RADIO DAYS 2007


9.移動運用その44/茨城県つくば市筑波山男体山移動(2007.5.4)

毎年恒例のゴールデンウイーク有志クラブ員による特定小電力無線遠距離交信実験が今年も開催された。

当日は特定小電力無線愛好家のオンエアデーでもあったので非常に賑やかな一日になる。

今年、移動地に選んだのは、茨城県つくば市の筑波山

ここは2002年にも特小交信イベント時に移動したのであるが、その時はケーブルカー山頂駅付近での運用だったため、若干ロケーションに不備があって、今一つ交信結果に不満を残した。

そこで今回は、筑波山二つのピークのうちの一つ、男体山(871m)まで登って運用する事に決めた。

筑波山へは、近年開通したつくばエクスプレスによりアクセスが向上した。常磐線で土浦経由よりも料金、時間共節約出来る。

更に「筑波山きっぷ」というチケットを利用すればかなり割安で秋葉原、筑波山間を往復可能だ。

さて、当日地元阿佐ヶ谷を6時半に出発、JR中央線で秋葉原へ。つくばエクスプレスのホームは深い地下にあるので乗り換えにはかなりの時間を要す。

乗車券売り場で「筑波山きっぷ」を購入。二日間限定で4300円。バス、ケーブルカー含めた往復料金を計算すると500円程安くなっている。

早速秋葉原発つくば行き7時48分の区間快速に乗り込む。

最も早い快速だと所要時間45分だが、区間快速だと50分ちょっとかかる。

車内は筑波山に向う行楽客が目立つ。2002年に常磐線経由で向かった時よりも人が多い。つくばエクスプレスの開通で明らかに筑波山観光客は増えているようだ。

この鉄道を利用するのは初めてであったが、乗り心地は良かった。ロングレールなのか継ぎ目もなく滑るように走る。スピードもかなり出ているようだ。

高架とトンネル部分が殆どで踏み切りもない。ただ地下部分を走っている時は耳に圧迫感がある。

車窓からの風景は都心近くは住宅街だが埼玉県から茨城県に入ると長閑な田園風景に変わっていく。

終着駅のつくば駅は秋葉原と同じ地下駅。つくばも地上に駅を作る場所がなかったのだろうか。エスカレーターで地上に出ると周りは近代的なビルが立ち並ぶ「駅前広場」。ここが茨城県という感覚がない。

つくば駅前からは、筑波山(筑波山神社)行き直行シャトルバスが休日30分間隔で運行されている。特にGW中は臨時増便で頻繁にバスがやってくるようだ。それでも結構行列が伸びていた。5年前、常磐線で土浦経由の時は直行バスなどなく、一般の路線バスしかなかったので利便性は圧倒的にこちらの方がよい。

それほど待つことなく8時半のシャトルバスに乗り込んで一路筑波山へ向かう。行程の半分位はつくばの近代都市内を走っていたので「山に行楽」という旅情は差程ない。途中で急に田園風景が広がり、筑波山が現れるという感覚だ。

渋滞が心配されたが比較的スムーズで、ほぼ定時通り40分程で筑波山神社前のバス停に到着。ここから15分程歩いてケーブルカーの駅へと向かう。ケーブルカーも10分間隔で折り返し運転を実施していた。

8分程の乗車時間で山頂駅に到着。時間は午前9時半を少し回った位。自宅を出てから約3時間。常磐線経由より一時間程早い。

さて5年前はこのケーブルカー山頂駅コマ展望台周辺で無線運用したのであるが、今回は更に足を延ばして男体山ピークへと向かう。

行程は徒歩15分程なのだが、急な岩場がつづき、かなり体力がいる。登山客が多くて下山者とすれ違う度に立ち止まらねばいけない場所もあった。

男体山山頂は思いの他狭い。祠と測候所跡の建物しかなく、落ち着いて腰を下ろせる場所がみつからない。仕方なくちょっと下ったところにあった休憩ベンチで無線運用する事にした。

ここは南に開けており、多少靄っていたものの霞ヶ浦も望めた。ここなら都心方面も大丈夫だろう。

この日は、陽射しも強くあっという間に陽に焼けてしまう天候。まるで初夏のようだ。足元のタンポポにはミツバチが集まっていた。

視界を空に向けるとモーターグライダーが行き来するのが見えて爽快である。筑波山は標高870m程だが独立峰のため高度感があるので山頂からの風景はまるで空撮のようだ。

さて、無線運用開始は10時10分頃から。流石に高度があるため0.5wでも結構飛んでくれた。

14時前に電池切れするまでの3時間半程の間に50MHz20局(SSB15、CW5)、144MHz6局(SSB6)、430MHz7局(FM7)のトータル33局と交信。

