2003年の採集記

【しんしん】


                        

【あ〜コメント】

気になりますね〜、でかいケツ。一体何でしょう?

また写真のクワガタは超小型のオオクワ♂に私は見えますヨ。

何だか改めて読んでみると、まだしんしん様は非常に神妙な文体で書かれてますね。2004年のヤツは超ぶっ壊れたしんしん様バージョンでお願いしたいものです。

以下、しんしん様の採集記です。前半・後半の2部構成です。


【2003年】

去年までの経験を生かし、今年のテーマは新規ポイントの開拓です。 いつもの公園のいつもの場所ばかりでは、マンネリ採集になって飽きてしまいそうだからです。


仕事帰りや移動中にしか採集活動を行わない僕にとって、
@ 車を停められるスペースがあること
A 水銀灯が近くにあること
B クヌギかコナラかヤナギ(木に詳しくないので)があること
C 人があまり来ないこと
が最低条件であります。

ついでに勤め先から自宅までの間にあるとなお良いのですが、その場合該当箇所は公園が2箇所だけに絞られます。
 

1箇所は昨年お世話になった某公園で、ここはクワガタのいる場所はすでに調査済であり、これ以上探すとなると森の中を探索することになり非常に危険であるため断念。
もう1箇所は小さな山の頂上に水銀灯が見えていたのが気になっていた所で、ここも公園であったものの、林道がありクヌギも点在し雰囲気はなかなかの場所です。 しかし、ここは夜景がキレイで人が多いため、夏場はちょっと行くのが恥ずかしいかもしれません。
まあ、夜中に1人きりで行く勇気があるかどうかですね。
他は出張帰りに寄れそうな場所(高速道路のサービスエリアで、山の中で高い位置に大きな水銀灯がある)を見つけています。ここはミヤマクワガタが飛来するかもしれません。
いくつか山の中も探索しましたが、やっぱり夜中に行くとなると怖すぎます。
5月まではこんな調子で下見を行っていました。(全部仕事で移動中にですが…)


5月12日
 

この日は湿度が高くて蒸し暑く(夜7:00頃で気温25度)、仕事の帰りにいつもの公園に様子を見に行きたくなり、手ぶらで去年の楠木を目指しました。
樹液の出ていた窪みは少しばかり深くなり、窪みには灰色の虫のケツが見えています。
クワガタなの? コイツは頭を窪みに突っ込んで隠れているつもりらしい、『こんな浅い窪みで間抜けなやつだ。』などと思って眺めているうちに、どんどん姿が見えなくなりました。
窪みは長い冬の間に僕に内緒で結構深くなっていたのです。
『これはいい洞ができるぞ』などと先のことを夢見ている場合ではありません、今年初「ゲーット」を逃すことになるのです。

掻き出す道具は持っていないので、その辺に落ちている小枝を使うことにしました。 大きさはそこそこ(この辺では)の♂に見え、背中にスジが……まさか!? いや、こんな所でそんなはずは無い。 だいたいこの県ではスジクワガタは絶滅種だぞ。もしも捕まえたら県民のヒーローになるんでないの!?
 

一生懸命小枝で掻き出そうとしますが、踏ん張っていてなかなか出てきません。 それに格闘しているうちにコイツがコクワガタの♀であることが判明し、♂の期待とスジクワガタの期待の両方がいっぺんに吹き飛びました。 「ゲ〜ット」できましたが…。
自宅へ帰って早速プラケースに入れましたが、♀は非常に警戒心が強く、プラケースを覗こうものなら食事中でも逃げ出します。 早く慣れてほしいのですが、自然の生態の勉強にもなりますから複雑なところですね。


5月27日晴(ちなみに昨日は雨だった)
 

またいつもの公園にて楠木を見てみると、わずか2週間の間に洞が増えているではありませんか。 今度の洞は狭くて長くて斜め上に伸びていて、クワガタなんぞ入っていようものならば途方に暮れんばかりに覗きにくい。

諦めて去年最初にヒラタを捕まえたコナラを見てみると、そこにはほんの少しの樹液とヨツボシケシキスイと蛾がいただけ。 しかし去年より樹液の量は多いとみた、少しは期待できるかも…。


