"ALFA-ROMEO CANGURO" 
BY CLIMAX Co.LTD
 
 
 クライマックス製1/24スケール“アルファロメオ カングーロ”は、大ブームだった1965年に登場したモデルカーレーシング・キットであります。この後クライマックス社は、クリヤーボディ分野に方向転換してしまいますので、同社としては、唯一のキット商品ということがいえます。 
 1965年発行の「モデルカーレーシング入門」(秋田書店発行)に詳しくこのモデルについて書かれていますので、引用させていただきました。
 
 “先にあげた緑商会のカングーロと同じ車種ですが、やはりよいデザインの車は誰が見ても作りたくなるらしく、この他にも企画中の2社がありますから、国産のカングーロが今年中に4種出るわけで、ロータスフォードや、ロータス30と同じように、このカングーロが今年の流行児になりそうです。ただ原型の車が小さいことが難点で、仮にスケールを1/23にしても、ホイールベースとトレッドが小さいことはレースの場合不利になります。 
 同じカングーロが時期を同じくして2つ出たので、両社を比較してみるとおもしろいのですが、ボディのプロポーションがまるで違います。また、車幅は緑商会のが64mmに対して、クライマックス社は68mmと4mm広くなっています。つまりクライマックスの車は、全長が短く、車幅が広いのです。これは前にも書いたように、原型の寸法が入手できないために、写真から適当にレイアウトして作るためにこうなるのです。 
 モデルカーの場合は、原型に忠実な縮尺ということはもちろん大事ですが、車の走行性能の方を第一にしますから、規格内での寸法のアレンジはある程度かまわないと思われます。この意味でのアレンジであると考えれば、クライマックスの車はトレッドを広くとり、かつ車の重量も150グラムと大変重くなっているので、カーブでの走行性能に重点をおいたものと思われます。この反面、緑商会はトレッドをせまくし、かつ車重は125グラムと軽く作っているので、直線の走行性能を重くみていると考えられます。このことは、車を選ぶ場合大切なことで、自分の走らせるコースに合った性能の車を選ぶポイントになります。
 
 
 この車のボディは、今言ったような幅広の感じは与えますが、ボディサイドの波型の曲線はよく出ています。ただフロントスクリーンやリアスクリーンの透明プラスチックの部分がごついので、多少やぼったい感じを受けますが、全体としてよくまとまったレイアウトに仕上げています。 
 シャーシーは大変頑丈に出来ていて、フレームに引き抜きアルミチャンネルを使っています(上写真)。それも肉厚が2mmもあるので、アルミとはいえかなりの重さになっています。これはチャンネル材ですから、半分の厚さでも強度的には十分だったのではないでしょうが、後部軸受けには、ボールベアリングを使っていますが、装着は簡単です。クラウンギヤはナイロン系の樹脂で、軽くしかも静かにかみ合います。 
 前部のコレクターはスイングアーム式で、スプリングと重量式を併用していますから、まず理想的な圧力が得られます。 
 シャーシーの頑丈さのため車重が150グラムになっていますが、これはFT−36でカバーしなければ引っ張れない重さです。カンガルーという名の軽快さが失われていますが、テクニック型のカーブの多いコースでは強みを発揮するかもしれません。” 

 私は、このクライマックス製“アルファロメオ カングーロ”の実物はついに見ることが出来ませんでした。しかし、クライマックス社が海外のモデルカーレーシングのコピーではなく、オリジナリティを持って製作していたことが、写真やこの説明を見て感じることが出来ました。これが後のクリヤーボディの成功に結びついたとはいえませんが、熱意と先見の目があったことは感じることができました。

 
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