平成6年10月20日,草地試験場(本場)は一般公開を実施した。一般公開は草地試験場が行っている試験研究の目的や現状を広く知って貰うことを目的として3年に1回程度行ってきたもので,前回は平成3年10月23日に行っている。
一般公開開催後に来場者名簿,アンケートのデータ及び西那須野町立西小学校二年生の感想文(文章と絵)によってその評価を試み,次回開催の参考としたい。
来場が見込まれる畜産関係者,西那須野町や近隣市町の人々に知って貰うため,事前に次のような宣伝活動を行った。
一般公開は平成6年10月20日(木曜日)午前10時から午後4時まで実施した。
第1会場として第三共同実験棟及び草地基盤研究棟を,第2会場として農機具整備工作室,乳用牛肥育試験舎等のある地区とし,それらをつなぐ順路脇に見本園及びコスモスロードを配した。
第1会場には来場者の受付及びアンケート回収所を設置した。また受付脇には各研究部長等による相談コーナーを設けた。なお,午後強風に見舞われたため,相談コーナーは撤去し,受付及びアンケート回収は草地基盤研究棟入り口に移動した。第三共同実験棟1階の2部屋を研究紹介等のための展示室とした。また,入口には歩行型体重計を設置した。GGホールにおいては,午後1時より山本克巳・土壌肥料第1研究室長による講演(家畜糞尿の処理と利用−堆肥化)を行った。
牧草見本園では職員による説明を行った。また,第1会場と第2会場を結ぶ道路の脇にはコスモスを植栽した。
第2会場は,試食・即売コーナー,らくがきコーナー(白いロールベールサイレージに自由に絵を描く),牛舎,羊・山羊のふれあい牧場,サイロクレーンや飼料(ロールベールサイレージ)の展示及び業者による最新の農機具の展示等を配置した。
受付において来場者に記入して貰った。その結果611件,1313人の記名があった。開場時より1時間毎の来場者数を把握するとともに,住所,職業(所属),性別,大人・子供別人数を把握した。
職業欄等は①一般,②公的機関,③団体,④企業,⑤学校,⑥外国,⑦老人福祉施設入居者,⑧職員家族に区分した。このうち公的機関,団体,企業,学校については更に所属団体等の性格により細区分した。なお,職業欄の記載が「農業」,「主婦」,「無職」とあるもの,あるいは職業欄に記載のないものについては,個人とみなし,「一般」に区分した。なお,当日韓国畜産試験場より草地試験場を訪れていた韓国畜産試験場職員は「外国」に区分した。アジア学院の外国人学生については「学校」に区分した。
住所区分については,西那須野町,大田原市,黒磯市,矢板市,塩原町については集落毎に,これ以外のものについては市町村毎に区分した。
記載した代表者以外の性別が不明な場合があり,男女別区分においては性別不明の区分を設けた。子供については高校生,小学生,幼稚園,幼児とした。親子連れの場合の子供の欄の人数については幼児とみなした。
来場者にはアンケート用紙を含む各種資料を手渡した。アンケートは帰り際に記入し,提出して貰った。アンケート提出者には粗品を手渡した。アンケート回収数は224であった。
記載内容については,職業,一般公開を何によって知ったか及び催し物に対する評価等について分析した。
催し物は,「研究紹介」,「牧草見本園」,「農機具」,「サイロクレーン」,「飼料」,「講演」,これ以外のものとして「ふれあい牧場」,「らくがきコーナー」,「試食・即売」等でこれらについての評価を分析した。
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来場者総数1313人を職業別にみると,一般が667人と最も多く全体の約半数を占め,次いで学校関係,公的機関,企業,職員家族,老人福祉施設,外国,団体の順であった(表1)。なお,一般来場者には職業を農業とした人及びその家族26人(大人23人,子供3人)が含まれる。
一方アンケートでは主婦が最も多く106人と約半数を占め,これに続いて学生,公務員,製造業,サービス業,無職,農業(酪農・畜産)であった。団体,農業(耕種),流通・小売,建設業,報道等は少なかった(表2)。
来場者のかなりの部分が家庭の主婦であり,これは開催当日が平日(木曜日)であって,一般の勤労者は来場できなかったことに加え,農家においては農作業等の関係から来場する余裕がなかったものと想定される。
職業区分で公的機関,企業,団体としたものについては,一部を除いて農業・畜産関係の機関等であり(表1),新たな知見,知識を深めることを目的としたと考えられる。
機関区分 | 団体数 |
公的機関 団体(農業関係が主体) 企業 学校 外国(韓国畜産試験場) 老人福祉施設 |
