【凹作】
=6/28AM=
土曜の朝、爽やかな目覚め。
嘘。
社会人になってからこのかた、爽やかに目覚めたなんてことは一度も無い。
釣りやクワガタの為ならば、午前三時起きも厭わない。
けど、
正確に言うなら、体の方は厭っているのだ。
貧弱なオヤジの体、その眼だけが子供みたいに爛々としている状態だ。
『オヤジになった体』を『遊びたがりの心』が引き摺り回しているんだ。
爽やかであるはずはない。
たかが近所の林を下見する程度の事に貴重な土曜朝の睡眠時間を削る。
自らの健康管理を当然とする良識あるサラリーマン諸氏ならばどう思うのだろう。
批判されるのか?
否、それ以前の問題として相手にもしてもらえないというのが現状なのであります。
批判されないのをいいことに、この日も朝っぱらからヤッて参りました凹作であります。
金曜夜のうちに近所の詳細地図とニラメッコ。
新たなるご近所ポイント発掘の為の下調べです。
土曜朝、この日の天気はグズついた曇天状態。
雨を気にしながら車を出します。
子供達が起き出して来る前の3時間程度を使っての活動。
自分一人の自由で気ままな時間帯です。
さてさて車を出すとすぐに、雨がポツポツ落ちてきた。
アラ残念と家に引き返そうと思ったが、せっかく車を出したのだからと暫し思案。
心が決まらずに走っていると不思議なもので、
何となく馴染みのある方へと流れていくものです。
流れ着いたのは樹が茂っていて雨に濡れ難い林。
何の事は無い。ここは、いっつも来ている定番のポイント。
その日の晩も、ファミリー全員で攻める予定にしていた場所です。
急遽、趣旨を変更して、ここにトラップを仕掛けて帰ることにいたしました。
林に入って一本目の樹を見てみる。
昨年は樹液がぜんぜん出ていなかった樹だ。
しかし、この日はカナブンが3頭ほど集っていました。
復活の兆し有り。
それだけを認めて、次へ進みます。
暫し歩くと、先週子供達との共同戦線で見事ノコを採った樹に到着です。
そっと洞を覗いてみます。
!。
けっこうガッシリとしたクワガタの足が3本、洞の端から見えている。
僅かに窺うことのできる胴と胸から、50mm程度はありそうなヤツと推定できる。
『ヒラタかもしれない』。 焦る気持ちを押し殺して一旦出しかけた手を引っ込めます。
思いついたのは針金作戦。
針金をU字に曲げて、洞の奥からヤツを突付いて捕獲確実な場所へと追い立てる作戦です。
そーっとヤツの近くまでにじり寄り、針金の先端で洞の奥側からこちらに向けて突付きます。
サササササッ。
ゴキブリ級の加速で、あっという間に洞の奥までに逃げ込んでしまったぁ〜(涙)。
何故に突かれた方に向って逃げていくんだよ〜(涙)
完全に作戦ミスである。
ヒラタと大格闘を演じることを全くもって疑っていなかったのに・・・
30分くらいの大格闘の末、汗にまみれた勇者の勲章を手にする予定だったのに・・・
凹作の夢は、コンマ数秒の内に洞の奥へと消えてしまったのでした。
腑抜けた気持ちのまま、トラップとしてゼリーを仕掛け、ポイントの更に奥を目指します。
妖しい雰囲気を湛えるプチ台木の手前に差し掛かかる直前。
ボコボコの木肌をした細いクヌギを見上げてみます。
『むむむっ?』。
ボコとボコの間に、結構大き目のクワの背中を発見。
しかし、3m程の高さの所だ。
どうしましょ?ったら登りましょ。ってんで、えっちらホッチラと木登りだ。
『ポロッ』。
登っている途中、クワが上から降ってきた。
急いで飛び降り、枯葉の絨毯に転がっているだろうブツを捜索します。
いたいた。 あれま?でも小さいゾ。
コイツは目指していた大き目な背中を持つクワではない。
コクワだ。
と、思ったら、一見して歯が違う。
ちょっとニッコリ。 原歯型のノコ♂でした!
ルアーケースに原歯型を仕舞って、再度木登りです。
3m地点まで登ったはいいが、なんとも体勢不十分。
真近に見た目標物は、お尻をこっちに向けてガッチリとボコの隙間に食い込んでいる。
針金を使って奮闘すること約3分。
よくやく剥がし出した。と、思ったら指からスルリと抜けて地上に落下。
自分も慌てて樹から降りる。
ホッ。 ヤツは落下現場から動かずにじっとしていてくれた。
樹の上で奮闘していたときからウスウスとは感じていたのだが、、、
でっかいコクワ(47mm)でありました。
しっかしコクワのくせして良いガタイをしてやがる。
歯を取り替えればそのままヒラタで通用しそうである。
ヒラタのようなコクワとコクワのようなノコ。
満足のいく結果を携えての帰宅となりました。
この日の日中は、子供達のお絵かき教室の為に葉山まで車で移動。
途中、自分ひとりを某山で下ろしてもらい、1時間程の新規開拓活動を試みた。
パッとする発見はなく、当日日中の活動はこれにて終了。
後は夜の部に期待です。
=結果=
ノコ♂、コクワ♂