当方、一人暮らしではあるが、以前から食事のほとんどは自炊であり、おせち料理も全て自作している。以前は職場の「御用始め」の挨拶の後は、職場内で即席の「新年会」となることが多く(しかしその後は規律が厳しくなりこのようなことは行われなくなってきたが)、その際に手製のおせち料理を出したりもしていた。
退職後もおせち料理は作っており、自宅での正月三が日の食事に供している。また一月二日にいとこ宅でいとこ兄弟とその家族そして私も加わった新年会を行うのだが、その際に手製のおせち料理を持って行っている。というのもいとこ宅でも最近ではおせち料理は2〜3品作るにとどまり、当方のようには作らないようになってきている。新年会の料理は仕出し屋からとった料理が主体となっている。即ちいとこ宅での新年会でも本格的なおせち料理は当方が持っていくものが主体なのである。
当方がまだ若い頃はおせち料理というものは家で作るのがあたりまえであった。そのころから既にデパートや有名な料亭等でおせち料理の詰め合わせを売り出すようになっていたが、値段も数万円もするものが多く、一般庶民の感覚からすれば高嶺の花の感が否めなかった。
しかし今や多くの家庭において、おせち料理は作るものではなく買うものになってしまった。おせち料理に限らず日常の食事そのものにおいて、多くは半製品を買ってきて家で最後の仕上げをするだけというものになってしまった。
ところで、今回当方が作ったおせち料理(一部本来のおせち料理以外のものも含まれているが)とその材料、材料の産地等は次のとおりである。
料理名 | 材料 | 原材料 | 原材料 産地区分 |
加工 場所 |
購入(入手) 場所 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
雑煮 | もち | もち米 | 新潟県 | 新潟県 | スーパー | |
鶏肉 | 国内 | 国内 | スーパー | 鶏の飼料はほとんどが輸入 | ||
ニンジン | 千葉県 | − | 露天市 | |||
小松菜 | 自家産 | − | 家庭菜園 | |||
のし鶏 (のしどり) |
鶏ひき肉 | 鶏肉 | 国内 | 国内(ひき肉加工) | スーパー | 鶏の飼料はほとんどが輸入 |
鶏卵 | 新潟県 | − | スーパー | 鶏の飼料はほとんどが輸入 | ||
パン粉 | 小麦 | 輸入 | 国内 | スーパー | ||
炒りごま | 黒ごま | ミャンマー又は パラグアイ |
国内 | スーパー | 白ごまを使いたかったが、手元に黒ごましかなかったので、黒ごまを用いた 黒ごまの原産国は製造販売者のホームページより調べた |
|
高野豆腐の含め煮 | 高野豆腐 | 大豆 | 輸入 | 国内 | スーパー | |
昆布巻き | 昆布 | 北海道 | 国内 | スーパー | ||
かんぴょう | ユウガオ (ウリ科) |
中国 | 栃木県 | スーパー | かんぴょうは国内産との思いこみから原産地表記を確認しないで買ったが、これは中国産であった | |
牛肉(もも肉) | 宮城県(牛(交雑種)飼育) | 東京都(と畜) | スーパー | 牛の生産地及びと畜した所は牛の個体識別情報検索サービス(家畜改良センター)により調べた | ||
酢ばす | レンコン | 新潟県(五泉市) | − | 露店市 | ||
手綱こんにゃく | こんにゃく | こんにゃく芋 | 国内 | 福島県 | スーパー | |
ホタテ貝の含め煮* | ボイルホタテ | ホタテ貝 | 青森県 | 国内 | スーパー | |
タケノコの含め煮 | タケノコ水煮 | タケノコ | 国内 | 岐阜県 | スーパー | |
ねじり梅(ニンジンの甘煮) | ニンジン | 千葉県 | − | 露店市 | ||
椎茸の含め煮 | 干し椎茸 | 椎茸 | 国内 | 国内 | スーパー | |
ブロッコリーのお浸し* | ブロッコリー | 自家産 | − | 家庭菜園 | これを「松」に見立て、「ねじり梅」、「タケノコの含め煮」と共に松竹梅をあらわした。 | |
のっぺ (里いもをベースとした煮物) |
里いも | 自家産 | − | 家庭菜園 | ||
レンコン | 新潟県(五泉市) | − | 露店市 | |||
ニンジン | 千葉県 | − | 露店市 | |||
ギンナン | 新潟県(JA北越後管内) | − | 露店市 | 新発田川東産(飯豊銀杏栽培組合) | ||
鶏肉 | 国内 | 国内 | スーパー | 鶏の飼料はほとんどが輸入 | ||
ちくわ | 魚肉 | 不明 | 愛知県 | スーパー | ||
おろしなます | 大根 | 自家産 | − | 家庭菜園 | ||
ニンジン | 千葉県 | − | 露店市 | |||
打豆 | 大豆 | 新潟県 | 新潟県 | 露店市 | 近隣の農家の手製か? |
注1. | 原材料・素材産地区分及び加工場所欄、国内で具体的な場所がわかるものは当該県名を記載した。国内ではあるが具体的な場所がわからないものは「国内」と記した。 |
2. | 料理名に"*"が付いているのは本来の「おせち料理」ではない。 |
3. | 昆布巻きの芯には通常ニシン等が使われるが、当方はニシンの香りがあまり好きではないため、いろいろと試行錯誤した結果、近年は牛肉(もも肉)を使っている。 |
4. | 「露店市」とあるのは、毎月1と6のつく日(1ヶ月に6回)に、新津駅近くの駐車場で行われる露店市場。(通称「1・6市」) |
ご覧になっておわかりいただけるように、その材料のほとんどが国内産である。これらの材料の中にも輸入ものも多く売られているものもある。椎茸、ボイルタケノコ、鶏肉、打豆等々。これらについてもできるだけ国産のものを選んで買うようにした結果である。なおかんぴょうは原産地が中国となっているが、これはまさかかんぴょうまで輸入されていようとは思ってもみなかったため、原産地表記を確認しないで買ったためである。それにしてもかなりの国産品割合となった。
できあいの「おせち料理」ではこれ程の国産品利用は不可能であろう。肉類はもちろん、レンコン、タケノコといった野菜類も輸入したものである可能性が高い。そもそも一次加工した農産物(食品)として輸入されるものも多い。国産の農産物をできるだけ使おうとすれば、出来合いのおせち料理ではなく、家庭で作るに限るし、またその材料を買うに際してもできるだけ国産のものを選ぶようにしなければならない。
おせち料理にしても、また日常の食事を作るに際しても余程自覚し、輸入物が多い中から国産物を探したりあるいは価格が高くなることをも覚悟しなければ国産品を使う割合は高くならない。今のように食品、食材の輸入が多くなる前は、さほど自覚していなくても結果としてそのほとんどが国産食材を使ったものになっていた。産地を気にしなくても結果的に買った物の多くが国産品であるような状況になってほしいものである。
作ったおせち料理(雑煮を除く) | お皿に盛りつけたもの | |||||||
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