映画「頭上の敵機」や「メンフィスベル」の主役となった第二次世界大戦の代表的4発戦略爆撃機。
この爆撃機が日本海軍の前進基地ラパウルの上空に現れたときには、ゼロ戦が誇る20ミリ機関砲を射っても射っても墜ちないと大問題になった。
前後、上下に配置されたサーボ式動力駆動銃座、防弾鋼板に包まれたパイロット、生ゴム層をサンドイッチにした厚いゴム袋式自動防漏タンク、一万メートルの高々度飛行を可能にする排気タービン過給器付きのエンジン、そして高々度からの精密爆撃を可能にする極秘のノルデン式爆撃照準器と、この爆撃機は当時世界をリードしていたアメリカの工業技術を集約した、まさに難攻不落の「空の要塞」だった。
その「空の要塞」がヨーロッパに転戦し、大空を覆い尽くすような大編隊で、ドイツ本土の戦略物資の生産工場に襲いかかった。別画のフォッケウルフFW190戦闘機の中にあるように、ドイツ空軍も総力を拳げて、この大編隊を迎え撃った。
ヨーロッパの亜成層圏に飛行機雲が交錯する壮絶な航空戦が展開され、さすがの「空の要塞」も大きな被害を出したが、アメリカ第8空軍は怯まずに空襲を反復した。その戦闘を背景につくられたのが冒頭の映画である。画は最後の量産型となったG型の機、最も多くの出撃回数を記録した好運の機体をモティーフにしている。 |