top > 一寸コラム>新津老人福祉センター「秋葉荘」の廃止問題(2009.6.26)

新津老人福祉センター「秋葉荘」の廃止問題

この「一寸コラム」においては、これまではどちらかといえば日本全体に係る話題をとりあげてきたが、ここでは当方の地元(新潟市秋葉区)の問題を取り上げる。

秋葉区には35年の長きにわたり高齢者の福祉施設として親しまれてきた、新津老人福祉センター「秋葉荘」がありますが、これが来年3月末をもって廃止され、取り壊されるという問題が起こっています。

これは新潟市の行政方針として、秋葉区内にある福祉関係諸団体やコミュニティ関係団体の事務所や活動場所を、駅前の旧バスセンター跡地に新しく建てる「新津本町地区コミュニティセンター(仮称)」に一まとめにしようという計画によるものです。

しかし、このことは地元住民や秋葉荘の利用団体には事前には知らされず、その概要が地元町内会長に知らされたのは、秋葉荘の廃止がもう後戻りできなくなった昨年9月であり、更に詳しい説明会が持たれたのは秋葉荘利用団体に対しては本年3月そして地域と秋葉荘利用団体への説明会(秋葉荘利用団体に対しては都合2回目となる)が5月24日に行われた(詳細は後記)。

この間に秋葉三町内の役員会や老人クラブでは、ぜひ「秋葉荘」を存続してほしいとの強い要望があり、事前に三町内の会長名で市長及び区長に質問状を出しましたが、区役所からの回答は誠意のあるものではありませんでした。

現在、老人福祉センターは一年中、秋葉町内はもとより周辺地域の高齢者の方々の色々な趣味のサークル活動などに利用され、特に2階の大広間は空きがないほど賑わっています。

また、やはり色々な団体の活動に大いに利用されている本町二番館も取り壊され、この機能も新しい施設に移されることになっています。このようなことから、新しい施設は部屋の数が不足してくることが心配されます。

これに対して秋葉区当局は5月24日の説明会に先立って「新津本庁地域コミュニティセンター利用希望事前アンケート」を行い、この結果に基づき秋葉区役所としては「施設(部屋)に不足はない」と判断したようですが、これはアンケートに対して各団体から回答があったもののみの集計であり、実際にはアンケートの意図がわからなかったり、あるいは新施設が利用しづらいとして回答しなかったものもある(5月24日の説明会での参加者からの発言)。

このことは利用団体の方でも新しい施設は使いづらいとの見方をしているということでもあり、またそのようなことからアンケートに対する回答が少なかったことにつながり、利用希望数が少なかったことから秋葉区役所側としては「施設(部屋)に不足はない」と決めつけたものです。正しく利用団体の意向を調べようとするならば、利用を希望しないとする団体に対してはなぜ利用しないのかを、また回答しなかった団体に対しては利用希望の有無を職員が出向くなり電話するなりして再調査すべきであったと考えます。そのようなことをせずに回答のあったもののみの集計により「施設(部屋)に不足はない」と決めつけたことは意図的な情報操作とも考えられます。(このことについては下記のように5月24日の説明会でも参加者から指摘があった) 5月24日に秋葉区役所担当者が秋葉3町内、秋葉荘利用団体に対する秋葉荘廃止についての説明会が行われた。

ここで秋葉荘の建物が老朽化していることに加え耐震基準を満たしていないこと等からバスセンター跡地に建設中の総合福祉会館に秋葉荘の機能を移転すること、跡地は洪水防止用の遊水池とすること等の説明があった。

説明会参加者からは、地元・利用者の意向を全く聞かないままに行政サイドの独断で秋葉荘を廃止するということが決められたことに対する批判や、補修によりまだ使えるのではないか、また新たに建設中の総合福祉会館では、秋葉荘と同様に利用できるのか、十分な駐車場はあるのか等の質問がだされた。

秋葉区役所担当者からは、「地元・利用者への説明が不足していた」、「利用団体に対するアンケート結果では設備(ホール、研修室等)に十分余裕があり、不足することはない」、「駐車場は身体障害者用6台分のスペースがある」等の説明があったが、これに対しても地元・利用者側からは「アンケート結果は回答があった分のみで、アンケートの意図がわからなかったり、あるいは新施設が利用しづらいとして回答しなかったものもあるのではないか。答えなかった団体の意向再調査も必要」、「高齢者における車の利用も多く、駐車場は絶対的に不足」、「地元の意向も聞かないで廃止を決めたのは問題がある」、「秋葉荘は緊急時の避難場所としても必要」等の意見が出された。

これらに対して秋葉区担当者からは十分に納得できる説明はなされず、地元・利用者には大きな不満が残った。秋葉区役所としては地元の合意が得られなかったため、改めて説明会を行うこととなった。なお、参加者からは篠田市長自ら住民に対して説明して欲しいとの要望も出された。

そして7月6日に改めて説明会が行われることになったが、その案内文書は「秋葉区の安心・安全のための多目的広場の整備について」と題されており、秋葉荘を取り壊してその後に広場(実際は遊水池を設け、そこを平常時には広場として使う)とすることを議題とするとしており、ここでは秋葉荘の廃止・取り壊しは既に決まったことと決めつけており、5月24日において地域の同意が得られなかったことに対する2度目の説明会という意味合いは全くない。

地元としても既に決められたことであり、実際には秋葉荘存続は無理であろうとの見方もあり、これまで利用していた秋葉荘同様に新しい施設を使いやすくしてもらうような方向で話し合いを持ちたいとも考えていたところであるが、5月24日の説明会においても区役所側には誠意は見られず、7月6日の説明会案内文書にもペンディングとなっていた秋葉荘廃止・取り壊し問題を再度議論するというものでなく、「老人福祉センター秋葉荘跡地活用…」とし、秋葉荘廃止は既定のことと決めつけたような言い方(秋葉区の態度)を見ると、地元としても反発せざるをえない。

このような秋葉区役所の地元の意向を無視し、区の一方的なやりかたも「地域主権」を掲げる篠田市政の下で行われているのである。篠田市長の掲げる「地域主権」の考え方が市長個人に止まることなく、市政全般にそして市役所職員全体に浸透してほしいものである。

(2009.6.26)


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