What's New (December, 1997)



■1997年12月22日

 マイケル・ハッチェンスは亡くなるわ、フェントン・ロビンソンは亡くなるわ、マイケル・ヘッジスは亡くなるわ、ニコレッタ・ラーソンは亡くなるわ。そして伊丹十三…。

 マイケル・ハッチェンスも自殺だとか。伊丹十三の場合もとりあえずそう伝えられているし。そんなふうに自らの命を絶つことも含めて、人間にはそれぞれの寿命ってやつがあって。それぞれがそれぞれのやり方で死の瞬間に向かって生きているんだとは思うけど。

 多かれ少なかれ自分の人生の一部に何かを与えてくれたクリエイターたちの死に直面するたび、なんとも言えない、どうにもならない無力感を覚える。でもって、つながってるんだかつながってないんだか、さっぱりわからないけど(笑)、やっぱり自分がやりたいことをやりたいようにやっていかなきゃと改めて思うハギワラなのでした。悔いが残っちゃいかんもんね。ぼくなんかもう人生折り返してますからね。残りの人生たっぷり生きたとしても、これまでの人生で聞いてきた音楽と同じ量しかもう聞けないわけで。時間がないんだ。もっともっといい曲をたくさん聞きたい。つまらんもの聞いてるヒマはないぜっ。がんばるぜっ。

 何言ってんだか、よくわかりませんが。昨日、ノージと一緒に六本木のピットインで吉田美奈子さんのライヴ、見てきました。気の合うツワモノ・ミュージシャンをバックに従え、たまらんグルーヴを聞かせてくれました。すんげえかっこよかった。どこにも迷いがないというか、ウソがないというか。いや、ホントはあるのかもしんないけどさ(笑)。でも、少なくともぼくにはそんなもの微塵もないように思えて。心が躍った。

 美奈子さんは来年のアタマでユニヴァーサル(旧MCA)との契約が切れてフリーになっちゃうんだとか。ここんとこ、本当に密度の濃い、すばらしいアルバムを3枚作ってぼくたちを驚喜させてくれた美奈子さんだけれど、メガ・ヒットの幻想に浮かれているわりには不況のまっただ中にあるレコード業界のつまらん企業論理とは結局ウマが合わなかったってことだろう。でも、美奈子さんは神々しくグルーヴし、誰にも真似できないスーパーな歌声と歌心を、ありのまま、何の飾りもなく、堂々と、ぼくたちピットインに集まったファンに向かってぶちまけてくれた。

 今、美奈子さんには悔いなんかカケラもないんじゃないかな。ライヴの熱気に浮かれた頭で書いているので、冷静な感想ではないけれど、ぼくはそう思った。美奈子さんの生き方はむちゃくちゃかっこいいと思う。



■1997年12月9日

 さてさて。

 お約束通り、以前アンケートに答えてくださったたくさんの方の中から、プレゼントを差し上げる方、抽選しました。ほんとはみなさんに何か差し上げたいくらい感謝してるんですけど、そうもいかないので。

 すんません。今回は3人の方にプレゼントします。3人って数字も別に根拠はないんですが。とりあえずそうしました。いただいたアンケートそれぞれに番号を振って、宝くじ方式で番号をチョイスしました。でもって、当選なさったのは、藤川毅さん、山下元裕さん、Takuya Sutoさんです。

 プレゼントの景品、ちゃんとは決めてなかったんですけど(笑)。それぞれにメールでご相談しますね。当たらなかった方、ごめんなさい。またこういうプレゼント企画やりますので、見捨てないでご愛顧ください。



■1997年12月1日

 祝2周年! ってことで。

 おととしの11月にテキトーな気分でスタートさせた本WEBも、いつの間にやら2年突破っす。正確にいつ始めたのかは全然記録していないのでわからないんだけど(笑)。現存する最古のページとしては、1995年11月30日付けで書いているレビューです。これこれ。昔はHTMLのこととか全然わかってなかったからずいぶんとシンプルなページですわ。まあ、やってることは今と変わらないんだけど。

 何はともあれ、このページに遊びにきてくれるみなさんのおかげで、ぼくの気ままなCD購入日記みたいなものも2年続きました。ありがとう。まだぼくは飽きてないので、このまま続けるつもりです。これからも気楽に遊びにきてください。よろしくね。

 そいから、このたび『シンガー・ソングライター』って本を監修しました。ミュージック・マガジン増刊“CDベスト100”シリーズの一冊です。70年代のジェームス・テイラーやジャクソン・ブラウンから90年代のベックやロン・セクスミスまで、シンガー・ソングライターの名盤100枚をぼくが選盤。豪華な執筆陣がそれぞれを解説してくれてます。レコ屋まわりのお供にしていただければ…っつー感じです。小倉エージさんや長門芳郎さんと70年代当時の日本でのシンガー・ソングライター・ブームを語った座談会とか、佐橋コロちゃんとシンガー・ソングライター・サウンドを分析した対談、 jem の渡辺睦夫さんによる90年代シンガー・ソングライター名鑑、中川五郎さんによるシンガー・ソングライターの歌詞の世界など、読み物もいろいろ載ってます。読んでね。1200円です。