5月28日晴(PM8:00気温24度)
 

いつもの楠木へ行ってみることに。
懐中電灯で木を照らしたとたん、そこにコクワガタ(♂35ミリ程度)がいたので「ゲ〜ット」。 その周辺には他に見当たらず、コナラの木へと向ってみれば何とそこには…昨日のヨツボシケシキスイのみ。 気を取り直して周辺を探索していたら、木の根本付近の窪みに甲虫のでかいケツを発見。 しかも斑模様ではないですか!
 

『!!!? 斑模様!!!?』
 

まさかと思い捕えてみれば、土で汚れた部分が白い模様になったヒラタ♀(35ミリ弱)。♀でこのくらいのサイズになるとかなりの大きさです。 しかも模様付きとくればてっきり外国産かと期待したのですが、こんなしょぼい公園でそれは無いですよね。
2匹は自宅に連れ帰り、早速プラケースへまとめて放り込みました。
プラケースの中は、コクワガタ♂1♀1とヒラタ♀1の計3匹、少しはにぎやかになるかなと思ったら、みんなマットの下へ潜りこんでしまいました。間をおいて何度か覗いてみたのですが、よく食事してはいるものの、少しの物音にも非常に敏感で素早く逃げるし素早く隠れるし、これでは自然界でなかなか捕まらない訳だと納得させられました。

ただ一つ不可解なのは、コクワガタの♂とヒラタの♀が交尾していたことです。ヒラタじゃなかったのね…。 極小♂の写真です。


5月29日晴(PM8:15気温25度)
 

昨日と同じ場所で楠木を見るが何もなし。
木の裏へ廻ってみると、隣りの細い木(何の木かわからない)にコクワガタ♂(30ミリ程度)を発見し「ゲ〜ット」。
どうせ大物がいても届かない上の方が何故か見たくなり、懐中電灯で照らしてみるとそこには…おそらく50ミリは越えているであろうヒラタの姿が…。 見るんじゃなかった!
地上から3メートル程の太い枝にしがみつき、そこから生えている細い枝の付け根を噛んでいる。 懐中電灯の光に照らされたそいつは、一瞬頭をもたげてこちらを睨みつけた後、また元の態勢で枝の付け根を噛み続けたのです。 こっちが届かないのを嘲笑うかのように…。 しばらく眺めていたらコクワガタの♂も目に入り、『この木はけっこうパラダイスなのだな』とちょっと感動。 コクワガタの♀が1匹降りて来るのが見えたので、懐中電灯の光を使って誘導して何とか「ゲ〜ット」。
 

ここはそれくらいにして、昨日ヒラタ?の♀を捕まえた場所へ移動しました。
懐中電灯で照らすと、いきなりコクワガタ2♂が目に入り「ゲ〜ット」しましたが、コイツらは1つの穴をめぐって3匹で争っていたのです。 穴の中にいたもう1匹は引きずり出そうとした時に穴自体が崩れ(捲れた樹皮の周りに土が付いてできた穴)、あっさりと「ゲ〜ット」となりました。 その木にはもう1匹極小のコクワガタ♀がいたのでこれも「ゲ〜ット」。 しかしこの♀内歯が無い…。 もしかして♂なの? 20ミリ程度! 自己ワーストサイズ記録更新だ!! これなら日本全国どこへ出しても恥ずかしい!! お亡くなりになったら是非標本にしよう。本日の成果はコクワガタ♂5♀1で終了。


6月4日晴(PM8:00気温21度)
 

いつもの公園のいつもの木にて、ヒラタ♂とヒラタ♀の姿が懐中電灯の光に浮び上り、手の届く高さではなかったものの、♂が頭を下に向けていたので懐中電灯の光を使って誘導することに…。 15分ほどかけて何とか手の届く高さまで降りてきたので「ゲ〜ット」しようとしたその時、右手を上げた僕の目の前にコクワガタの♂(35ミリ程度)がいる!どうしようかと2秒迷い、「ヒラタ♂が先だ!」という結論に達してヒラタ「ゲ〜ット」。
ちなみに極小35ミリ。 さて…コクワガタは……? いるわけないか…。


