289.グラマン G22 "ガルフホークU" スポーツ機 [アメリカ]
GRUMMAN G22 "GULF-HAWK ll" SPORT PLANE[USA]

全幅:8.69m、全長:7.06m、総重量:1,905kg(曲技1,627kg)、

発動機:ライト・サイクロンR1820‐Gl 1,000馬力、

最大速度:464km/h/3,660m、航続距離:1,900km/320km/h、

乗員:1名、初飛行:1936年12月

Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

 ガルフ石油会社の航空機部長だったアルフォード・J・ウィリアムスが、グラマン社に開発させた高速・曲技スポーツ機である。

 1936年の12月に引き渡され、アメリカ国内はもちろん、ヨーロッパにも遠征して、各地の航空ショーで華麗な演技を展開した。

 G22"ガルフホークU"は、アメリカ海軍の最後の複葉戦闘機グラマンF3F‐2と並行して開発され、基本的には同じ機体だが、航空母艦に着艦するための拘束フックや武装を取外して軽量化されているので、主翼は、より高速を狙うために、翼幅が1.07m小さい前作F2Fのものが組み合わされている。支柱や張線を張り巡らした複葉機は空気抵抗が大きいから、高速飛行に向かないが失速特性が良好なので大迎角飛行を多用する空中格闘戦やアクロパット飛行に適している。

 アメリカ海軍が引込脚を使って高速化を図りながら複葉戦闘機にこだわっていたのもそのためだった。ウィリアムスがドイツを訪れた時、第一次世界大戦のエース、曲技飛行の名手、そして再建されたナチス・ドイツ空軍では空軍大将・航空兵器局長官となったエルンスト・ウーデットが、この飛行機への搭乗を強く希望した。

 将軍にはなっていても、天才的な曲技飛行家といわれたウーデットには、この飛行機で曲技飛行を行なう誘惑を押さえ切れなかった。空中格闘戦から一撃離脱へと戦闘機の戦法を転換していたドイツ空軍には、もうガルフホークIに対抗できるような出技機は残されていなかったからだ。


 G22はスミソニアン航空宇宙博物館に保管されている。


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