ポンカンの行っとこか〜採集 その3〜ポンカンコンビ中部へ行くの巻【第3部】

−カン−


★第3部★

『3度めの正直』という言葉がある。

8月22日の段階で今年の灯下の終わりを話あっていたのだが、時間が経つにつれ、灯下採集が8月までとは誰が決めたのだという気がしてきた。気温と湿度と月齢の条件さえ良ければ、虫は9月でも飛ぶのではないか。

生きてさえいれば・・・・(^^;。

なんともあきらめが悪い性格だ。しかし、ベストシーズンのヤナギでの採集はもっと魅力的だ。ここ2週間、採集に行けなかったこともあり、「ヤナギ」病は悪化の一途を辿っていた。

「灯火消化不良、ヤナギ症候群合併症」完全な病気だ。(^^;

こうなったら、昼も夜もやるしかないでしょう。


と、いうことで、9/10〜12にかけて、あ〜さんとポン・カンでヒメオオ採集に行くことになった。

ヒメオオといえば檜枝岐である。しかし、あいにく彼の地は採集者で大賑わいとのこと。

でもヤナギは他にもいっぱいある。^^

新規開拓すればいいのだ。目的地は群馬だ。その先には新潟もある。^^ カンは密かに9/10の晩の灯下採集に期待していた。なにせ、月齢がよい。天気も良い。しかし、当日まであ〜さんにはそんな気はなかったみたいだ。


【9月10日】

昼休みに天気を確認した。気温、湿度、風速、気圧配置どれをとっても言うことなし。否が応でも気分は灯下に傾いていく。灯下でオオクワ、ヤナギでヒメオオ・・・想像しただけで仕事が手につかない。

そこで早々と仕事を切り上げ、あ〜さんに電話をした。ところが、こんな時に限って、あ〜さんは残業だという。(T-T)

スタンバイしてから実に9時間も待って、あ〜さんは迎えに来てくれた。(^^;

明日に備えて、いつもの拠点へ仮眠をとりに向かった。


しかし、真夜中だというのに、いっこうに気温が下がらない。近づくにつれ、比例するようにテンションは上昇していく。12時までの「カンデレラ&ポンデレラ」返上、少しも眠くならないのだ。問題は時間帯だ。夜明けまでそんなに時間が残されていない。

カラスに負けたくない。それにはポイントを1箇所に絞るしかなかった。

結局話し合いでは決まらなかったため、あ〜さんの実に楽しい妙案で行く先が決まった。(詳細はあ〜さんの採集記(9/11)でどうぞ^^)

行く先さえ決まれば、あとは気合いを入れるだけ。


ポイントへ向かう途中の水銀灯で蛾が舞っていた。しかし少し前に雨が降ったらしく、路面はビショ濡れだ。

時間が時間だけに不安を隠せない3人は、とある水銀灯で車を降りた。雨で濡れた草の中を、素手で探るのは、水滴やドロがまとわりついて気持ちが悪い。(;_;)

雨は大嫌いだ〜。

ややマイナス思考に傾きかけた時、ポンちゃんの第一声があがった。

「あっ、いた!」

ポンちゃんがノコ♀を発見。^^

ボウスを免れたこともあり、一気に勢いづいた3人は、安心して目的地に滑り込んだ。時刻はもう、午前4時をまわっていた。

車を降りると、3方に散らばった。

水銀灯を2箇所見て廻ったが、時間が時間だけに、道路にはいなさそうだ。戻ってみると、あ〜さんの両手いっぱいにノコノコ山(^^;;; うらやましい〜。

「いっぱい、いる」という、あ〜さんにつられて、そばに行ってみた。この時間じゃ、まともな所では採れないに違いない。それじゃあ、と思いついたのが、普段は避けている草むらの中。

右ひじで木の枝、左手で雑草を、かき分けて見てみると、案の定クワガタの尻(腹側)を発見。

(ラッキ〜!!こんな簡単に見つかるなんて(^^)。結構マヌケなやつ・・・ん?なんか、このノコの腹太いなぁ。ええっまさか!?こんな・・・でも・・・ひょっとしてオオ?)

