後に陸軍に九七式指令部偵察機として制式採用されるキ-15の試作2号機を、朝日新聞社が譲り受けたのがこの神風号(J-BAAI)である。
1937年4月6日、立川飛行場を離陸し、イギリス国王エドワード6世の戴冠祝賀に向かう。15,357kmを94時間17分56秒(実飛行時間51時間余)でロンドンのクロイドン飛行場に到着。外国の著名な飛行機が失敗した難コースに、日本人開発のエンジンを搭載した日本人設計の飛行機が、日本人パイロットの操縦で挑み、記録を作ったのだから日本中が大騒ぎだった。
ベースとなったキ-15は、陸軍より視界と武装の要求を緩めて高速度機をとの指示に基づき、河野文彦技師を設計主務として取り組んだ。胴体は理想的な流線形化を図り、風防も段差のない横開きとしたが、主脚は故障を心配して大きなスパッツに覆われた固定式とした。1937年試作1号機が完成し、予期以上の成果であったが、やはり視界不良と、捻り下げが無いため大迎角時に失速しやすいと評価されたが目的遂行には我慢どころであった。制式採用後、性能向上のため発動機はハ-26(瑞星)に換装され、総数437機が生産された。
ちなみに神風号の1937年は、東京-札幌の定期航空路か開設されたり、関東・東北地方で初の防空演習が行われた年でもある。
小池さんに、この飛行機どうですか?とたずねると、「カウリングは太いのにスマートですね。う-ん、エポックメイキングな飛行機だから描かないわけにはいかないでしょ」。どうも、あまり好みではないらしい。
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