新津中央コミュニティ協議会環境・緑化部会において「セイタカアワダチソウ」駆除のための勉強会を行うことになったことから、当方としても資料提供すべく、各種資料(「参考資料」のところに掲載)をもとに作成し、その後更に一部内容を追加したものである。 |
学名:Solidago canadensis
英名:Canada golden-rod(「カナダの金色の鞭」の意)
キク科 アキノキリンソウ属であり、アキノキリンソウ属にはアキノキリンソウやミヤマアキノキリンソウ等の日本在来種も含まれる。アキノキリンソウは秋葉丘陵にも自生している。
北アメリカに自生する。北アメリカでは鹿等の野生草食動物の食草となる他、放牧地(野草放牧地)では牛等の放牧家畜の食草にもなっている。
地下茎を有する多年草。春には地下茎から茎が伸び上がる。茎は分枝せず、1〜2m(肥えた土では3m以上にも)伸びる。花期は10月〜11月。黄色い円錐型の花を咲かせる。種子は冠毛を有するが、冠毛全体が「泡立つ」ように見えることと、草丈が高くなることから「セイタカアワダチソウ」の名がついた。
根は地下50cmの深さまで伸びる。
弱アルカリ性の肥沃な土壌を好むが適応性はかなり広く、乾燥地から湿潤地まで多くのところに生育できる。川の土手や河川敷、人手が入った空き地等によく生えている。
根は地下深くまで伸び、地中深くに蓄えられた養分を吸収することができる。
地下茎により周囲に勢力を拡張する。また種子によっても繁殖する。なお、虫媒花であり、昆虫により受粉する。
地下茎に蓄えられた養分が多いため、地上部を刈り取っても容易にはこれを絶やすことはできない。
根からは周囲の植物の成長を抑制する化学物質(cis-DME:シス-デヒドロマトリカリエステル)を出す(アレロパシー)。このことにより周囲の植物の生育を阻害し、勢力を拡大する戦略をとる。しかしこの物質はセイタカアワダチソウ自らの生育をも阻害する。
北アメリカ原産。日本には明治時代末期に切り花用の観賞植物として導入されたが、これが全国に広まったのは戦後である。その原因は、アメリカ軍の輸入物資に付いていた種子により全国に広まった、あるいは養蜂家が蜜源植物として利用するため各地に種を播いた等であると考えられている。
その後セイタカアワダチソウは日本全国に爆発的に広がった。昭和40年代以降には北海道や沖縄には比較的少ないものの、全国、特に関東以西から九州にかけて広く見られるようになった。
その理由としては次のようなことが考えられる。(@、Aは広く伝播した理由。B〜Dはそれが定着し、繁茂するようになった理由)
セイタカアワダチソウが全国的に繁茂するようになった時期に、花粉症が問題となったことから、セイタカアワダチソウが花粉症の原因と見なされたこともあった。
花粉症はスギ等の風媒花を有する植物が大量に飛散させる花粉によって引き起こされる。即ち虫媒花は昆虫により確実に花粉の媒介がなされるために、花粉の量は少なく、また花粉の粒子も比較的重いために遠くまで風に飛ばされることはない。一方で風媒花の花粉は風により移動する必要があるために軽く、また花粉が雌花に到達できる可能性は極めて低いために大量の花粉を飛散させる必要があり、これが花粉症の原因となる。
セイタカアワダチソウは虫媒花であり、花粉症の原因にはならない。「セイタカアワダチソウは花粉症の原因」というのはセイタカアワダチソウにとっては「ぬれぎぬ」だった。開花期が秋で花粉症の原因植物となるのにはブタクサ、オオブタクサ、ヨモギ、エゾヨモギ、カナムグラ等がある。
平成になるころから、それまでセイタカアワダチソウが繁茂していたところで、草丈が低くなる等その勢力が衰える傾向が見られるようになった。 その理由としては次のことが考えられる。
これらのことにより、それまでのような爆発的な勢力拡大には衰えを見せ始め、また既存のセイタカアワダチソウについても草丈が低くなる等の傾向が見られるようになった。またセイタカアワダチソウの勢力にかげりが見えてきたことから、ススキ等の在来野草の中には勢力を回復してきているものもある。
元々日本へは観賞用の花としてもたらされたという経緯からもわかるように、開花期にはセイタカアワダチソウの群落は黄色の花で覆われ、これはこれで結構美しい。しかし大型の植物であり、一面黄色の花になるということは日本人の美意識にはそぐわないのかもしれない。
また多量の地下茎は傾斜地等における土砂流失防止、土壌保全機能も有している。嫌われ者のセイタカアワダチソウだが、悪いことばかりしているわけではなさそうである。
セイタカアワダチソウにより日本在来の希少植物が影響を受けるような場合には、これを駆除することが重要であるかもしれないが、そのようなことが無い場合にはそれほど神経質に考えることはないのかもしれない。
刈り取ることによって、その後に再生してきたものは草丈が低くはなるが、絶滅させることはできない。なお開花後のまだ種子が成熟していない時点での刈り取りは種子により広まるのを防ぐことが期待できる。
地上部を抜き取っても地下茎はほとんどそのまま残る。地上部を全て抜き取った場合、多少勢力は衰えるものの、また新たな芽が伸びてくる。この方法では完全に取り除くことはできない。
土を掘り起こして地下茎を取り除くこともできるが、多くの労力がかかる反面、地下茎の一部でも残っていれば、そこから新たな芽がでてくる。
これを駆除するためにはグリホサート系除草剤による方法しかなさそうである。なおグリホサート系除草剤を散布した場合、セイタカアワダチソウだけでなくほとんど全ての野草が枯死する。セイタカアワダチソウだけを駆除したいのであれば、開花期(花により他の植物と区別しやすい)にセイタカアワダチソウだけに除草剤を散布する方法が良い(スポット処理)。
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セイタカアワダチソウが枯れた後そのままにしておくと、元々土壌中にあった、あるいは新たに飛来してきた雑草種子が発芽し、定着する。場合によってはブタクサ等の花粉症を引き起こす植物が繁茂する可能性もある。
グリホサート系除草剤を使う場合は、セイタカアワダチソウを駆除した後、そこをどのような植生にすべきかを決めておき、事前に必要な種子や苗を準備し、セイタカアワダチソウが枯死した後に播種あるいは植え付けを行うことが重要である。
当家の隣に空き地があった。ここは以前はブドウ畑であったが、ブドウを撤去した後、数年間は空き地となっていた。この間にセイタカアワダチソウを主体とする雑草が繁茂する状態となっていた。
2006年10月にここを借り受け、家庭菜園とすることとし、セイタカアワダチソウを主体とする雑草にラウンドアップ(グリホサート系除草剤)をかけた。この時のセイタカアワダチソウはまだ開花前であった。
その後順次土を掘り起こし、家庭菜園とした。畝作りを始めた最初はまだ地上部が十分に枯れる前であったが、刈り倒してから耕起した。後半の耕起作業の際には雑草は枯れた状態であった。
除草剤が十分にかからず枯れなかったものがあったので、そのような個体には再度除草剤を散布した。最終的には全面を家庭菜園とした。
翌年以降は畑の脇等にわずかにセイタカアワダチソウが生え出るが、問題となるほどではない。