15 11 17 8 1 2 |
来場者名簿に記載された団体,企業等の数は54となっており,その内訳は公的機関15,団体(農業関係が主体)11,企業17,学校8,老人福祉施設2,外国1であった。
このうち公的機関については,農林水産省試験研究機関2(農業生物資源研究所と同放射線育種場),その他の農林水産省機関5(統計情報事務所等),他省庁2(宮内庁御料牧場他),県立の試験研究機関2(栃木県酪農試験場,茨城県畜産試験場),県の行政機関2(大田原農業改良普及センターと黒磯農業改良普及センター),市町村役場2(西那須野町と那須町)となっている。特に人数の多いのは草地試験場に隣接する栃木県酪農試験場の20人,団体で来場した宮内庁御料牧場の19人である。
団体では農協のうち全国連3(全農,全開連,全酪連)県連2(栃木県経済連,栃木県酪連),農協2(栃木県酪農農協,栃木県三和酪農農協)となっている。農協以外の畜産関係団体では全国団体2(畜産技術協会,飼料作物改良増殖研究所),県団体1(栃木県畜産会)となっている。そして農協及び畜産関係団体以外の農業団体1(日本石灰窒素工業会)となっている。
企業では畜産関係2,畜産関係機械・資材4,農機具メーカー4,出版社2,銀行1,その他の企業4となっている。人数の特に多いのは草地試験場に隣接しているホウライ(千本松牧場)の10名である。なお,畜産関係,畜産関係機械・資材及び農機具メーカーは一般公開において展示された農機具等の関係者と思われる。
学校関係では3校の大学(宇都宮大学,新潟大学,東京農業大学)からの来訪があった。人数では最も近距離にある宇都宮大学が11名と最も多い。また,新潟大学が遠方であるにもかかわらず5名の来場となっている。新潟大学の廣田教授が日本草地学会の会長であることから,学生に対する呼びかけがあった可能性がある。
高校,小学校,幼稚園がそれぞれ1校ずつ団体で来場しており,この他に小学校1校から教師1名が来場している。また,西那須野町にあるアジア学院から教師,学生合わせて18名が来場している。(表1)
団体で来場した高校,小学校,幼稚園は事前に案内状を送付し来場を勧誘したところである。那須拓陽高校は農業高校の性格が強く,授業の一環として来場したものと思われる。西小学校二年生及び西那須野幼稚園においては学校外における社会学習の一環としての来場と考えられる。
表5 性別、年齢区分別人数(単位:人)
大人・子供別,子供については高校生,小学生,幼稚園,幼児に区分し,更に氏名により性別区分を行った。来場者総数1313人のうち大人が862人(男322人,女328人,性別不明212人),子供451人(高校生56人,小学生69人,幼稚園205人,幼児121人)で,大人では男女がほぼ同数となっている。 公的機関,団体,企業関係の来訪者は圧倒的に男性が多い。学校関係でも大人(教師)は男性が多かった。また,一般来場者計667人のうち大人は553人(男170人,女302人,性別不明81人),子供(幼児)は114人であり,大人では女性が男性より圧倒的に多数となっている。これを地域的にみると,西那須野町(男:69人,女:233人)及び大田原市(男:12人,女:30人)では女性が男性よりも多く,塩原町(男:16人,女:13人),黒磯市(男:13人,女:11人)ではほぼ同数,これ以外の市町村では一部を除いて男性が多かった。この中には職業欄に記載はしなかったが,職業を農業とするものに加えて企業,団体に勤務する人等,本来は他の区分に属すべきものが含まれている可能性がある。 子供のうち高校生(56人),小学生(69人),幼稚園児(205人)についてはそれぞれ那須拓陽高校,西那須野町立西小学校及び西那須野幼稚園が団体で来場したものである(表1)。 ④ 地域別来場者数
個人の意思で来場したとみられる一般来場者について地域別に区分した(表6)。 一般来場者667人のうち西那須野町内が422人(63.3%)と過半数を占めた。県内市町村では,大田原市56人,塩原町44人,黒磯市32人となっており,これら2市1町に那須町,矢板市を加えた西那須野町周辺市町村からの来場者は合わせて144人(21.6%)となる。また,宇都宮市が25人で,栃木県全体では627人(94.0%)と一般来場者のほとんどを占め,栃木県以外からの一般来場者はわずか40人(6.0%)となっている。 このように近距離からの来訪者が主体となったことは,草地試験場との距離の問題の他に,ポスターの掲示や回覧板等による広報活動が地元の西那須野町に偏ったものによると思われる。