ぼくが大学生のころだから、1970年代の後半ごろから、ぼくはこの人たちが大好きなのだ。アスリープ・アット・ザ・ホイール。以前、ここでクリスマス・アルバムをとりあげたことがあったけれど、今回の新作は、彼らの重要な、そして最大のルーツであるウェスタン・スウィングの王者、ボブ・ウィルスへのトリビュート・アルバム。
これまでも、アスリープの連中はよくボブ・ウィルスのレパートリーをカヴァーしていたし、実際に5〜6年前、別のトリビュート・アルバムを出したこともある。あのときも、チェット・アトキンス、ブルックス&ダン、ガース・ブルックス、ドリー・パートン、ジョージ・ストレイト、ウィリー・ネルソン、ライル・ラヴェット、ヴィンス・ギル、ヒューイ・ルイスら、豪華ゲスト陣を招いてのごきげんな1枚だった。
で、今回も同趣向。ウィリーさんやライルさんやヴィンスさんは前回から引き続き今回もまた登場。他にもドワイト・ヨーカム、ディクシー・チックス、リーバ・マッキンタイア、ティム・マッグロウ、マーク・チェスナット、クリント・ブラック、トレイシー・バード、マール・ハガードといったカントリー界の人気者から、ショーン・コルヴィン、マンハッタン・トランスファー、そして、なんとなんとグッド・タイム・ミュージック・シーンの有望な後輩、スクァーレル・ナット・ジッパーズも参加。それぞれ1曲ずつアスリープと共演しながら、ボブ・ウィルスの偉大なレパートリーをカヴァーしている。
ロックンロールの重要な源流ともなっているウェスタン・スウィングのごきげんなグルーヴを、これほど豪華な顔ぶれが再現してみせてくれるのだ。わくわくしますよ、これは。出来は前回のトリビュート盤を上回る。
アルバムのオープニング。トミー・オルサップとヴィンス・ギルとスティーヴ・ワリナーのギター、フロイド・ドミノのピアノ、ラリー・フランクリンのフィドルをフィーチャーしたインスト「ボブズ・ブレイクダウンズ」からいきなりウェスタン・スウィング魂全開。でもって、ラストを飾るスロー曲「ゴーイング・アウェイ・パーティ」ではアスリープの演奏をバックに、マンハッタン・トランスファーがジャジーなコーラスを聞かせて、ウィリー・ネルソンが絶妙のリード・ヴォーカルを披露する。泣けます。
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