ボートF4Uコルセアがアメリカで最初に2,000馬力級エンジンを搭載した戦闘機なら、イギリスでの最初はこのタイフーン。
初飛行もF4Uとほほ同じ時期にあたる。意欲的な設計で斬新なスタイルのF4Uに比べると、無造作なラジエーターの取り付け、重苦しいほどに厚い主翼が目を引き、なんとも無骨な戦闘機だ。第一次大戦時のSE5aを、「飛行機は体力で乗りこなせ、と言つているみたいで、いかにもイギリスらしい」と評した小池さんの言葉が思い出される。
機体尾部が強度不足でちぎれたり、エンジンの信頼性が低かったりと問題もあったが、実戦に投入されてみると対地攻撃に大活躍。ノルマディー上陛作戦では、26個のタイフーン隊が、決定的役割を演じたと言われる。だから、戦闘機というよりも戦闘爆撃機として記憶している人が多いに違いない。作品は鱗明の鉄道車両基地を低空でいくタイフーン。ナチスドイツ占領地域の補給路遮断で名を上げた機体にふさわしい設定だ。 |