これだけ目的と性格を明確にして製作された飛行機も珍しいのではないだろうか。シュトルヒは、できるだけ狭いスペースから離発着することを追求した飛行機。いわば現在のSTOL(Short
Take Offand Landing:短距離離着陸機)の元祖とも言える。
なにしろ着陸時の速度はたったの39km/h、向かい風なら15mもあれば着陸できたというのだからすごい。その代わり華奢な体に似合わず翼面積が26平米もあり、最大速度は175km/hに過ぎなかった。
「北アフリカの風景写頁が手元にあり、それをバックに飛行機を飛ばしてみたいと思ったらシュトルヒだったんです」と小池さん。北アフリカ戦線でロンメルが好んで搭乗偵察した機体でもあったが、ヨーロッパの田園ではなく北アフリカの荒涼とした大地を飛ぶグライダーのような姿には、何か冒険飛行の孤独感を感じさせるものがある。
先般米国オハイオのライトパターソン空軍航空博物館で見た同機の写真をご覧ください(クリック)、主翼前後の高揚力装置(スロッテッドフラップなど)が良く分かります。 |