Shop Around List (Oldies): 12/25/1995


■"The Best Of Freddy 'Boom-Boom' Cannon" Freddy Cannon (Rhino)
 むっちゃくちゃかっこいいマサチューセッツ出身の白人シンガー、フレディ・キャノンの充実したベスト。1958年に“ザ・スピンドリフツ”名義でリリースしたシングルに始まり、59年のソロ初ヒット「タラハッシー・ラッシー」以降の怒濤の連続ヒットがずらり。66年のヒットまで、全20曲入りだ。全チャート・ヒットをカヴァーしているわけではないけれど、大方、重要なところはきっちり押さえてある。さすがはライノです。こんなにでっかい音でベース・ドラムをフィーチャーしたのはこの人が最初なんだとか。そのせいで“ブン・ブン”というニックネームがついたらしい。ロックンロールのビート感を確立するうえで重要な役割を果たした人ってわけ。最高、最高!

■"Greatest Hits" Barbara Acklin (Brunswick)
 スウィングアウト・シスターだっけ? 「アム・アイ・ザ・セイム・ガール」をカヴァーしてたのは? で、そのオリジナルを歌っていたシカゴの女性R&Bシンガー/ソングライターのベスト盤っす。68年の初ヒットから73年にブランズウィック・レーベルを去るまでの音源からのセレクション。よきころのシカゴ・ソウルが堪能できます。

■"The Madison Time with a Hollywood Jazz Beat" Ray Bryant (Collectables)
 レイ・ブライアントはジャズ・ファンにおなじみのフィラデルフィア出身のファンキーな黒人ピアニストだけど。ポップス・ファンには、60年に放ったごきげんなダンスR&Bヒット「マディソン・タイム」と、翌61年にアレサ・フランクリンとともにレコーディングした「ウォント・ビー・ロング」のみで知られている。67年に思い出したように「ビリー・ジョーの唄」をチャートのすみのほうにランクさせてはいるが、チャート上ではジャズの偉人も単なる一発屋だったりする。非情だ。てなわけで、これは「マディソン・タイム」の時期の演奏を集大成した1枚。サンプルねたとしても重宝がられそうな感じ。

■"Greatest Hits" Fat Larry's Band (Fantasy)
 グレイテスト・ヒッツ……とか言ってるけど、この人たち、そんな大してヒットはないんだよなぁ(笑)。でぶっちょのラリー・ジェイムス率いる70年代後半のディスコ・バンド。確か全米R&Bチャートで40何位とかいうのが最大のヒットだったと思うけど。昨今のディスコ・クラシックス再評価の波の中、どさくさにまぎれて再発が実現……って感じでしょうか。けっこうワタシ、なつかしく聞きましたが(笑)。

■"Nilsson '62" Harry Nilsson (Retro)
 こんな盤、CDで出てたのかぁ。ニルソンがまだ銀行につとめながらソングライターとして売り込み活動を続けていたころ、スコット・ターナーという先輩ソングライターのためのデモ・テープ・シンガーをつとめたときの音源。アナログ盤でも出たことがあったけれど、CDになってずいぶん曲が増えている。歌のうまさはこのころからすごかったってことだけはわかる資料的な1枚。ちなみに、この音源のバックをつとめているのはジェームス・バートン、レオン・ラッセル、ハーブ・アルパート、ハル・ブレインといった当時の一流どころらしい。すごいね。ニルソンについては、ずっと以前(まだ彼が亡くなる前)、『レコード・コレクターズ』誌のためにバイオグラフィ記事を書いたことがあるので、それを内緒でそっと載せておきますね。


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