マイケル・ハッチェンスは亡くなるわ、フェントン・ロビンソンは亡くなるわ、マイケル・ヘッジスは亡くなるわ、ニコレッタ・ラーソンは亡くなるわ。そして伊丹十三…。
マイケル・ハッチェンスも自殺だとか。伊丹十三の場合もとりあえずそう伝えられているし。そんなふうに自らの命を絶つことも含めて、人間にはそれぞれの寿命ってやつがあって。それぞれがそれぞれのやり方で死の瞬間に向かって生きているんだとは思うけど。
多かれ少なかれ自分の人生の一部に何かを与えてくれたクリエイターたちの死に直面するたび、なんとも言えない、どうにもならない無力感を覚える。でもって、つながってるんだかつながってないんだか、さっぱりわからないけど(笑)、やっぱり自分がやりたいことをやりたいようにやっていかなきゃと改めて思うハギワラなのでした。悔いが残っちゃいかんもんね。ぼくなんかもう人生折り返してますからね。残りの人生たっぷり生きたとしても、これまでの人生で聞いてきた音楽と同じ量しかもう聞けないわけで。時間がないんだ。もっともっといい曲をたくさん聞きたい。つまらんもの聞いてるヒマはないぜっ。がんばるぜっ。
何言ってんだか、よくわかりませんが。昨日、ノージと一緒に六本木のピットインで吉田美奈子さんのライヴ、見てきました。気の合うツワモノ・ミュージシャンをバックに従え、たまらんグルーヴを聞かせてくれました。すんげえかっこよかった。どこにも迷いがないというか、ウソがないというか。いや、ホントはあるのかもしんないけどさ(笑)。でも、少なくともぼくにはそんなもの微塵もないように思えて。心が躍った。
美奈子さんは来年のアタマでユニヴァーサル(旧MCA)との契約が切れてフリーになっちゃうんだとか。ここんとこ、本当に密度の濃い、すばらしいアルバムを3枚作ってぼくたちを驚喜させてくれた美奈子さんだけれど、メガ・ヒットの幻想に浮かれているわりには不況のまっただ中にあるレコード業界のつまらん企業論理とは結局ウマが合わなかったってことだろう。でも、美奈子さんは神々しくグルーヴし、誰にも真似できないスーパーな歌声と歌心を、ありのまま、何の飾りもなく、堂々と、ぼくたちピットインに集まったファンに向かってぶちまけてくれた。
今、美奈子さんには悔いなんかカケラもないんじゃないかな。ライヴの熱気に浮かれた頭で書いているので、冷静な感想ではないけれど、ぼくはそう思った。美奈子さんの生き方はむちゃくちゃかっこいいと思う。