全33局の内、26局がこちらのCQに応答頂いた。コンテスト以外でこれだけの局数に御応答頂いたのは久しぶりだ。

茨城、千葉、埼玉、東京の開けた方角にある各々の市町村を始めとして、三浦半島や伊豆半島の移動局とも交信。

筑波男体山のロケーションが抜群である事を証明した。

ただ、CQを出し続けたために電池の消耗も早く0.5w運用でも3時間半しか持たなかったのが残念。

正午から静岡コンテストが始まってCW局もたくさん聴こえてきたのに電池切れは如何ともし難い。

予備の電池を持ってこなかったのは痛かった。もっとも帰りのバス時間を考えると15時には無線運用を切り上げねばならなかったのだが。

一方、特定小電力無線もたくさんの移動局が出ており、有志以外の愛好家とも多数交信が出来た。(下表参照)。

「すぎなみYA34」茨城県つくば市筑波山男体山移動での特定小電力無線交信記録

日時/2007年5月4日1100JST〜1500JST コールサイン/すぎなみYA34(ハンドルネームYAEN)

 無線機/ケンウッドUBZ-L5(9チャンネルタイプ)注/距離は大凡0.5km単位。

ch 時間JST 局名 移動地 距離km メリット 備考

1120

白わんちゃん
神奈川県横須賀市大楠山

116.0

SDK会員

1206

つくばF3
茨城県つくばホウジョウ山

 5.5

2002年にも交信

1212

いたばしAA214
埼玉県さいたま市見沼区

57.5

3〜4
 

1252

カテキング
埼玉県入間市桜山展望台

81.0

2〜3
SDK会員。途切れ途切れ。

1307

ながれやまFT04
千葉県流山市江戸川河川敷

44.0

 

1312

いばらぎ101
茨城県竜ヶ崎市利根川河川敷

42.0

4〜5
 

1340

みやざき
木更津市東京湾海ほたる

87.0

SDK会員。CQ受信のみ。

1407

まつどRX78
千葉県流山市江戸川河川敷

44.0

 

最長距離交信は三浦半島大楠山の約116kmであった。

100km超えは、自分の特小交信履歴では初めてではなかろうか。

更には江戸川流域の千葉、茨城の移動局をはじめ、埼玉入間市移動局とも交信。

交信にまで至らなかったが東京湾うみほたるからのCQも受信(前回は交信できたが今回は混信の影響や時間的にタイミングが合わなかった)。

また、晴海-文京区役所からの移動局も14時前後に電波を出されていたようだがタイミングが合わなかったのか交信に恵まれず残念。

この交信記録以外にも1320JST頃に横須賀市大楠山移動局(白ワンチャンさん)と房総半島南房総市富山町移動局(よこすかJX250)との交信、1355JSTに入間市桜山展望台移動局(カテキングさん)と移動地不明局(さいたまYQ38)との交信、更には同じ筑波山移動局の交信波も傍受し、久々に特定小電力無線DXを堪能した。

此所数年うまくいかなかった分を挽回という感じ。

また同地点にてワンセグ受信を試みたが、結果は他地域と殆ど変わらず。全局スキャンで9〜11局。東京タワー各局と千葉、埼玉県域局。それにNHK総合中継局一局。関東平野内ではどこも同じという感じがする。

またFMDXのほうは、前回受信しそこなったFM鹿島をチェック。この76.7MHzは数局の混信があったが全てを確認するまでには至らず。

15時頃、撤収を開始、帰りのケーブルカーは一時間待ちだ。筑波山神社入り口のバス停に着いたのは16時半頃。帰りのシャトルバスの最終が17時なので多少焦った。

帰りのバスは立ちっぱなし。行きよりも渋滞があって時間を要す。

国道408号沿いは何処まで行っても筑波大学の敷地が見える。途方もない広大さだ。

バスから降りた後、つくばエクスプレスつくば駅周辺ATMを捜したのだが見つからず。確かに街は近代的なのだが肝心なモノが何処に在るのか解らず戸惑う。雰囲気が多摩センターに似ている。古い商店街というものが存在せず、すべてが新しい。

