「フランスの田舎町を走つているバスが、空に浮かび上がったような飛行機ですね」と思わず感想を言つたら、「ええ、フランスらしいこだわりのある、かわいい飛行機です」と小池さん。
ところが、"かわいい"どころではなく、当時は最新税の画期的な旅客磯だった。木金混製・高翼単葉のフォッカーF
VII が最新鋭機だった時代に、全金属製外皮構造・低翼単葉という革新的な設計で登場したのがウイボー・ベノー。
282.Tの原型である280.Tは、1930年のパリ航空ショーの花形だったという。パリ〜プラハ〜イスタンブール線やパリ〜ロンドン線などで活躍。283.T12などの改良型を加えて合計18機生産されたが、設計・製造メーカーのウイボーは第1次大戦後に誕生し、第2次大戦直前にプレゲ一社に吸収された短命な企業だったため、この飛行機を知る人は少ない。 |