐を抜け出して帰宅する青子ちゃんの肩に降り立ったんだ。











「あれ?君、快斗のハトさんだよね。」

「ぐるっぽぉ。(そうだよ。青子ちゃん。)」

「快斗はどうしたの?」

「ぐるっぽぉ。(今、必死でおいらを探してると思う)」

「もしかして、快斗の所に帰れなくなっちゃったのかなぁ?」

「ぐるっぽぉ。(おいら目を瞑っててもご主人様のところに帰れるぜ。今日はちょっと訳有りでね。)」

「うう〜ん。1度青子の家に一緒に行こうね。それから快斗に連絡するから。それで良い?」

「ぐるっぽぉ!(作戦成功!これでご主人様おいらの事迎えに来るに違いない!)」





† TO BE CONTINUED †

  


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