時代が戦争へと加速を始めたころ、各国は制空用大型戦闘機の開発を競っていた。そんな中で注目を集めたのがこのメッサ一シュミットBf110。
高速と強力な武装が売り物だったが、実戦では速度も、運動性も不足で、爆撃機を護衛するはずのBf110に護衛機が必要だと皮肉られるほどだった。
しかし、レーダーの出現により夜間戦闘機に生まれ変わる。サイズが大きい初期のレーダーを搭載するには大型の戦闘機が必要だったからだ。日本海軍の「月光」も同じような運命をたどったのがおもしろい。即ち長距離制空戦闘機としては失格だったが、二式陸上偵察機として採用後、高名な斜銃を搭載し夜間戦闘機として活躍した。
小池さんの作品には、本当に多彩な色、表情を持った空が登場するが、この作品の空は、地上よりも一足遅く夕暮れが訪れ金色に輝く雲海。輝く雲海の遥か向こうに、沈む太陽が見えてきそうだ。 |