新テロ特措法の延長反対!
田母神空自幕僚長発言弾劾!
「戦争する国」へ驀進する麻生政権を許さない!


 
 麻生政権は新テロ特措法の1年延長を衆院で強行再議決しようとしている。おりから、航空自衛隊トップの田母神俊雄航空幕僚長が「わが国が侵略国家だったというのは濡れ衣だ」とする見解を懸賞論文で披瀝していることが明らかになった。防衛相は10月31日付けで彼を更迭したが、懲戒免職にすることもなく6000万円もの退職金を支払い「平穏」に退職させた。この田母神空自幕僚長は、今年4月、名古屋地裁が「イラク派兵は違憲」という判決を下したときに「そんなの、関係ねえ」と吐いて捨て、自衛隊幹部でありながら三権分立という民主国家の基本的構造さえ理解していないことを暴露した人物である。

 今回問題となった論文では、日本皇軍がアジア大陸を侵略し、人々に塗炭の苦しみを味合わせた先の大戦について、「日本は被害者」だ、「旧満州、朝鮮半島は日本の植民地支配によって…圧政から解放された」とその侵略性を否定し植民地支配を露骨に美化していた。日本政府の安全保障政策についても「集団的自衛権も行使できない。武器使用も制約が多く、攻撃的兵器の保有も禁止されている」と拒否の姿勢をみせ、日本国民は「敗戦を契機に…賎民意識のとりこになった」などと戦争放棄をうたった憲法を全面的に否定しているのだ。03年イラク開戦時や、統合幕僚学校長時代には「いよいよ自衛隊が行動する時代に」「国民の防衛意識を高揚するのも自衛隊の任務」という持論を披瀝していたことも分ってきた。

 ところで政府・防衛省はこのことを承知の上で空自幕僚長に任命していたわけで、田母神氏の発言が決して一部幹部個人の「暴走」というべきものではないことを意味している。マスコミや野党は、文民統制の破壊だ、日本政府の公式見解から外れている、などの理由で問題視しているが、果して問題はそのようなところにあるのだろうか。「政府筋は田母神発言は日本人みんなが思っていることだ」と記者団に述べ(東京新聞11月7日)、「自民党国防部会は田母神氏擁護論が相次いだ」(朝日新聞11月12日)という事実は何を意味するのだろうか。

 10月28日、浜田防衛相は来年度防衛予算要求でCH47ヘリコプターの底に防弾板を取り付け、エンジンを高出力化するための予算要求を提出したことを明らかにした(赤旗11月5日)。何のためか。アフガニスタンにおけるISAF(国際治安支援部隊)に大型ヘリ6機を送り、陸自が、医療活動を名目とするかたちで「駆けつけ警護」をも担うことを憲法違反であることをしりながら検討しているという(東京新聞10月27日)。イラク戦争で敗北が明らかな米政府は日本政府に、アフガン戦争への自衛隊の参戦、膨大な財政支援を執拗に迫りつづけている。田母神発言は、米政権と麻生政権が「戦争をする国・日本」の強化を現実化しようとしているその動きの氷山の一角というべきだろう。

 現在の世界的な金融危機と不況にさらされ、1700万人の非正規雇用労働者がその日の生活に苦しんでいる事を顧みることもなく戦争政策に走る麻生政権を私達は決して許すことはできない。(W)

(2008.11.17発行の『あーてぃくる9』37号より転載)

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