1998.2.8

An Anthology:
The Elektra Years
The Paul Butterfield
Blues Band

(Elektra)


 一昨年の9月ごろ、この人たちの大ブームが個人的に巻き起こって。そのときのことはここに書きましたが。

 そんな彼らのCD2枚組ベストが登場した。ライノがらみかと思ったら、エレクトラ単独の仕事みたい。いい仕事です。アナログ時代にも充実した内容の2枚組ベスト『ゴールデン・バター』があって、かなり重宝したものだけれど。音質的にも内容的にも今回のものが決定版。彼らの魅力のいいところを見事にすくいあげてくれている。

 単独名義のデビュー・アルバムをレコーディングする以前の音源も満載だ。65年に出たエレクトラのサンプラー・アルバム『フォーク・ソング65』に収められていたという貴重な「ボーン・イン・シカゴ」の初期ヴァージョンに始まり、66年のコンピレーション『ホワッツ・シェイキン』からの曲や、シングル曲や、95年に出た『ジ・オリジナル・ロスト・エレクトラ・セッション』でお目見えした曲などがまず冒頭にずらり。勢いあふれる若き情熱の記録って感じだ。

 で、あとは65年の『ザ・ポール・バターフィールド・ブルース・バンド』と66年の『イースト・ウェスト』からのセレクションでディスク1を埋め尽くし。時期によってメンバーは微妙に違ってくるものの、ポール・バターフィールドのヴォーカルとブルース・ハープ、エルヴィン・ビショップとマイク・ブルームフィールドのギター、ジェローム・アーノルドのベース、サム・レイあるいはビリー・ダヴェンポートのドラム、マーク・ナフタリンのオルガン/ピアノという基本編成によるソリッドでタイトな演奏が楽しめる。

 でもってディスク2に行くと、68年の『ザ・リザレクション・オヴ・ピッグボーイ・クラブショー』からの音源でスタート。デイヴィッド・サンボーンを含むホーン・セクションも加わり、ぐっと成長したところを聞かせてくれる。アーノルド、ダヴェンポートが抜けて、リズム隊をR&B/ジャズ寄りに一新。ブルームフィールドも抜けたが、そのぶんエルヴィン・ビショップがより一層がんばって、ごきげんなプレイを展開している。このアルバム、好きなんだよなぁ。

 以降、ディスク2には、同じく68年の『イン・マイ・オウン・ドリーム』、ビショップとナフタリンが抜けてバジー・フェイトンが加入した69年の『キープ・オン・ムーヴィン』、フェイトンもいなくなり、ほとんどバターフィールドのソロ・プロジェクトと化した71年の『ライヴ』と『サムタイムズ・アイ・フィール・ライク・スマイリン』と、エレクトラ時代のすべてのアルバムからの代表曲がぎっしり。初CD化の音源もたっぷり含むラインアップだ。

 これは燃えます。熱いす。30年前の音なのにね。いや、30年前の音だからこそ、か?


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