帰りのつくばエクスプレスは17時44分の快速列車。車窓からの赤い夕日を西に眺めながら45分で秋葉原到着。

結局帰りは待ち時間、渋滞を加えて3時間半かかったか。

筑波山はロケーションとしては抜群だが、都心からの日帰りを考えると運用時間が十分に取れない不満も残る。つくばエクスプレスでつくば市までは便利になったものの、その先は渋滞や運行時間の制約に縛られるバス利用なのでどうしても現地に留まる時間が制約される。

やはり、関東鉄道筑波線があった頃の方が筑波山は「近かった」のだろう。

茨城県つくば市筑波男体山におけるFM放送受信リスト(コミュニティーFMのみ)

受信日/2007年5月4日・受信機/AIWA CR-D60・アンテナ/イヤホーンアンテナ

周波数(MHz) 局名 信号強度(5段階)
76.7 FM鹿島

4(ST)
77.7 FM入間

2
78.3 FM浦和

2〜3(ST)
78.9 葛飾FM

4〜5(ST)
83.0 市川FM

4(ST)
84.3 FM江戸川

3

全局スキャンでのワンセグ放送受信情況

2007年5月4日 受信機/TOSHUBA GigaBeat V30E 付属のロッドアンテナ

受信地点 受信出来る局数 備考

茨城県つくば市筑波男体山

9〜11
東京タワー全局と千葉、テレビ埼玉、NHK総合東京中継局一局(送信地不明)

使用RX/YAESU FT817 出力/0.5w運用 使用アンテナ/ミズホ6mダイポールアンテナ


8.移動運用その43/千葉県木更津市うみほたる移動(2007.4.29)

オールJAコンテストの日、せっかくのGW晴天なので東京湾アクアライン海ほたるパーキングに移動する。

海ほたるへはもう何回も訪れているしこのサイトでも一度紹介した場所なので、特に新鮮味はない。移動運用場所としても標高が海面すれすれであるからよいロケーションともいえない。ただ廻りが広大に開けているので関東甲信越の山岳移動局とは良く繋がる。

連休初日のせいか道路の渋滞もなく、川崎駅からのバスは定刻通りに海ほたるに到着する。

昼過ぎから運用開始。14時半頃までに21局(50MHz17局SSB9/CW8、144MHzSSB 1局、430MHzFM3局)と交信。殆どがコンテストでのQSO。

相手局は強力に受信出来るがこちらからの電波は0.5wQRPに加えて標高が低いので殆ど届かずCQに応えて頂けたのは430FMで横浜市金沢区の一局のみ。おそらく湾岸の高い場所に移動されていたのだろう。

今回はワンセグ受信機を持参したのでチェックしてみる(下表参照)。

東京タワー各局と千葉、埼玉、神奈川の県域局とNHK東京総合の中継局一局が受信できた。スキャンすると12局が引っ掛かる。

だがワンセグ放送は関東一円何処へ行っても受信出来る局は同じようなもの。時々NHKの中継局が受信出来るが、物理チャンネルが表示されないレシーバーだとどの中継局か特定出来ず。DX趣味としては面白みに欠ける。

この日はやや靄っていたものの、視界が良くて都心方面が見渡せる。

海ほたると都心部とは意外に距離があり湾岸から22km程離れているので、海の向こうに蜃気楼のように浮いている感じだ。

都心の高層建築物が異常に増えたため、海ほたるから見るとまるで巨大な墓石群のように見える。

よくもここまで建てたものである。

地震国というのに大丈夫なのだろうか?

視界の良い時の都心の夜景がどんなふうに見えるか興味深い。

帰りがけに「うみめがね」という技術資料館に立ち寄る。

建設時のビデオ上映とか模型の展示がされているがカタログ等は販売されておらず物足りない。

完成から10年建ったため、ハードもソフトも綻びが目立つ。そろそろリニューアルしてほしいものだ。

16時頃撤収。帰りも渋滞なしで助かった。

全局スキャンでのワンセグ放送受信情況

2007年5月4日 受信機/TOSHUBA GigaBeat V30E 付属のロッドアンテナ

受信地点 受信出来る局数 備考

千葉県木更津市うみほたる

12
東京タワー全局と千葉、テレビ埼玉、TVK、NHK東京総合と教育中継局(送信地不明)

