2005年 (コ)瑠璃色の旅 その6

【ちゃん】


【原名亜種編】前編

6月10日

6月は祝日がない、よって普通の週末に行くしかないのである。

それに出会うためには最低片道約700kmの移動が必要である。

限られた時間は48時間。

気になる天気予報を見るが、思わしくない・・・

なにやらこらから行く場所めがけて、低気圧が北上していた。

金曜日少し早めに仕事を切り上げ自宅へ帰り、そそくさと車へ荷物を詰め込む。

くわたけさんの移動時間を計りながら山陽側へ出て ほぼ時間どおりにくわたけさんと合流。

高速に乗り、後はひたすら低気圧と共に・・・



くわたけさんと会話をしながら、一人でなくてよかった。

と、心の底から思った。

日付が変わり燃料補給の為、スタンドへ寄った。

街灯に視線を向けると、数頭の蛾が舞っていた。

もしかしたら灯下もいけるのでは?

その街灯の下へ行ってみたが、やはり蛾だけであった。



夜通し走り、空が明るくなった頃高速を降りた。

東日本の日の出は早い。

鳥取を出発して9時間、やっと目的地周辺にたどり着いた。

トイレへ行くと網戸にコクワが張り付いていた。

夜、明かりに飛んできたのだろう。



「ようこそ!」と挨拶をしてくれているように感じた。

車に戻りシートを倒すと、気絶したように眠りに入った。



しばらくすると、隣に停まっている車の方からのメールで目が覚めた。

「8時だよ!全員集合」

時計を見ると本当に8時で、目覚めで笑ってしまった。

1ヶ月ぶりのあ〜さんである。

そして原名コルリの基へと案内して頂く。

こんな贅沢な採集、数年前までは「夢の中で見るまた夢の出来事」だと思っていた。

それが今、実現になり眠気はどこかへふっ飛んでいった。

食料を買い込み、あ〜さんのナビで標高を上げて行く。



ここの自然は予想していた通り雄大で、思い描いたパノラマが目前に展開されてゆく。

途中あ〜さんは後部座席にもかかわらず 材を見つけたり、林道歩いているミヤマクワガタを見つけたり。

クワガタを見つける眼力は、流石としか言いようがない。

しかも、きっちり雨様がついてきている(^^;;

私も運転席から「道ルッキングモード」へ突入するが、 外道や石ころである・・・

ようやく、ブナ林へと突入するが、ほとんど葉っぱが開ききっていて×。

少し移動すると、またブナが見え始めた。

そして小枝を歩く虫が見えたので車を止めた。

そぼ降る雨の中、そこを歩いていたのは 夢にまで見た原名コルリであった。



天にも昇った気分だ!

そしてその色は間違いなく瑠璃色である。

撮影しようとするが、光量不足で上手く撮れない。



車降り、あ〜さん、くわたけさん、自分の順番で歩いてゆく。

途中私だけ引き返し、車を移動させに戻る。

そして先頭のあ〜さんに追いつき、また車を降りる。



この行動を繰り返しているのだが、 あ〜さんの移動距離は半端ではない。

薮の中へ入っていて、気付かず通り過ぎたのでは?

などと半信半疑で追いかけるが、あ〜さんははるか彼方へ移動しているのである。

そして、あ〜さんに追いつくと、両手にコルリではなく、カミキリを両手に掴んでいる(^^;;;

「四国、地元で見たカミキリを探している」

と、伝えていたので、これを採ってくれていたのである。m(_~_)m

途中何度か立ち枯れがあったので、あ〜さんにルリクワガタもおねだりした。



あ〜さんは謙遜して「下手になった」と言っていたが、 幼虫はしっかり出されていた。

これの成虫は自分への目標として残す事になった。

気温・雨は採集向きではなかったが、あるポイントへ入ると沢山居る。



飛んでいるもの、枝を歩いているもの、新芽に潜っているもの

もし晴れていたらどんなことになっていたのだろう?



そして、見つけるたびに

「でかい!」

「でかい!」

と連発していたら、 「コルリ末期症患者」と言われてしまった。



普段採っているキンキコルリと比べると明らかにサイズが違うが、たかが2〜3mmの違いである(^^;;

「雨が降っていても、そこに虫が居るから車から降りる羽目になる」

あ〜さんのこの言葉は印象的だった、振り返るケンシロウのモノマネと共に(笑

ここへ向かっている途中「5mは必要ない」とあ〜さんが言っていたが その意味がここへ着てようやく解かった。



「これでこの林道のブナ林は終わり」とあ〜さんに告げられ 強烈なガス様の山を下りる。

その二つの効果で強烈な睡魔が襲ってきた



帰るとなると、一気に心が入れ替わる。

何度もウトウトとなりかけ、強烈なガムで眠気を覚まし

あ〜さんの車まで戻った。

その後、 死んだように仮眠を取った。

3人が目を覚ましたところで、あ〜さんと別れた。

「またどこかで!」


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