なお,隣接する塩原町の関谷地区からの来場者が比較的多かったが,ここは酪農家が多いことに加え,草地試験場とも距離的に近いことや,日常においても塩原町中心部よりも西那須野町がより身近なものとなっており,西那須野町内のポスターにより当一般公開を知ったものであろう。黒磯市の青木地区からの来場者も多かったが,ここも酪農地帯であり,草地試験場との協力関係にあることに加え,草地試験場からの,あるいは農協等を通じての案内の効果があったと考えられる。 宇都宮市からの一般来場者が比較的多かったが,これは本来農業関係の機関・団体に所属し,あるいは宇都宮大学関係の人で,来場者名簿には職業名等を記載しなかったために,集計上一般来場者に区分された可能性がある。この他についても本来関係機関等に所属している人の一部が職業欄未記載により一般来場者とみなされているものが含まれていることも考えられる。 近県では,福島県,茨城県,千葉県,埼玉県からの来場があった。これらの中には草地試験場OB等や,塩原温泉に来た際に立ち寄った人等が含まれているものと思われる。なお,遠方では秋田県大潟村,宮城県栗原郡若柳村から各1名が来場している。 ⑤ 時間帯別来場者数来場者総数の約半数が開場後1時間(10時〜11時)に来場した。これは学校関係(西那須野町立西小学校,西那須野幼稚園)の352名が集中して来場したことによるが,一般来場者においても全体の36.3%がこの時間帯に集中した。開場から13時までの3時間に73%が来場し,開催時間の前半に集中する傾向があった。このことは公的機関,団体,企業関係来場者においても同様な傾向が見られた(表3)。 午後天候が悪化し,強風に見舞われたことも要因の一つと考えられるが,一般来場者の多くが女性であり,その中でも家庭の主婦がかなりの部分を占めていると考えられ,家庭内の朝の仕事を終えた後の時間的に余裕のある時間帯である昼前後の来場が多くなったものと考えられる。また,来場者にとっての魅力の一つが試食・即売であると考えられることから,売り切れないうちに早めに来場しようとする意識がはたらいたことも要因の一つかもしれない。 ⑥ 何によって一般公開を知ったか
アンケートの「草地試験場一般公開を何によって知ったか」の設問に対し,最も多かったのは「職場・学校で聞いた」であり,次いで「知人から聞いた」,「町の広報」となっているが,いずれも20%前後の値となっている。これらに続いて10%前後となっているものに「ポスター」,「案内状」,「回覧板」と続いており,「横断幕」,「公民館案内」,「新聞」は低い値にとどまっている(表4)。 このように職場・学校で,あるいは知人から聞いたという間接的な情報入手が主体であったことがわかる。「職場・学校で聞いた」ものについては,関係団体や西那須野町及び近隣の学校に対する事前の開催案内によるものであろう。一方「知人から聞いた」ものについてはこれらの事前案内に加えてその他のPR活動(ポスター,案内状等)からの間接的な情報入手であると考えられる。 何によって一般公開を知ったかは,性別及び年代別にも特徴がみられ,「職場・学校で聞いた」,「案内状」では男性における比率が女性を上回り,一方「知人から聞いた」及び家庭内に配布・回覧される「町の広報」,「回覧板」,「公民館案内」では逆に女性の比率が男性を上回った。 年代別では「職場・学校で聞いた」は男性では10代から30代にかけて,女性では20代が多い。「知人から聞いた」では男性では各年齢区分に比較的まんべんなく分布しているのに対し,女性では30代及び40代に多く分布している。特に40代女性(19人)のうち半数を超える10人が知人から聞いたとしている。「町の広報」は男性には該当人数が少なく,年代別傾向は明らかではなかったが,女性は特に30代で人数,比率とも高い値となっている。 ⑦ 催し物等に対する評価
催し物に関するアンケート結果をそれぞれ比較すると,開催時間が限られ,同列には比較できない「講演『家畜ふん尿』」を除いた各催し物において「面白かった」とする割合は,試食・即売>牧草見本園>研究紹介=ふれあい牧場>農機具展示>らくがきコーナー>飼料展示>サイロクレーンの順となっている。これを男女別に見ると,男性では研究紹介>農機具展示>試食・即売>牧草見本園>ふれあい牧場>飼料展示=らくがきコーナー>サイロクレーン,女性では試食・即売>ふれあい牧場>牧草見本園=らくがきコーナー>研究紹介>農機具展示>サイロクレーン=飼料展示の順となっており,男性では研究や技術の紹介に関するものについての評価が高いのに対し,女性ではその他の催し物の評価が高い傾向が見られた(表5)。 