使用RX/YAESU FT817 出力/0.5w運用 使用アンテナ/ミズホ6mダイポールアンテナ


7.移動運用その42/東京都下東村山市都立狭山公園(2007.4.15)

春の暖かな休日、散歩ついでに移動運用をする。

場所は多摩湖畔にある都立狭山公園

最近はビルの展望ロビーばかりだったので今回はアウトドアの移動運用。

国分寺駅から西武多摩湖線で武蔵大和駅へと向う。沿線の土手には菜の花とハナダイコンのコントラストが美しい。

武蔵大和駅を降りるとすぐに公園の入り口だ。この辺りは桜の名所であるがすでに散った後。現在多摩湖は堰堤の補強工事中で立ち入り禁止の場所が多いので注意する。

新緑に包まれた樹林の中を散策し、ちょっと小高くなった場所から電波を出す。

周りは樹木に囲まれ眺望が利かず。標高も100m程度で特に周辺から際立って高い場所でもないのであまり電波は飛ばずCQを出しても空振りばかりだ。

もっとも散歩ついでの移動運用だから仕方ない。

結果は50MHz1、144MHz3、430MHz1の計5局。いずれもSSB。

ところで今回からポータブルのワンセグ受信機でデジタル地上波ワンセグ放送受信情況を調べてみることにする。受信機は東芝のギガビートV30E。詳しくはこちらを参照。

付属のロッドアンテナで全局スキャンして何局受信出来るかチェックしてみた。結果は10局。東京タワーからのワンセグ全局とテレビ神奈川、テレビ埼玉。

因に阿佐ヶ谷駅ホームでも似たような結果。

帰りのJR立川駅北口でもほぼ同じ情況。但しMXテレビとTVK、テレビ埼玉は場所によって圏外になる。立川駅ではなぜかMXテレビだけが圏外であった。

ただあまり極端な受信局数の変化は見られず、大凡都内と多摩地区では著しい受信情況の違いはない。屋内や移動体の中での安定的な受信は無理だが、ある程度見晴しが利く場所であれば同じ。

ワンセグの特性を窺い知る事が出来た。

全局スキャンでのワンセグ放送受信情況

2007年4月15日 受信機/TOSHUBA GigaBeat V30E 付属のロッドアンテナ

受信地点 受信出来る局数 備考

都立狭山公園

10
東京タワー全局とTVK、テレビ埼玉

JR立川駅北口陸橋

MXテレビ除く東京タワー全局とTVK、テレビ埼玉

JR阿佐ヶ谷駅ホーム

東京タワー全局とテレビ埼玉

なお、狭山公園でのCFM受信情況は以下の通り。

東京都東村山市狭山公園におけるFM放送受信リスト(コミュニティーFMのみ)

受信日/2007年4月15日・受信機/AIWA CR-D60・アンテナ/イヤホーンアンテナ

周波数(MHz) 局名 信号強度(5段階)
77.7 FM入間

4(ST)
78.2 武蔵野FM?

4(ST)
79.0 レイクサイドFM

5(ST)
83.4 FM世田谷

4(ST)
83.8 調布FM

使用RX/YAESU FT817 出力/0.5w運用 使用アンテナ/ミズホ6mダイポールアンテナ


6.国際宇宙ステーション無線局受信証(2007.4.5)

昨年の2月に受信した国際宇宙ステーションISSアマチュア無線局NA1SSの受信報告に対して、先日 SWLカードが届いた。

日本の小学生児童とISSに乗り込んでいる宇宙飛行士とのアマ無線交信イベント「スクールコンタクト」の時にワッチしたものだ。

日本の上空を通過する僅かの時間を狙って宇宙ステーションからの交信波を受信するのは、なかなかロマンがある。

実際、宇宙飛行士と無線交信するチャンスは稀だが、地上と交信するステーションからのダウンリンク波を受信するだけならそれ程困難ではない。

予め決まっている宇宙ステーションの軌道と交信時間と周波数を調べておけばよい。特に「スクールコンタクト」は交信スケジュールが厳密に定められているのでそのスケジュールに合わせてワッチする。

情報はARISS「スクールコンタクト」の公式サイトに事前発表されるので参照すればよい。受信報告書の宛先も案内されているので嬉しい。また宇宙ステーションの軌道はNASAのサイトでリアルタイムで見る事が出来る。

