三菱の局地戦闘機「雷電」の開発が思うに任せず、急遽、水上戦闘機「強風」の機体を基礎にして開発されたのがこの紫電。
強風のエンジン"火星"に換えて、まだ試作段階だった中島製の "誉"を搭載し、主翼と胴体はそのままに尾翼を改造、車輪を付け、20mm機関砲2門を増加、そして水銀U字管をセンサーとした自動空戦フラップを装備した。
上昇力、空戦性能は良好でほぼ満足できる性能だったが、 中翼ゆえに主脚が長く独創的な2段式引き込みを採用したが装置故障が多発、前下方の視界不良やエンジン不調にも悩まされた。
そこで、エンジンに合わせた胴体に再設計し、低翼に改修するなどして、より洗練された機体としたのが有名な「紫電改」。正式には紫電21型と呼ばれている。
「でも紫電改よりも強そうで好きなんです」と言う小池さんが作品に描いたのは、大地と海面が強い日差しに黄金色に光つて見えるほど高々度をいく紫電。日本機にはないたくましさを感じる作品だ。 |