男女ともに「面白かった」とする人が少ない(以下「評価が低い」という)ものは「サイロクレーン」及び「飼料展示」であったが,飼料展示はロールベールサイレージが置いてあるだけで見ごたえのある展示内容とはなっておらず,サイロクレーンも実際には稼働していなかった。 一方,「研究紹介」,「農機具展示」に関しては女性の評価が低かったが,これは女性が「技術やメカに弱い」といわれることによるものかもしれない。また,研究紹介コーナーは「見なかった」とする割合が27.5%と男性の約2倍あったが,会場が他の催し物と離れた場所にあったことが足を遠のかせる原因であった可能性がある。試食・即売等を実施している近くに,気軽に出入りできるような展示方法であれば,女性における評価は上がった可能性がある。このように展示コーナーの配置には一層の工夫が必要であったと思われる。 一方,試食・即売コーナーに比較的近い位置にあった「農機具展示」においても女性の評価が低いことは,農機具が一般の女性の興味をひくものではなかったことや,農機具を展示した農機具会社も,農家に見て貰いたい,そして買って貰いたいとの思惑から,農業とは直接関係ない一般来場者(特に女性)に見て貰うことに十分配慮していなかったと思われる。 6.西那須野町立西小学校二年生の感想文
来場した西那須野町立西小学校二年生(69名)のうち,63名が書いた感想文(文章と絵)が送られてきたので,文章及び絵の記載内容を分析した(表6)。 文章に最も多く記述されたのは試食関係であり,その中では焼肉>トウモロコシ>枝豆>牛乳の順に多く書かれていた。次に多かったのがふれあい牧場として展示していた家畜で,書かれていた数は羊>牛=山羊の順であり,子供にとっては大形の家畜(牛)よりも羊のような小型の家畜に関心が向く傾向があるように思われた。なお,実際には展示していなかった家畜についての記述があった(兎3件,馬1件)が,これも感想文が見学後に記憶に基づいて書かれていることに加えて,兎や馬は子供が比較的関心を寄せやすい動物であることが考えられる。 研究紹介を行った展示室及び展示内容に関するものは合わせて16件あった。この他に道路脇に植栽したコスモスに関するものが多かった。ロールベールサイレージを利用した落書きコーナーについては8件と少なかった。 絵については「焼肉」が最も多く22件あり,次いでコスモスの12件,トウモロコシの9件であった。 7.考察〜来場者の性格来場者名簿及びアンケートの双方により、来場者の約半数は主婦で占められていることがわかる。次いで学校関係(学生、生徒、園児及び引率教師)となり、老人福祉施設等を含めた農業・畜産に直接関係のない人が来場者のほとんどを占めていた。これは開催当日が平日(木曜日)であり、一般の勤労者は勤務時間で来場できず、時間的余裕のある主婦が多く来場したものと思われる。 アンケート回答者の約半数が主婦であったことはアンケートによる各種展示や催し物等の評価にも大きく影響しているものと考えられる。今後一般公開を行う場合は、主婦等の畜産に関心の薄い人に興味を持ってもらい、このことを通じて関心を深めてもらうような展示紹介に心がけることが重要であると思われる。 また学校関係では事前に西那須野町内を主体とする学校、幼稚園に対しPRしたことに加えて、農業関係の那須拓陽高校が草地試験場一般公開は農業関係の催し物である関係から来場し、西小学校二年生については、草地試験場への往復に路線バスを利用することも含めた学校外での社会学習という側面を有していた。西那須野幼稚園においても社会見学の一環としての来場と考えられる。大学関係では宇都宮大学が最も多かったが、この理由としては大学に対してポスター等を送付し学生への周知を図ったこと及び農業関係の学部を有する大学としては最も草地試験場に近かったことが考えられる。しかし比較的遠方にもかかわらず新潟大学からの来場者が5名もいたことは、草地学会会長でもある廣田教授の口添えがあったのではないかと察せられる。 また、来場者名簿で職業を農業とした人(大人)が23人であり、アンケートにおいても職業欄の農業(酪農・畜産)が11人、農業(耕種)が3人と期待を下回る人数となっており、事前の広報宣伝活動においては、農業者に対するPRを更に行うことが必要であると思われる。 来場者名簿による職業区分で公的機関、企業、団体としたものについては、一部を除きほとんどが農業・畜産関係のものであり、これらに所属する来場者については草地試験場一般公開により草地・畜産関係の知識を深めることを目的として来場したものであると考えられる。 一般来場者の市町村別内訳では西那須野町が63.3%と過半数を占めた。