学問と関係のある「答案のつくり方」アドバイス

 

「講義の内容はだいたい理解した、なのになんか点にならないんだよなぁ」という人がいます。理科ってのは不思議な科目で、数学で同じことを訊かれればちゃんと正解が書けるのに、理科ではダメっていう人が結構多いのです。理科に関わるものとして、これはとても口惜しい!

(たとえば、「5分で2倍になる薬(ドラえもんの「バイバイン」)をまんじゅうにかけると、何分で8倍になるか?」という問題は小学生でも解けるのに、「半減期が5年のアイソトープが元の物質量の12.5%になるのはいつか?」という問題だと、大学生ですら間違う人がいる。)

というわけで、化学の答案を作る時のちょっとした注意点をアドバイスしましょう。

 

★1: 単位を大切にしよう!

理科は現実を扱う科目なので、単位はとても大事です。数学では10gを10とか10kgと書いてもちょっとした減点ですみますが、理科では0点です。なにが訊かれているのかをちゃんと考えて解くことが大切です。

一方で理科では単位をちゃんと見れば問題の意味がわかるという利点もあります。

例えば

2 H2 + O2 → 2 H2O               という化学方程式における「O2」と

2 H2 + O2 = 2 H2O + 571kJ    という熱化学方程式における「O2」とは

意味が違いますね。前者の「O2」は、1molの酸素の存在を意味しますが、後者の「O2」は1molの酸素の持つエネルギーを意味するのでした。単位からこの違いは明らかですね。(物質と熱エネルギーを足すような単位の違う足し算はヘンだよね!)

物理などでは単位だけみれば解ける問題が結構ありますが、化学でも単位の理解は大きなヒントになるので、ちゃんと問題の意味を考えましょう。

 

★2: 非常識な数値に注意!

 数学の身長を訊く問題で「57m」と書いたらコンバトラーVでない限り間違いですね。

体重も「1000kg」とかだとヘンだなと思うはずです(世界一体重の重い人は1200kg以上あったそうですが)。

 それは多くの人が判るのに、化学の問題では「入れるべき量は108mol」とか「濃度は100mol/l」とか答案に書く人が結構いるのが残念です(純水のH2O濃度ですら55mol/lですからね)。例えば濃度は、入試的にはほとんどの場合1mol/l以下になるはずです(「希薄溶液の性質」でやりましたね?)。非常識な値が出た場合には考え直す必要があるでしょう。

 

★3: 方程式の両辺は?

 方程式(equation)は両辺が等しくないといけません。勿論化学でもそうです。物質や電荷やエネルギーが消え失せたらおかしいですね。

H2 + O2 → H2O だとか(左右の原子の数が違う)、

2H+ → H2 だとか(左右で電荷の合計がずれている)、そういう間違いをするとミスではなく、理解できていないとみなされてしまいます。注意しましょう。

 

★4: 訊かれていることにちゃんと答えよう!

 1の単位と関連することですが、質問にはきちんと答えましょう。「物質量(mol)を求めよ」に対し質量(g)を答えてはダメですね。問題の指示はちゃんと読みましょう。「化合物名を答えよ」の質問にH2SO4と化学式を書いたり、「構造式を書け」にCH3COOHと示性式を書いたりしてはいけません。

 

★5: 解答欄はどんな形式?

 マークシートだったり、解答欄が小さな枠だったりする場合は途中経過を書きたくても書けません。こういう場合は、結論だけを採点しているわけです。

しかし、何行も大きな解答欄が与えられた場合は、途中経過を示すことを要求されていることが判りますね。数学だったら絶対結論だけ書いたりはしないのに(中学生じゃないんだから)、理科だと結論だけで終わりにする人がいるので注意してください。これではほとんど点数はもらえません。もっとも、経過は流れが判ればよいので、莫迦丁寧に書く必要はありません。これも数学と同じです。

 

それではがんばりましょう。なお、“学問とは関係のない「答案のつくり方」アドバイス”もつくりましたので参考にしてください。