宇宙ステーションからの電波(145MHz帯FMモード)は強力だからハンディー機のホイップアンテナでも十分受信出来るようだ。

実際、自分がISSからの電波を受信した時のラインアップは水平ログペリアンテナとFT817というオーソドックスな設備。特段サテライト用に工夫など一切していない。にも拘らず、宇宙ステーションからの電波は59プラスで飛び込んできた。

ステーションが上空を横切り、猛スピードで地平線下に過ぎ去っていき、ドップラー効果で少しずつ周波数がずれながら次第に電波が弱まっていく情況を聴いていると、何だか自分が管制官になった気分になる。

交信するまでには至らなくとも、宇宙飛行士の生の声を自分のアンテナと受信機で確認出来るというのは素晴らしい体験である。

将来、日本人宇宙飛行士がISSに滞在して日本語でアマ無線交信出来る日が来るかも知れない。


5.移動運用その41/東京都世田谷区キャロットタワー(2007.3.21)

東京の桜が開花し始めた春分の日、3月3回目の都内移動運用。

今回は世田谷区三軒茶屋にあるキャロットタワーの展望室だ。地上高124m、26階に無料展望ロビーがある。これまで何回か足を運んだ事があったが無線運用は初めてだ。

杉並区の自宅からも屋根に昇れば姿が見える。しかしアクセスはちょっと面倒。

南北を結ぶ公共交通機関に乏しく一旦新宿に出るか吉祥寺から井の頭線を乗り継ぐかしないと行けない。阿佐ヶ谷からは「すぎまる」というバスが浜田山まで往復しているのでそれを利用する手もあるが、結局井の頭線で明大前まで出て京王線で下高井戸、更に世田谷線に乗り換えないと三軒茶屋に着けない。

ただ世田谷線は情緒があるので乗る事自体に面白みがある。最近都市交通で脚光を浴びているLRTに近いのでむしろ先進的な鉄道といえようか。

三軒茶屋駅も、ヨーロッパの小都市の雰囲気があって絵になる。

さて、キャロットタワー展望ロビーに着いたのがすでに17時を回った頃。ただ春分ということで陽も長くなって空は明るい。

運用場所はメインの西側を避けてロビー南側の窓際に無線機を置いて電波を出す。

眼下には首都高三号線が見え、東京湾も望める位置。遥か対岸の千葉に火力発電所かコンビナートの煙突から立ち上がる炎が見える。羽田に降りる航空機の照明灯がUFOのようだ。

17時10分から18時40分の約一時間半で50MHz2局(SSB1、CW1)、144MHz1局(SSB)、430MHz11局(SSB1、CW2、FM8)のトータル14局と交信。430MHzFMでCQを出すと大田区のアマ無線局から多数呼ばれた。

ところでこの展望ロビーにはコミュニティーFMの世田谷FMサテライトスタジオがある。

以前訪れた時は生放送中だったのでリクエストメッセージを書込んで投函したことがあった。

ここにはロビーからスタジオに投函出来るポストがあるのだ。

またキャロットタワーの屋上に世田谷FMの送信アンテナがあるため、都内随一の可聴エリアを誇っている。

いわばこのキャロットタワーは世田谷FMの牙城といったところか。

19時を回ると世田谷周辺の夜景が浮かび上がる。

西側の夜空には月と金星が接近しているのが望めた。

ここは23時までオープンしているのでかなりゆっくりしていられる場所だ。同様の都内無料展望ロビーと同じく、繁華街から離れているのでそれ程人がおらず、独り夜景を見ながら物思いに耽る事も出来る。

20時過ぎに撤収。

帰りの世田谷線は休日にも拘わらずかなり込み合っていた。


使用RX/YAESU FT817 出力/0.5w運用 使用アンテナ/付属ホイップアンテナ


4.移動運用その40/東京都北区北とぴあ移動(2007.3.11)

夕方、雨が上がったので夜18時過ぎから移動運用。これ程遅くからの移動運用は初めてだ。

場所は、東京都北区にある『北とぴあ』という公共施設。17階に無料展望ロビーがある。この場所からも時折移動局が聞こえているのでロケーションはよい。

寒冷前線が通過して真冬のような気温に下がった19時半頃、現地到着。JR京浜東北線王子駅から徒歩2分。この展望ロビーは22時まで開放されている。

練馬区役所や文京シビックセンターと同じく、展望レストラン併用のフロアに展望ロビーがあった。

南東側の都心方面が開けている。眼下を新幹線が走っていくのが眺められるが都心部と離れているので夜景のボリュームは乏しい。

また屋内照明が明るくガラスの反射光で夜景の眺望がさまたげられるのが難。

無線の結果は時間が時間だったので交信数は稼げなかったが1時間半程で430MHzFMで5局とQSO。千葉の松戸市や長生郡の局等と繋がる。日曜夜のせいかCQを出していた局も多かった。