またこれに次いで近隣市町村及び栃木県の県庁所在地である宇都宮市が多く、これ以外の遠方の市町村では県庁所在地である宇都宮市を除いては1市町村当たり最大6名であった。このことは、草地試験場との距離の問題もあるが、ポスターの掲示や回覧板等による広報活動が地元の西那須野町に偏ったものであり、西那須野町と近隣市町村とで来場人数に大きな差がみられることからしても近隣の市町村においては十分な広報活動を展開できなかったことが大きな要因であるように思われる。なお、隣接する塩原町の関谷地区からの来場者が比較的多かったことは、ここが酪農地帯であり、農協等からの何らかの開催に関する通知・案内があったことが考えられる。また西那須野町の近くにあり日常の行動において塩原町中心部よりも西那須野町がより身近なものとなっており、西那須野町内に掲示して合ったポスターにより当一般公開を知ったものであることが推測される。黒磯市の青木地区からの来場者が多かったことについても、ここが酪農地帯であることから草地試験場からの案内状、あるいは農協等を通じて知った等が考えられる。また、宇都宮市からの一般来場者が比較的多かったが、これは本来農業関係の機関・団体に所属し、あるいは宇都宮大学関係の人が、来場者名簿には職業名等を記載しなかったために、集計上一般来場者に区分された可能性がある。県外についても本来関係機関等に所属している人が含まれていることも考えられる。 時間帯別来場者数では開場後1時間(10時〜11時)に来場者全体の約半数が来場したことになるが、これは学校関係(西那須野町立西小学校、西那須野幼稚園)の352名がこの時間帯に集中して来場したことが大きな要因であるが、一般来場者においても全体の36.3%がこの時間帯に来場しており、開場から13時までの3時間に73%が来場する等開催時間の前半に集中する傾向があり、このことは公的機関、団体、企業等の区分においても同様な傾向が見られた。午後天候が悪化し、強風に見舞われたことも要因の一つと考えられるが、一般来場者の多くが女性であり、その中でも家庭の主婦がかなりの部分を占めていると考えられ、家庭内の朝の仕事(朝食の片付け、掃除、洗濯等)を終えた後の余裕のある時間帯を利用し、しかも午後は買い物や夕食の準備等があるため、それらの間の時間帯である昼前後の来場が多くなったものと考えられる。また、来場の目的の大きな部分が試食・即売であると考えられることから、試食・即売するものがなくならないうちに早めに来場しようとする意識がはたらいたことも要因の一つと考えられる。 8.アンケート等の分析結果から見た反省点① 事前のPR活動西那須野町内におけるPR活動はかなりの程度行ったものと考えており,今後来場者数の増加を期待するのであれば,西那須野町以外の近隣市町村におけるPR活動(ポスター,案内状等)を一層積極的に行う必要がある。 また,「何で一般公開を知ったか」について男女間に違いがみられることから,主婦等女性の来場を拡大するためには町の広報,回覧板,公民館案内,あるいはスーパー等店舗におけるポスターの掲示を増やすことが重要と考えられる。 一方,農家に対する直接的なPRは特に草地試験場が協力を願っている農家等一部に限られ,農協等を通じた農家へのPRはやや手薄であったと考えている。農家や畜産・農業関係者の来場を勧誘する場合は農協等の関係機関を通じ,あるいは直接農家へ案内状を送付する等が必要であると考えられる。 なお,国道400号線にかかる陸橋に設置した横断幕については,実際に設置すると意外に小さく見え,特に開催日の文字が小さすぎ,走行する車からは見づらいものであった。このため,もっと大きな(幅広な)ものにし,字もより大きなものにすべきであった。 ② 来場者と展示内容来場者の多くが主婦であったことは各種展示や催し物等の評価に大きく影響している。今後は,畜産に関心の薄い人に理解を深めて貰うような展示紹介(方法,内容)にも心がけることが重要であると思われる。 ③ 来場者への対応開場早々に来場者がつめかけたことにより,受付における対応が十分ではなかった場面もあった。十分な態勢で受付を開始することが必要である。また,各種展示や試食・即売コーナーにおいても開場時には来場者への対応ができるように早めの準備を行うことが重要である。 ④ 午後の来場者を増加させる開場後昼過ぎまで時間帯では,これ以上の来場者は受け入れ困難な状況も見受けられた。来場者総数の増加を図るためには,午後からの来場者数の落ち込みをいかにしてくいとめるかが課題となる。そのためには一般来場者向けの催し物(ゲーム等)を午後に企画する等も考慮されてよいのではなかろうか。 |