1999.8.6

This Time
Los Lobos
(Hollywood)

 近ごろ、メンバー各自のソロ・プロジェクトのほうが目立っていたロス・ロボス。解散しちゃうんじゃないか、いや最近はヒダルゴばっか目立ってるからロサスが脱けちゃうんじゃないか、などなど、ぼくもドキドキ思い悩んでいたのだけれど。しかし、出ました。バンドとして新作アルバム。

 相変わらず、ミッチェル&チャドとの共同プロデュース。全11曲中、8曲がデイヴィッド・ヒダルゴ作。シーザー・ロサスの曲は3曲のみだ。やはりラテン・プレイボーイズ組の色合いが濃い仕上がり。どっちかっつーとロサス好きのぼくとしては物足りない感じだけれど、まあ、今のロボスはそういう力関係なんだろう。

 ヒダルゴによるオープニング・チューンは、彼らしい甘めのテキサス・ソウル色をたたえた名曲。泣けます。あとはやっぱりブルース色/ラテン色濃いロサスのナンバーがぼくは好きだ。ハイパーなラテン・チューン「クンビア・ラサ」とか、ごきげん。

 ルイ・ペレスが今回もイマジネイティヴな歌詞を提供してます。



Live In Texas
Lyle Lovett
(Curb/MCA)

 95年のラージ・バンド・ツアーの模様を収めたライヴ盤。この夏もラヴェットはラージ・バンド・ツアーをしているそうで。それに合わせてのリリースだろう。テキサス州オースティンでの収録。ペダル・スティール、フィドルはもちろん、ホーン・セクションもいて、さらにチェロもいて。本人を含めて総勢18名。なんでもありの編成で代表曲を中心にいきいきとパフォーマンスを展開している。

 南部R&Bっぽいものから、ウェスタン・スウィング、弾き語りによるフォーク調のもの、ジャジーなミディアム・カントリー・バラード、テックス・メックス・バラード、ホーンをフィーチャーしたビッグ・バンド・ブルース、ゴスペルなど、持ち前の柔軟な音楽性が全開。

 リッキー・リー・ジョーンズを迎えた「ノース・ダコタ」もしみます。



Live From
The Limo Vol.1

Texas Tornados
(Frontera/Virgin)

 もういっちょテキサス州オースティンでのライヴ盤を紹介します。ダグ・サーム、オーギー・マイヤーズ、フレディ・フェンダー、フラコ・ヒメネスによるテキサス・トーネイドスのごきげんなパフォーマンスが楽しめる1枚。おなじみ、アントンズでのステージの模様だ。

 4人とも、もういちいちやることがえぐいというか、華があるというか。各自のソロ・ヒットも交えつつ、テックス・メックスの“メックス”寄りの色合いをちょっと強めた演奏が堪能できる。夏にはこれかも。



Sam
Calvin Russell
(Last Call)

 これまたテキサス州オースティン・ウォッチャーには見逃せないカルヴィン・ラッセルの新作。

 ジェイムズ・ルーサー・ディッキンソンのプロデュースのもと、ロジャー・ホーキンス&デイヴィッド・フッドのドラム/ベース隊を従えて、まあ、なんというか、このジャケットのイメージ通りの、ひたすら渋いルーツ・オリエンテッドな歌声を聞かせてくれる1枚だ。

 オリジナル曲以外にも、「サムホエア・オーヴァー・ザ・レインボウ」を土臭いカントリー・アレンジで聞かせたり、タウンズ・ヴァン・ザントの「ザ・ホール」を取り上げたり。定評あるストーリーテラーぶりを発揮している。



Blue Days
Black Nights

Freedy Johnston
(Elektra)

 前作ではダニー・コーチマーと組んでいたフリーディだけど。今回はT・ボーン・バーネットをプロデューサーに迎えた。やっぱ、こっちのほうが相性が良さそう。

 かの名盤『キャン・ユー・フライ』のフリーディはもうここにはいないみたいなんだけれども、ずいぶんとくっきり、パーソナルなシンガー・ソングライターっぽくなったというか。繊細さとポップさをあわせもつメロディ・センスはかつてと同じながら、それがここではつぶやくように、内省的に歌われていて。今回の収録曲で言うと、「プリテンド・イッツ・サマー」とか「チェンジド・ユア・マインド」って曲あたり、その辺のバランスがうまく表現されている。いい感じです。



Love Songs
To Myself

Walter Clevenger
& The Dairy Kings

(Permanent Press)

 名前はポップトピア関連の流れでずいぶん以前から聞いていたんだけど、この人の97年のデビュー盤を買ったのは確かリリースから半年くらいたってから。なので、ここでは紹介しなかった。とはいえ、ニック・ロウ/ロックパイル経由のバディ・ホリーとか、ラバーソウル期のビートルズとか、そういうアプローチが楽しくて、しばらくヘヴィー・ローテーション・ディスクの仲間入りをしていたことがある。

 そんなクレヴェンジャーさんのセカンド。今回はバンド名義でのリリースだ。確かにバンド色が強く打ち出された仕上がりになっている。アプローチの方向性は前作と変わらず。曲的には、んー、どうかな、前の盤のほうがちょっとだけ良かったかも。でも、楽しいアメリカン・パワー・ポップ盤ですよ。



Bitter To Sweet
Julian Coryell
(Uptown/Universal)

 ラリー・コリエルの息子って、こんなんだっけ?

 昔、CNNかなんかで見たときは、親父さんの流れを受け継ぐジャズ/ブルース・ギタリストとして紹介されて、確かにそのテのライヴ・パフォーマンスが行なわれていた記憶があるのだけれど。あれはこの人? それとも別の息子? よくわかりませんが(笑)。

 とにかく、今回の新作は歌もの。しかも、シンガー・ソングライター系ですよ、これは。曲によってフュージョンっぽい展開を見せるものがあったり、クラシカルなアンサンブルが聞かれたり、血筋を感じますが、基本的にはオルタナ系の新世代シンガー・ソングライターのアルバムって感じ。ルーファス・ウェインライトとかと近い感触も。二世ミュージシャンっぽい感じってことかな。今んとこ、その二世感覚がいい方向に出ているみたい。




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