6月6日晴(PM7:30気温21度)
 

小さい山の中腹あたりの公園で、水銀柱がありクヌギやコナラも点在するポイントです。
まず、下の方からクヌギを見るが樹液は少々出ているものの、クワガタは見当たらず。
ちょっと上った所でコナラ(だと思う)の根本近くに、コクワガタとゴキブリが数匹樹液にたかっていました。 50ミリ弱の1♂30ミリ程度の1♀を捕え、残りの30ミリ程度の3♂は見逃すことに。

よく見るとここには細くて深そうな洞もあって、中にはコクワガタの♂が入っていました。 大きさは40ミリ程度に見えましたが、すぐ引っ込んでしまったのでよく確認できませんでした。
期待薄と思っていたのにここは意外と良いポイントです。


6月11日雨のち晴(PM7:30気温25度)


いつもの公園へ、状況確認だけのつもりだったのですが…。
いつもの楠木にはコクワガタの♀がいたのでちょっと摘んで、隣りのクヌギにコクワガタの♂(35ミリ程度)がいたのでこれも摘み(この時点では確認が済んだら2匹とも戻す予定でした)、また楠木を照らしてみるとスズメバチがいたのでびっくりして後退。
 

怖いので木の横へ回ってみると何やらクワガタらしき虫の姿が見え、これが羽をしまっている最中の小歯型ノコギリクワガタ(45ミリ程度)でした。 去年死骸を見つけていたので、ここにいるのは解っていたのですが、久しぶりの生きたノコギリに思わず大喜びで「ゲ〜ット」。 しかしこの後スズメバチに威嚇され、先に捕まえたコクワガタを戻せなくなってしまい、仕方なく3匹を持ち帰りました。
 

この日はプラケースのコクワガタにちょっとした事件がありました。
新ポイントで捕まえた♂(45ミリ程度)が♀2匹に覆い被さって交尾をせがんでいたのですが、大きい方の♀が逃げ出して小さい♀が追いかけられ始めた直後、この小さいのが実は♂であることが発覚し、45ミリが怒り狂って大顎で挟んで投げ飛ばし、逃げた♀を探して走り回ったのです。可哀相な極小♂……いや、45ミリの方かな?


6月20日晴(PM9:30気温23度)
 

19日から四国で研修があったのでその帰り道で、1度下見をしていた九州自動車道の某サービスエリアにて、クワガタの灯下採集に挑戦したものの収穫ナシ。 灯下採集とか言いながら、離れたところから水銀灯の下を眺めただけでした。 やはり人がたくさん集まる場所では、怪しい行動に集中する気になれません。 前日台風が来ていたので、真面目に見ても収穫ナシだったとは思います。


6月27日晴(PM3:30気温30度)
 

仕事の移動中に、ちょっとだけいつもの公園の楠木へ。
ものすごい勢いで木を上る白点ハナムグリを発見し、行先を見ていたらスズメバチがいて戦意喪失。 洞を見ると入口付近に、大嫌いな「キマワリ」がいました。
 

しかし、洞の入口には何やらはみ出しているものが……何だ?…何なんだ〜これは!!?
でかい甲虫のケツだ!! しかも厚みがすごい、去年捕まえたヒラタ以上だ、斜めになっていて幅が解らないのが残念だ、マジでカブト虫かと思った。 この甲虫(頭が見えないのでクワガタとは信じられない)洞の入口いっぱいにでかいので、捕まえようがないのです。 おまけにカメラも持っていないので、とりあえず冷静に観察をしておきましょう。
 

まず形から
@ ケツの先は上翅の長さと一致している(カブトムシの類ではない)
A 色は真っ黒ではなく、少々青みがかった黒に近い灰色(光の加減?)
B 上翅に点刻などは見られず、艶消しであるがなめらか
C 後ろ足のフセツの部分しか確認できないので、長さが判らない
D 胸と腹の継ぎ目も確認できない
E 幅20ミリくらい? 厚さ10ミリくらい? 物差しでもあれば…
F ヒラタにしては厚みがありすぎるような…
G 喉から手が出る(僕の独り言です)
 