あごはブシュの中で確認できなかった。

「ぅっっっお、ぅお〜?」変な言葉を口走っていた。

興奮気味に右手を伸ばした途端

「バシッ。」

右手で押さえたいた枝のことをすっかり忘れていた。枝は右目をかすめて頬骨に当たった。痛かった。(T-T)

右目が半分開かないまま、クワガタの尻をつかんだ。つかまれたクワガタもビックリしたに違いない。いきなりライトを当てられたと思ったら、尻をつかまれて宙づり状態。途端に、身体をねじ曲げ反撃に出た。

「ぅおお痛〜〜ぃ!いたたたたたたた」(T-T)(T-T)(T-T)

あまりの痛さに思わず、投げ出していた。

「何?なんかいたの?とにかく早くつかまえとき〜」

ポンちゃんの、おっとろし〜い激励が飛び込む。(^^;

「ぅっっっお、痛〜〜ぃ。」のに・・・・・(T-T)

慌ててブシュの中に落ちたクワガタを、再度拾い上げた。

まぎれもないオオクワ♂だった。

挟まれた小指からは、プックリと血が盛り上がっていた。

「オオクワじゃん!」駆け寄ってきたあ〜さん

うれしいはずの、いつもの握手が、この時ばかりは痛かった。


夜明けと競争しながら採集を続けた。

あ〜さんは車を運転しながらも、難なく見つける。

そしてカンが代わりに拾いに行くのだが、どこにいるのか良くわからない(^^;

たまらずあ〜さん自ら、登場。

「ここや」

なんと、カンの足先5cm位のところに小さな小さなアカアシ♀が手足を踏ん張っていた。(^^;

「小さすぎる〜」

今度は、30m先の橋の欄干をライトで照らしながら、あ〜さんの動きがピタリと止まった。

もちろんカンには、クワガタはおろか何も見えない。(^^;

「やっぱり、クワガタだった」

そう言って、18mm位のコ♀を手にしていた。ものすご〜〜いクワ目だ。8.0は間違いなくある。(^^;

そのことを言うと本人は、

「30mm以上のは見えへんねん。」という。

なんだ、そうだったのか〜。(^^; (そんなわけないだろ!)

いつにも増してあ〜さんの動きが早まったぞ〜と思うと、看板の陰にネコの目が光っていた。あ〜さんに先に獲物を採られたネコは、「チェッ!」という顔で、斜めに道を横断しながら、うらめしげに我々を見ていた。たとえコ♀1匹でもネコには採られたくないのだ。とてもあ〜さんらしい行動だ。

こうしたあ〜さんの大活躍があって、明け方1時間くらいの間に20頭余りのクワガタが採れた。


引き返す道すがら、携帯が圏外を出たので、クワ道さんに連絡を入れた。朝6時をまわったところだったが、この日は山登りをすると聞いていたので多分起きているだろう。

案の定、起きていた。

「おはよう。採れたでぇ、60♂」

あ〜さんは冷静な声でそれしか言わない。いつもそうだ。こちらが、ジレと興奮で血管が切れそうになるまで、ジワッと待つ。電話の向こうで、クワ道さんのもどかしさが伝わってくるようだ。と、いうより何のことだわからなかっただろう。時間が時間だけに・・・・。

あ〜さんありがとう。それから6番ありがとう。^^

あ〜さんが妙なことを思いつかなかったら、この楽しい夜明けの採集はなかったかもしれない。


【9月11日昼】

仮眠を採った後、いよいよ本命のヒメオオ採集だ。

地図で、ポンちゃんの調べてきたブナ帯を確認。目指すはその先の標高1,000m超地帯。車は快適に走り出した。途中からブナの手前にヤナギもちらほら確認できた。

いい感じだ〜。

目的地の林道をルッキングするが、すでに木々は赤や黄色を身にまといかけている。ヤナギも黄色く枯れかけていた。あ〜さんが、ヤナギにかじり痕を見つけたが、時期が遅かったのか結局ボウズだった。