因に此所の展望ロビーは警備員が頻繁に通る。

注意されないかと心配したが取りあえず何も言われずホッとする。一応無線機をバッグの中に入れたまま運用していた。430MHzのアンテナは短いのであまり目立たないのも幸いだったか。

日曜の夜にも拘わらずロビーは閑散として老人夫婦が一組佇んでいる位。

ロビーの隅にからくり時計が設置されていて、正時になると音楽が鳴り出す。

何気なくBGMとして聴いていた某CFM20時からのパーソナリティーがこの3月で引退するというトークを耳にする。10年間この時間を担当していたので寂しい限りだ。

21時頃、展望ロビーを降りて帰途につく。

使用RX/YAESU FT817 出力/0.5w運用 使用アンテナ/付属ホイップアンテナ


3.移動運用その39/東京都中央区聖路加タワー移動(2007.3.4)

小春日和のこの日、都内のビルに移動運用。

今回は中央区にある聖路加タワー。荒川勝鬨橋の畔に建っている高さ220mの高層ビルだ。47階に無料展望室がある。

ここもアマチュア無線、特定小電力無線での移動運用で頻繁に使われる場所でお馴染み。

アクセスは地下鉄日比谷線の築地駅から徒歩10分位。JR東京駅からもバスで行けるが本数が少ない。

この辺りは最近高層マンションが林立して、220mの聖路加タワーでさえ目立たなくなる程。

それはさておき、現地到着は昼下がりの14時。エレベーターで無料展望室へと向う。この展望室はエレベーターから降りて更に階段を昇って少し隔離されたところにある。

最近の無料展望室はだいたい展望レストランと同じ広いフロアに併設される例が多いが、ここはちょっと違っていた。

独立した展望室なのだ。ちょっと閉塞感があって狭い。南と東方面にしか眺望が利かない。

この日は春霞のような天気。うっすらと靄っていて都心の東京タワーや眼下の勝鬨橋がソフトフォーカスのように霞む。

無線の方は18時頃までに144MHz5局(SSB5)、430MHz10局(FM8/SSB2)のトータル15局。

南側の窓で運用していたので、横浜方面の局が多かった。

また、同じ都内の丸ビル展望室から運用している局とも交信。

このような場所からの運用は如何に目立たないようにやるのかがコツと教えられた。ハンディー機をカバンの中に収めたままマイクだけ出すとか工夫が必要かと。ビル内展望室の場合、あからさまに無線をやっているのが解ると注意されるケースが増えているための対処である。

因に聖路加タワーでは、あまり警備員の姿も見る事がなく注意される事もなかったが、やはり目立つポータブル機での運用は精神衛生上よくない。CWもやってみたいのだが。

なおFMラジオも試してみたが、やはり東京タワーの影響で相互変調が激しく、DXは諦める。

18時過ぎると都心方面の夜景が綺麗だ。ここは屋内照明も抑え目でガラスに反射する事もなく、荒川を下る屋形船の灯りや東京タワー、お台場の灯りが宝石のようである。

このビルの屋上には結婚式場もあって夜景の下で催しも出来るようだ。

ビルの敷地内から直接荒川に降りられる船着き場もあり、なかなか面白い。ただちょっと交通の便が今一つで、周りも華やかな歓楽街ではないのでやや寂しいが、反面静かな環境なので落ち着ける。休日の19時過ぎにはもう殆ど人影がない。

19時半頃、都バスで東京駅経由で帰路に就く。因に休日19時台はバスが2本しかない。

都心のど真ん中とは思えない程の便数である。多分地下鉄利用者の方が多いのであろうが吃驚だ。

使用RX/YAESU FT817 出力/0.5w運用 使用アンテナ/付属ホイップアンテナ


2.移動運用その38/埼玉県東松山市物見山移動(2007.2.25)

