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緊急提言:安保法案に反対する

自民党は安保法案を強行採決しようとしている。なぜ安倍自民党は安保法案に固執するのであろうか?以下は当方の想像であるが…

安倍首相及び自民党のかなりの人達はこれまでの日本のありかた、即ち平和を希求することを第一義としてきた基本理念を「もの足りない」ものとし、もっと威を張りたいという(意識してか、あるいは無意識のうちにかは別にして)願望があるものと思われる。もっと直接的に言うならば、大東亜共栄圏を目指してきた戦前の日本を理想としているのである。

しかし、今すぐに世界に威力を振りかざすには力不足である。そのためには現在のところ最大の大国である米国の陰にかくれ、米国との集団的自衛の名目のもとに自衛隊の強化を図るとともに、米国に協力するとの名目で世界各地で軍事力を行使しようとするのであろう。このことを通じて防衛のための実力から攻撃のための実力を備えたもの(即ち実質的な軍隊)にし、また実際に武力を行使するという実績を作ろうとしていると考える。そして次の段階としては米国との同盟関係から離れ、それまでの間に強化してきた武力を背景に世界に威をふりかざし、特にアジアにおける盟主として君臨したいのであろう。

武力により地域を支配しようとすることは(米国を武力強化の当面の隠れ蓑にしようとする事を別にすれば)第二次世界大戦に至る日本、あるいはヒットラーによるドイツとの二重写しのように見える。

奇しくも、以前に麻生氏による「ナチス政権の“手口を学んだらどうか”」の発言が思い起こされる。麻生氏のこの発言は事実誤認(「ワイマール憲法はいつの間にか変わっていた」というのは間違いで、ワイマール憲法は変わってはいなかったが、ナチスにより無効化されていたのである)であるが、安倍自民党の狙っているのはまさにナチスの手口をなぞるように、安保法案により実効的に憲法の平和主義を葬り去ろうとしているように思われる。その先には「憲法の平和主義はもう実質的には無効になっているので、現実に合わせた憲法改正をしよう」ということになるのであろう。

自民党は国政選挙において、これまでそれまで低迷してきた日本の経済の立て直しを声高に叫び、憲法改正や安保法案につい国民に問うてこなかった。マニフェストには小さく入ってはいたが、これを直接的に論じてはいなかった。保守層にもこのことに対する懸念(憲法は守りたい、平和国家でありたい)があったのである。

国民に問うてもいなかった事を、そして今でも国民の多くが反対していることを安倍首相及びその同調者の個人的な思いからこれを強行するというのは日本国憲法の理念に照らして考えればこれに大きく反していることは明らかである。

また、安保法案の国会審議においても、安倍首相や中谷大臣(防衛大臣、安全保障法制担当)等は、野党の質問に対してまともに応えようとはせず、肩すかしの答弁ばかりを繰り返してきた。安保法案の建前と本音の違い、そして本音の部分には触れられたくない。そして憲法違反の法案を何とか憲法に抵触しないと言い張らなければならない。等々安倍自民党の苦し紛れの強弁が繰り返されてきた。

これに同調する「平和の党」を標榜してきた公明党の変節ぶりも甚だしい。自民党に寄り添わなければ選挙における当選もままならないという事情から、公明党は自民党の飼い犬と化してしまったようである。

安保法案が制定されたならば、未来の歴史学者はこれを第二の日本の軍事国家への道(1回目は明治から昭和の第二次世界大戦に至る道)の第一歩だったと評するに違いない。

(2015.9.16)


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