032.カーチスNC飛行艇[アメリカ海軍]

NAVY-CURTISS NC- FLYING BOAT [U.S.A-NAVY]

全幅:38.40m、全長:20.85m、総重量:12,925kg、最大速度:497km/h/3,950m、

発動機:カーチスリバディ400馬力×4、燃料:7,150リットル、乗員:6名、

原型初飛行:1918年10月4日

                               Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

        

 1909年ブレリオ機が英仏ドーバー海峡の横断飛行機に成功すると、次の目標は大西洋に向けられ、デイリーメール紙は「最初に大西洋無着陸横断飛行に成功すれば1万ポンドの賞金を出す」と発表した。しかし、当時の航空技術ではそんなに容易な話ではないというより、とんでもない話であった。

 無着陸飛行の前に、飛行艇でもって島づたいに大西洋を横断する試みがなされた。飛行艇であるのは万一の不時着をしても海上に浮いていて救助を期待してのことであった。

 1919年米国海軍中佐A.G.リードと5人の乗組員E.ストン、W.ヒントン、I.プリース、H.ロッド、E.ロードは海軍とカーチスが共同開発したNC大型飛行艇4号機(上のイラスト)で、他にNC1号機、3号機とともに3機でニューファンドランドのトレパシーを5月16日に飛び立ち、アゾーレス諸島(ポルトガル領)を経由してリスボンに着き、そして5月31日に最終目的地の英国プリマスに到着した。 島伝いといえ大西洋は広く大きかった。

 しかし僚機のNC3号機は途中で不時着水し、その後2日間荒れた海を走って自力でアゾーレス諸島にたどり着いている。その時は主翼も尾翼も無くなるボロボロの姿であった。また1号機は夜暗と霧に阻まれて5月17日に2,270キロ先で海没してしまったが、乗員は幸運にも無事救助されたという。

 この後、本当の意味での大西洋無着陸横断は翌6月14日にビッカース・ヴィミー(双発複葉陸上機)に乗ったJ.アルコックとA.ブラウンが不屈の精神で達成しデイリーメール紙の賞金を得た。

                                                 (クローズアップ)

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