371.NAKAJIMA TYPE 2 Kou FIGHTER "SHOUKI" (Ki44) [JAPAN-ARMY]

Engine: NAKAJIMA HA-109 14-cylinder double-bank Radial at Air-cooled 1,450 HP ;
Dimenions: wingspan 9.45 m ; length 8.90 m ;
Weight: 2,765 kg (loaded) ; Maximum speed: 605km/h (5,200m) ;
Armament: 4-12.7 mm machine guns ; 250 kg of bombs
Crew: 1
First Flight : Aug. 1940
Illustrated by Shigeo Koike , イラスト:小池繁夫氏

371.中島 ニ式単座戦闘機「鍾馗」(キ44)[日本一陸軍]

 昭和17年1月、マライに進出した独立飛行第47中隊の黒江保彦大尉の搭乗する「鍾馗」は、テンガー英空軍基地上空でブリュースター・バッファロー戦闘機群と遭遇した。ピタリと1機のバッファローの後背位にくいついた黒江機は、快速にものをいわせて追尾し、1機2機と連射を浴びせた。必死で逃げるバッファローは滑走路の上空50メートル位の低空を飛び抜ける。追尾する黒江機が5撃目をかけようとした一瞬、バッファローは前方の小高い丘を避けきれす、接触炎上してしまった。

 これが「鍾馗」の実戦のプロローグであった。黒江氏は戦後に本機の思い出として「小じんまりとした短い翼、引き締まった精悍な胴体、それにちょっと頑丈そうな機首、スピードに重点が置かれたこの傑作機は、第一号撃墜(上記)の栄誉を持つ私の最も印象に残っている。小気味よい出足、素晴らしい上昇力、軽快な舵の効きなど、私個人にとっては非常に感動的な飛行機でした」と語っている。

 昭和15年8月に初飛行を行った後、改良を重ね、昭和16年夏に各務ケ原飛行場にてドイツから輸入したメッサーシュミットBf109E型戦闘機と模擬空中戦を行ったところ、速度・上昇力・空戦能力ともに同機を上回る優れた性能を示し、同年9月に制式機となった。

 ここで設計者の一人中島飛行機の内田政太郎技師の手記から当時の比較試験を紹介しよう。

・・・Bf 109機がパイロットとともに我が国に来た機会に、各務ヶ原飛行場で川崎キ-61-1型(飛燕)と「鍾馗」キ-44-1型との3機で各種の比較試験が行われた。Bf109は翼面荷重約165kg/m2でダイムラーベンツ水冷発動機を搭載したドイツ自慢の戦闘機、スロッテッドフラップに更に自動的に作動する前縁スラットを装備している。

 川崎キ-61も同様なダイムラーベンツのエンジンを搭載した水冷の傑作試作機である。この3機が並んだところを見ると、水冷のスマートな2機にくらべて、胴体だけで飛ぶような感じの鍾馗の姿が異様に目立っていた。

 試験の結果は、速度では3機とも大差はなく、上昇性能および出足の点ではキ-44鍾馗が最も良かったが、着陸に関しては一番難しいということであった。 3機が並行に最大速度で飛んだとき、低速で待ち合わせて絞り弁を開いたのでは鍾馗が飛び出してしまう。ちょうど100m競走でフライングをしてしまうのと同じ感じであった。

 ドイツのパイロットも、この飛行機が使いこなせたら大きな威力になるだろうと話していた・・・。

 初期の試作及び増加試作型は二式戦闘機一型とよばれ発動機はハ-41(1,250馬力)を搭載していたが、量産は「二型甲」と呼ばれハ-109(1,450馬力)に換装された。

 下のイラストは量産後期型の乙型で、本土防衛B29攻撃用に40mm機関砲を装備したものもある。なお鍾馗の制式名称は「二式単座戦闘機」で「二式単戦」よばれ、また「鍾馗」の文字も戦時中は「鐘馗」とも書かれた。

illustrated by Mr shigeo Koike

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