久々の移動運用。

この東松山市物見山もアマチュア無線や特定小電力無線の移動運用でお馴染みの場所だ。

東武東上線池袋駅から急行で約50分。高坂が最寄り駅。

東上線の車窓からも物見山にある埼玉県平和資料館の展望塔が見える。ここは関東平野に突き出た秩父山地の東端で首都圏方面に見晴しが効く絶好のスポット。標高130mちょっとしかなくてもロケーションは抜群である。

さて、東武東上線高坂駅からは川越観光バスの鳩山ニュータウン行きバスで8分、大東文化大前バス停で降りて徒歩5分位で着ける。バスも1時間に4〜5本はあるので安心だ。

最近、交通の便が悪い移動地ばかりだったので助かる。

バスを降りて物見山山頂の展望台へと向う。山頂といっても公園内の丘のようなところだ。展望台の上からはかつては東京方面の高層ビルも見渡せたようだが、今は樹木に遮られ眺望は利かない。反対側の秩父山地はなんとか見渡せるが。

休日にも拘らず人は疎らな展望台にアンテナを張って運用を開始したのが正午頃。コンテストが予定されていない日だったので出ている局もちらほらという感じ。

それでも埼玉や神奈川県方面の山岳丘陵移動局等14時45分までにトータル16局(50MHz7局SSB6/CW1、144MHz5局SSB4/CW1、430MHz4局SSB2/FM2)と交信。

東京中央区の聖路加タワーから出ていた430FMの移動局がよく聴こえていたが残念ながら交信には至らず。

CQにコール戴いたのは近郊の1局だけだったのは心残り。0.5W運用であったのと、天候が今冬一番の冷え込みだったのが響いたのであろうか?

流石に15時近くになって寒さが厳しくなったので無線を切り上げ、公園内にある埼玉平和資料館に逃げ込む。

この施設は10年程前に完成したようで、非常に立派な建物。第2次大戦時の戦災に関する展示が主な目的らしいが余りに立派すぎる建物。いわいる「ハコもの」の類と想像する。

それはさておき、資料館には海抜147.5mの展望室がある。ここでの無線運用も考えたが人工建物内での無線は最近なにかと面倒なので敢えて避け、FMラジオ受信のみにする。

76.7MHzの鴻巣フラワーラジオが強力に入感していたのが印象的。しかし混変調も目立ち期待した程のDX成果は得られず。但し渋谷FMとFM世田谷はここでも強く入感。最近開局した東京FM青梅中継局も良好に受信出来た。

眺望の方は流石に良い。首都圏方面が大きく開けている。但しこの日は靄っていたので視界が悪く、僅かに新宿の高層ビル群が確認出来る位。

この記念館は16時半には締まってしまうため、早々帰路に就く。

本当に寒い日で凍えてしまった。暖冬の油断か防寒の備えを怠ったのがまずかった。

埼玉県東松山市物見山埼玉平和資料館展望塔移動におけるFM放送受信リスト(コミュニティーFMのみ)

受信日/2007年2月25日・受信機/AIWA CR-D60・アンテナ/イヤホーンアンテナ・受信地/埼玉平和資料館展望塔

周波数(MHz) 局名 信号強度(5段階)
76.7 フラワーラジオ鴻巣

5(ST)
77.7 FM入間

4(ST)
78.4 渋谷FM

3(ST)
83.4 FM世田谷

4(ST)

使用RX/YAESU FT817 出力/0.5w運用 使用アンテナ/ミズホ製簡易6mDP


1.西武鉄道安比奈線散策(2007.2.22)

以前から訪ねてみたいと思っていた西武鉄道安比奈線を散策する。

この場所は廃墟系鉄道ファンの間では有名で、関連の本やサイトでも数多く取り上げられており、ここで敢えて詳しくは語る必要もなかろう。

小春日和の2月下旬午前9時頃、西武新宿線南大塚駅に降り立つ。ここは安比奈線の起点だ。

ここから入間川まで約3キロ程の路線。徒歩にして1時間ちょっとか?