我慢できず細長い木の枝で隙間を探ろうとしたら、すごい速さであっという間に洞の奥へと消えてしまいました。 『し、しまった〜〜〜!!!』 どうやら冷静さを失っていたようです。 冷静さを欠いたまま木の枝を洞の奥へと突っ込んでみたら、洞は細長く上へ上へと続いており、全く手が出せません。 クワガタでの人生二度目の茫然自失…。
一度目は去年のヒラタでしたが、アイツは結局捕まえることができました。しかし今回のコイツは無理な気がします。 また後日トライしてみますが…。
 

去年のヒラタのことを思い出したので、ポイントを見ておきたくなりました。 ポイント近くの崖下のコナラにトラップを発見し、ここも自分だけのポイントではなくなったことを実感しました。 しかし…崖下って…いったいどうやって仕掛けたの?
去年ヒラタを捕まえた場所にでかい甲虫を発見! ノコギリの♂です。 しかも交尾中であっさり「ゲ〜ット」。 ♂は65ミリオーバーの大物、♀は30ミリ程度の小物でした。 しかしノコギリ♂のケツは、先程の洞のケツよりはるかに薄いのです。いったいアイツは何者だったのか…。


6月28日雨(PM6:30気温22度)
 

昨日のケツが気になって行ってしまいました。
 

昨日の洞を見ると、薄暗い中にクワガタの大顎が見えました。 おお!! 何かいる!!ちょっと小さい気もするが、コイツが馬鹿デカく見えたのだろうか? 洞のクワガタはこちらに気付かず周囲を覗っている。出てきそうな気配なので、その場で動かず待つことに…。

5分経ったのか10分経ったのか解らない、心臓の鼓動が激しいのでヤツに気付かれないか心配だ。 胃が痛くなってきた…。 おしっこしたい…。
 

焦りながらも我慢して、ついにヤツはゆっくりと洞の外へ…?何か…異様に小さいような気が…するのですが…。 捕まえてみると何とコクワガタ(40ミリ程度)…。
お……お…おまえは違う〜!!! いくら何でもコイツと見間違うことは無い〜!!!
試しにコイツを洞に戻してみたら、ぜんっぜん大きさが違う!! 昨日のアイツは穴いっぱいの幅と厚さで、色は青みがかった灰色で巨大なコガネムシか小さいカブトムシ程もあったのだ!!! こんなチンケなしょーもない大きさのその辺にうようよいる雑魚と間違うか〜!!? いかん、興奮して暴言を吐いてしまった…。
 

普段なら40ミリのコクワガタでも大喜びなのに、あんな巨大なものを目の当たりにしてしまったおかげで僕の価値観が大幅に狂ってしまっている。しょうがない、今日は泣く泣く諦めて帰るか…。 でもその前に、昨日ノコギリを捕まえたポイントを見ておきます。
 

そこにはおらず、穴の中にノコギリ小歯型♂の姿が見えました。 さて、新兵器の極太クリップを伸ばして曲げなおして作った洞採集ツールを取り出し……く…車の中に忘れた…。 気を取り直して木の枝で勝負だ!! ノコギリを突付いて怒らせ、出てくるのを待っていたら、ノコギリが飛び出した拍子に何か黒いものが放り出されて崖下に落ちていきました。 何だ今のは? 40ミリくらいあったぞ…、ノコギリの♀か? 今日は散々でした。 ノコギリは一応リリース。


6月30日曇り(AM10:30気温25度)
 

先日のノコギリと一緒にいた虫が気になって、家族を巻き込み生態調査へ。 今度は洞採集ツールを持っていたのであっさり「ゲ〜ット」。 しかし小歯型♂のみで、気になってた虫は発見できず。 ノコギリ♂はケースに入れて長男に渡し、父ちゃんヒーローになったのです。 ヨメもそれ程いやな顔はしませんでした。(だまして連れて来たのに)


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