一旦下って、川沿いの大きなヤナギの木をルッキングしていると、あ〜さんの第一声があった。アカアシのペアだった。^^

1ペア見つけると、必ず他にもついているのがアカアシの木だ。あれよあれよという間に数頭のアカアシが採れた。でも残念ながら一番大きい個体を、『川ポチャ』してしまった。

あ〜カン共同作業の、『5m上下2段構え』も功を奏さなかった。

川面に、落ちたクワガタのシルエットがはっきり見えた。あきらめきれないあ〜さんは橋の上から網を川に中に突っ込んでいた。(^^;

そんな姿を見て、つりに来ていた人たちが興味を持ち出したらしい。彼らはあ〜さんに話かけていた。「何を採っているんですか?」と聞いたに違いない。採れたアカアシを見せてあげることになった。中にひとり、目を輝かせながら、あ〜さんの話を聞き、あ〜さんの勇姿を眺めていた青年がいた。(ああ、なんという罪つくりなことを・・・。どうしようもないクワ馬鹿を、またひとり増やしてしまったかもしれない。(^^;)

少なくとも、つりをする人には、そもそも、素質があるとカンは思う。


さらにこの後、移動中の車から、あ〜さんがアカアシを発見した。この木は大当たりだった。時間帯も良かったのか、次から次へとアカアシが湧いてくる。狂ったように夢中になって採っていた。

ふと気がつくと、そんな3人を囲むように物見客の輪が出来ていた。(^^;(見せ物じゃないぞぉ〜〜〜(^^;)

灯下採集の時間が迫っていた。おまけに採れすぎて、ルアーケースに余裕がなくなったため、もう採るのはやめることにした。それにしても、わずかな時間で44頭も採れて大満足だ。


【9月11日夜】

さあ、夜の部である。

気温はまずまずだった。ところが、昨日からテンションを上げてきたカンは、ここでいきなり睡魔に襲われた。今朝♂が採れた付近で、まだミヤマが採れたとポンちゃんに一度おこされた。

次に意識が戻った時、あ〜さんは屋根の上だった。(^^;

すでに5目、数十頭も採っていた。涼しめの風に当たって、やっと睡魔から解放された。気合いを入れ直して、懐中電灯を持ち出して採集に参加した。

ある水銀灯近くの土に何か埋まっているのを見つけた。拾ってみると、デカイ甲虫の胴体だった。よく見ると背中にスジがあった。

しっかり握りしめて持っていき、あ〜さんの手のひらにポトリと落とした。

悲しかった(T-T)

「なんで、生きてないんじゃ〜〜〜!!」


最後の採集場所では、もっぱらコオロギが幅をきかせていた。クワガタに似た動きをされると、次の瞬間、踏みつけたくなる。本当に紛らわしい。

この頃になるとあ〜さんにも疲れの色が隠せない。

あ〜さんには内緒だけど、カンに手渡してくれた最後から3番目の虫・・・・・・あれはゴミムシや〜。(^^;

なんだか匂うと思ったら、カンの手の中からだった。ライトを当てて確認すると、触覚が違っていた。

「んん?(^^;」

そのまま何もなかったように、車中から出来るだけ遠くに投げ捨てた。(またあ〜さんが拾ってきたら大変だもん。(^^;)

次の虫を拾ってきたあ〜さんは、鼻をクンクンさせながら言った。

「ん?どこかでカメムシに触ったみたいや・・・」

「・・・・・・(^^;」

『弘法も筆のあやまり』とはよく言ったものだ。こんなことは『あ〜さん史上』初めてのことだ。人間味溢れる、ユーモアたっぷりのあ〜さんの一面が紹介できてちょっとうれしい。^^


長々と読んでくださってありがとう。

ポン&カンの中部採集記は以上をもって終わりです。

これで1999年夏の採集はおしまい。

何はともあれ9月に入って、119頭も採れたのだから大満足です。


・・・・・と、思っていました。

でも一旦かかってしまったヤナギ病は、そう簡単には治らないようです。(^^;

この後、またまた檜枝岐に行っちゃいました。(^^;

ほんと採集って楽しいですね。では、また近い将来お会いしましょう。

 

                           bye-bye  ポン&カン


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