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簡裁代理権・特別研修U | 上へ | |
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〜特別研修は,100時間行われる〜
考査は,受講者につき,この研修の成果が身に付いているか否かを判定するために行われる。考査は筆記試験である。筆記試験である以上,今は懐かしい大学受験時や司法書士試験時の「傾向と対策」方式で準備しなければならない。 平成15年度の簡裁訴訟代理能力認定考査の第1回,第2回の問題は別紙のとおりである。 問題は各回とも3問である。第1問は小問が(1)〜(6)or(7)で構成され,訴訟物,請求原因,認否,抗弁,再抗弁,書証(二段の推定),その他民事訴訟手続に関して出題される。第2問は,簡裁訴訟代理権の範囲について,第3問は,訴訟代理人の倫理についてそれぞれ出題される。 配点は,第1問が50点,第2問が10点,そして第3問が10点の70点が満点である。認定基準点は40点であるから,約57%が合格ラインである。通常の試験では100点が満点であるから,70点満点には奇異な感じを抱く向きもあろうが,嘗て受験した司法試験の論文式試験も100点満点ではなかったと記憶している。推測でいうと,100時間の特別研修を終了したことが30点,考査が70点で合計100点満点となり,70点(70%)以上が合格である。 第1問について 小問(1)は,訴訟物について,小問(2)は,請求原因について,小問(3)は請求原因に対する認否についてであるが,配点は何れも10点である。依頼者からの話と関係資料から訴状が作れれば,20点が貰える。更に,別の依頼者から提示された訴状と言い分から答弁書が作れれば10点貰える。要は,具体的事案に基づいて,訴状と答弁書が書ける力があれば,それだけで合格基準の40点中30点は得られるから,あと10点獲得すれば合格である。 小問(4)〜(6)or(7)は,抗弁関係(抗弁,再抗弁)が10点,書証(二段の推定)が5点,その他が5点であるから,これらの小問の3題〜4題のうち半分できれば合格点であるし,仮に失敗しても第2問と第3問で挽回できる。 第2問について 2回行われた考査では第2問に小問はないが,将来は分からない。しかし,ここで訊かれるのは,司法書士の簡裁訴訟代理権の範囲(限界)である。注釈司法書士法の第3条の解説を読んで,何ができ,何ができないかを整理して考査当日まで記憶しておけば十分できる問題である。 第3問について これは,訴訟代理人としての司法書士の倫理を問うものである。自己契約や双方代理は原則禁止である(民法108条)。しかし,司法書士はこの原則の例外である「債務の履行」としての不動産登記申請の双方代理に何ン十年もの間,ドップリ浸って来ていた。司法書士に訴訟代理人として活動させる前に,司法書士業界の原則(双方代理)が,世間では例外であって,双方代理の禁止が世間の原則であることを覚醒しなければならない,という考えから出題される問題である。石原都知事の「都庁の常識は,世間の非常識!」との発言と軌を一にするものである。 この問題に対する対策としては,日本司法書士会連合会発行の司法書士の倫理を考査間際に斜め読みしたが,結果論的には,民法108条の宣言する原則を理解し,そこから演繹して問いに答えれば○は貰えると思う。 参考書について 1.「要件事実の考え方と実務」加藤新太郎・細野敦著 民事法研究会 2.「注釈司法書士法」小林昭彦・河合芳光著 テイハン 経験論的にいえば,考査対策には上記2冊で十分であり,特に要件事実の考え方と実務をせっせと熟読し,訴訟類型別に訴訟物,請求原因,抗弁,再抗弁等を整理し,二段の推定を理解して憶えておくこと。 なお,以上は,過去問題の分析であって,将来を保証するものではありません(^O^)。 |