銃座を背負い、迷彩をほどこした軍用機にしては大きな窓を持つアブロ・アンソン。それもそのはず、インペリアル航空の注文で開発された小型旅客機アブロ652Aをべースにしている。大きな窓から想像がつくように、胴体は鋼管溶接羽布張りという保守的な構造だった。
しかし使いやすさは抜群で、パイロットや無線通信士、旋回機銃の射手などの訓練に、そして連絡・輸送などに幅広く活用され、"頼りになるアニイー"のニックネームを頂戴したほど。寿命も非常に長く、大戦後もローカル線用の旅客機として生産が続き、10年以上も現役を務めあげたことになる。
「ドーバー海峡の空をイメージしています」と小池さん。雨が多く、よく荒れることで知られるドーバーだが、折よく晴れた大空を飛ぶアブロ・アンソン。あまり直接の戦闘には参加せず、戦前・戦中・戦後の空を飛び続けたこの飛行機には、のどかな明るい大気がよく似合う。 |