西武安比奈線はかつて入間川の砂利を採掘運搬するために引かれた専用線らしい。使われなくなって40年近く経つ。

安比奈線に関しては予め関連サイト等で調べてあったのですぐに線路は見つかった。

線路跡は基本的に立ち入り禁止となっているようだが、それほど厳密ではなく地元の人の散策や菜園と化している場所もあり、事実上フリーに歩く事が可能だ。

南大塚駅から姑くは住宅街を縫うようにゆっくりとカーブを描いて線路は続く。思ったよりも保存状態は良いようだ。子供用の縄跳びが落ちていたりと、線路沿いは遊び場にもなっているようだ。

5分程進むとすぐに国道16号線にぶつかる。無論踏み切りは遠に撤去されており簡単に向こう側に渡る事が出来ない。近くに横断歩道もないのでかなり遠回りして国道16号線を越える。

線路は尚も建物の間を続いているが、暫くして急に視界が開けた所に出て、遥か一直線の線路が見渡せるようになる。

所々に小さい鉄橋があるのだが、枕木が朽ちていて流石に渡る事は不可能。だが迂回路はすぐに見つけられるので問題はない。

長閑な田園風景の間を安比奈線はまっすぐ進む。ちょうど梅が満開で甘い匂いが漂う。春先に咲く小さな花が半分土に埋もれた線路の間に咲き乱れている。ヒバリがさえずり、茂みからたくさんの野鳥が顔を出す。

廃線散策には丁度よいシーズンかもしれない。真冬は寂しいし、夏だと草が生い茂って線路が隠れてしまい趣がない。

線路沿いは所々民家の庭の一部と化してしまい、プランターとかが線路上に置かれていたり、畑の一部になっている所さえある。それがまた奇妙に風景とマッチしているのだ。

安比奈線の半ばを過ぎた辺りに、雑木林に囲まれた有名な撮影スポットに到達する。

落ち葉と木漏れ日が廃線跡を美術品のように演出して、まるで映画セットのよう。観光スポットとしても十分に成立する風景だ。

更に進むと線路は緩やかに左カーブを描く。

この辺りの風景も趣がある。樹木の根が成長して線路の下まで張り出している。この廃墟感がたまらない。平日の午前中だったので誰ともすれ違う事もないから散策に集中出来た。

恰も宮崎駿の「シュナの旅」とかアンドレイ・タルコフスキーの「ストーカー」を彷彿とさせる奇妙なゾーンに迷いこんだ気分。

これはもう、そのままでも十分「廃線公園」として成立するほどの「価値」があるような気がする。程よい朽ち加減、長閑な風景。このあたり一帯をそのまま残せないものかと考えてしまう。

さて、更に進むといきなり自動車道路の橋にぶちあたって線路がぷっつりと切れてしまう。

沿線情況に関しては下調べが十分だったので問題なく迂回して更に進む。畑の間を行くと農作業の人が「こんにちわ」と声を掛けてくる。おそらく自分のような「廃線探訪者」が多いのであろう。

水道橋を潜ると間もなく終点の安比奈駅跡に達する。

実は此所から問題。

各種訪問記によるとこのあたりは野犬が居たり、ホームレスの住処となっていて物騒な場所とか。また、モトクロスバイクの走行も頻繁だという。

気を配りながら更に進む。

一帯は枯れ草に覆われていかにもホームレスが寝泊まりしていそうな廃車が転がっている。

幸い、野犬には遭遇しなかったが、けっこうネコが多い。ホームレスが飼っているようだ。ネコなら安心である。日中ということもあり、思った程危険は感じなかったが、暗くなる時間帯は避けた方がよかろう。

さて操車場跡らしきところにやっと到着。

まだ架線を支えた支柱が多数残ってはいたが、地面は枯れ草と土に覆われて遺構の姿を確認する事は出来ない。粗大ゴミが至る所に散らばっており「失楽園」の様相である。

ちょうど時間は正午。

暖かで麗らかな陽射しの中、更に進むと入間川を望む河原に達する。

対岸は綺麗なゴルフ場が広がり、廃墟と粗大ゴミが散らばるこちらとは天国と地獄の差だ。

南大塚駅から入間川までは撮影散策しながら約2時間か?

本当に程よい長さの廃線跡である。

これ程までに廃線の雰囲気を十分に醸し出した場所が首都圏近郊に残っているとはある意味驚きである。安比奈線は厳密に言うとまだ廃線ではないので鉄道会社が今尚保全を計っている。結果、遺構として存在し続けたのだろう。

この時代になって安比奈線跡は急に存在価値を増したようだ。

先にも記したがこの廃線跡をそのまま近代遺構として保存し、公園として整備すれば非常に面白いのだが。

将来、この安比奈線に新たな操車場を作るとかの話があるようだが、この雰囲気が壊れてしまっては元も子もない。

「安比奈廃線公園」として整備保存される事を望みたい。

なお、今回無線機は持参しなかったので無線運用はなかった。


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