2005年 (コ)瑠璃色の旅 その1

【ちゃん】


【2005年 (コ)瑠璃色の旅】

その昔「ラピス・ラズリ」という貴石(宝石)がシルクロードを渡り、日本へたどり着いた。

それは正倉院に収蔵されていて、和名を「瑠璃」と呼ぶ。

また、ツタンカーメンの装飾品の中にもこの石がある。

その色は人を虜にして、戦争の発端になったとも聞く。

クワガタ採集を始める以前に、この石の存在を知り私もこの色の虜になったのである。

初めて見て、一瞬で一目ぼれした。

藍色、群青色などのコントラストは真っ暗闇の宇宙にポッカリ浮かぶ地球の色そのものでまた地上からは空や海の色を彷彿させる。

しかし、高価なゆえ貧乏人の私には手が出せなかった。

以前はこの石を顔料として使用していたが、人工的にウルトラマリーン(群青)が製造できるようになり、その価値を落としたらしいのだが・・・


そんな色の名前が付いたクワガタなのでアドレナリンが出るのである。

野外で早く活動を開始し、残雪残るブナの新芽の季節だけに乱舞するのを見ると今年も採集のシーズンが始まった!と実感が湧くのである。

また、ブナには特別な愛着があり、ブナに囲まれている時間は心が癒されるのである。

嵐の夜の出来事や後輩が急逝した時、雄大な自然の中でブナに囲まれ一人沈黙の世界で時を過ごした。


今年は少し贅沢にその姿を追ってみた。


昨年は異常気象のせいなのか、4月の終わりに地元の山で確認された。

この年は、ヒメオオクワガタも沢山採れた。

例年だとゴールデンウイーク後がピークとなるのだが・・・

ブナは地球温暖化のバロメータとしても取り上げられた。

このまま温暖化が進めば今世紀末には九州・四国・中国地方のブナ林は消滅すると報道されたのはつい最近の出来事である。

光化学スモッグなどを乗り越えてきた人類なので、きっと温暖化も防げるはずである。


4月29日

さて本題ですが、今年はいつ飛ぶのか?

ゴールデンウイークに入った初日、地元の採集仲間である若葉さんと、いつもの場所を訪れた。



山への道は3ルートあるのだが、ひとつのルートは標高半分から残雪でアクセスできずもうひとつのルートは昨年猛威をふるった台風の影響で途中「道」がなくなっている。



ただひとつ残されたルートを進むが、予想通りというか当たり前というかここも残雪で通行不能。



ただ、この林道は除雪作業をするので、ブナ林への開通が早い。



自分の予想では残雪量などをみてゴールデンウイークの最終日に飛ぶかどうか・・・という感じであった。

こんな予想をたてるのも、この虫取りの楽しみ方のひとつである。


ミナミコルリ編へ


戻る