1932、3年になると、欧州各国では低翼単葉の高速戦闘機が出現し始めた。その先頭を切つて登場したのはアメリカのボーイングP26だったが、ソ連もほぼ同時期に、設計者のポリカルポフがI-16を開発し、低翼単葉のうえに引込脚の戦闘磯を世界で最初に正式採用した。
しかしスペイン内乱や中国の戦場で、機動性に優れ格闘戦に強いイタリアや日本の戦闘機と戦ったパイロットたちには大不評であった。急きょ、時代に逆行するように複葉戦闘機
I-15のエンジンを強化、引込脚にし、高速性と機動性の両立を狙つたのがチャイカ I-153である。
1,000馬力のエンジンを複葉機の機体に付けたのだから、見るからに胴体が太い。小池さんは、そんなチャイカを左下方からのアングルで描き、その重量感を強調したかったらしい。そうなると背景の色は黒がぴったり。まるで鉄の塊が飛んででくるように見えてくる。 |