039.陸軍甲式4型戦闘機

Army Ko-4 Fighter (Nieuport 29C 1)

全幅:9.70m 、全長:6.44m、 総重量:1,160kg、 最大速度:232km/h
発動機:三菱イスパノスイザ水冷V8気筒 300馬力、
武装:7.7mm機銃×2、乗員:1名
国産機初飛行:1923年12月

Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

 第一次大戦後、フランスは世界の航空界に冠たる地位を確立し、特にドラージュ氏設計によるニューポール機とエルブモン氏設計のスパッド機との白熱的なスピード争いは世界の航空界を沸かせ注目を集めていた。本機はそのドラージュ氏の傑作といわれているフランス空軍の制式戦闘機ニューポール29C 1型で、陸軍は現用の丙式1型及び甲式3型に代わる戦闘機として選定し、初期は約100機完成機で輸入しニ式29型戦闘機と称した。中島飛行機(株)を創業した中島知久平は、予てからフランスの航空技術に注目していたが、パリに派遣していた弟、乙未平を通じて製造ライセンスを取得し、大正12年12月に1号機を完成した。

 甲式4型というのはニューポール29C‐1に対する日本陸軍の制式名称で、甲式はニューポール社を意味し、四型とは同社の他の機材が既に3種陸軍に採用されていたことを示している。因みに乙式はサルムソン社、丙式はスパッド社である。

 その後昭和7年に91式戦闘機に代わるまでに608機を生産し、陸軍として初の大量生産の戦闘機となった。機体はそれまでの陸軍戦闘機と異なり、当時としては非常に進歩的な木製モノコック構造の流線型をした胴体で、芯型に薄くスライスした木板を交互に巻きつけて貼り合わせながら曲面をつくる、今日の炭素繊維複合材構造のはしりともいえる木製モノコック構造だった。この方式から生まれた平滑な表面をもつ流麗な形状の胴体と主脚の付根に取付けられた空気抵抗の小さいルンブラン式冷却器を採用していた。発動機にはイスパノスイザ水冷8気筒エンジン(300HP)を装備し、世界一級の快速複葉機であった。

 しかし低速時の横滑りやエンジン冷却器の不調などがあり整備面でも不便が多く、木製モノコック胴体も整備屋泣かせであった。満州事変期に第一線配備されたが、敵機の来襲がほとんどなかったので、本格空中戦歴はなく、その後、民間に払い下げられ練習機などにも用いられた。

 ちなみに後期国産機の価格は17,500円であった。

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