1998.1.31
|
|
Yield
Pearl Jam
(Epic)
|
話題の新作。またまた特殊ジャケットでの登場だけれど、表の標識の部分に穴が空いているだけのデジパック仕様。今回はそれほど凝ってない。いつも特殊仕様を強制されて苦労している日本のレコード会社も、今回はラクチンだったんじゃないかな。
このところ大いに迷い続けていた彼らだけれど、とりあえず吹っ切れたようで。そう悪い出来じゃない。アルバム前半には特に『Vs.』のころの痛快に荒々しい感じも戻ってきた。ノッケに入っている「ブレイン・オブ・J」とか、いい時期のパール・ジャムとタメを張る仕上がりだ。
でも、そんくらいの出来でいいのかどうか。パール・ジャムなのに(笑)。
|
|
Titanic:
Music As Heard On
The Fateful Voyage
The White Star Orchestra
(Rhino)
|
タイタニック・ブームにのって出た1枚。タイタニック号と運命をともにしたザ・ホワイト・スター・オーケストラのレパートリーを当時のスコアをもとに忠実に再現したもので。輸入盤屋さんでは去年の夏ごろから目にしていた。ライノが出しているからといって、別に聞こうとは思いもしなかったんだけど。
ところがっ! これまた暮れに国内盤がリリースされたおかげで知ったことにゃ。これ、プロデュース/指揮がイアン・ホイットカムなんだねっ!
別にタイタニックにも興味がなくて、イアン・ホイットカムが誰だかも知らない人には相変わらず必要のないアルバムですが(笑)。でも、彼のことを好きだった人なら、とりあえず体験しといたほうがいいかも。イアン・ホイットカム自身による詳細なライナーもついてます。
|
|
Songs Without Words:
A Windham Hill collection
Various Artists
(Windham Hill)
|
タイトル通り、歌詞なしの音楽集。要するにピアノ・インスト集なんだけど。様々なソングライターが自らのピアノで自作曲を弾いた1枚。新曲/旧曲、交じってます。
参加しているのは、デイヴィッド・フォスター、デズモンド・チャイルド(!)、デイヴィッド・ベノワ、ウォルター・アファナシエフ、ボブ・ジェームズ、ダイアン・ウォーレン、ジェフ・ローバー、キャロル・キングなどなど総勢16人。そして、そこにはなんと、なんと、なんと、ブライアン・ウィルソンの名前も!
つーわけで。ぼくはブライアンが提供している「ジス・イズント・ラヴ」1曲のために買いました。訥々としたピアノで綴られる、まあ、ブライアンっぽい小品。80年に最初の断片ができた曲だそうで。一昨年、久々にトニー・アッシャーと仕事をすることになって、彼に歌詞を書いてもらいつつ完成させたものだとか。そのうちヴォーカル・ヴァージョンも出したいというブライアンのコメントがジャケットに載っていた。たのむよ、ブライアン。
それだけなんですけどね。
|
|
Spirit Voices
The King's Singers
(RCA)
|
もういっちょビーチ・ボーイズ関連商品。
クラシック畑のキングズ・シンガーズがビーチ・ボーイズ、スティング、ポール・サイモン、シャーデー、ピーター・ゲイブリエルらの曲をとりあげた企画盤だ。全14曲中、5曲をブルース・ジョンストンがプロデュースしている。その5曲のうち、3曲がビーチ・ボーイズのレパートリー(「ココモ」「プリーズ・レット・ミー・ワンダー」「ローズ・プレイヤー」)。キングズ・シンガーズは以前「グッド・ヴァイブレーション」のカヴァーもやっていたから、その流れなのかな。
で、まあ、仕上がりは、まぎれもなくクラシックの人がやってるポピュラー・コーラスって感じです。そのまんまです。ビーチ・ボーイズをこの人たちと比べると、たぶんテクニック的には圧倒的に劣っているんだろうなとは思うものの、やっぱりビーチ・ボーイズはロックンロールなんだなぁ。スリルがある。こっちにはスリルなしです。同じヴォイシングでコーラスしていても、うーん、やっぱ面白くないや。
とはいえ、ビーチ・ボーイズ・ファンはいちおう押さえておいたほうがいいかもね。「プリーズ・レット・ミー・ワンダー」にはブルース・ジョンストンとマイク・ラヴがゲスト・リード・ヴォーカルとして参加しているから。間奏部分に新たに歌詞を付けて、マイク・ラヴが歌ったりしてるし。
え? それじゃ別にいらない? そうすか。
|
|
Ay Califas!:
Raza Rock Of The '70s & '80s
Various Artists
(Zyanya/Rhino)
|
最近、チカーノものの再発に熱心なライノの新コンピレーション。
以前、ここでレビューしたイーストLA系コンピに続くチカーノ・カリフォルニア・ロック・コレクションだ。サンタナ、マロ、アステカ、エル・チカーノ、ティエラ、ヤキ、サポといったラテン・ロック・グループの代表曲はもちろん、ロス・ロボスがインディーズ時代にとりあげたメキシカン・ボレロの傑作「サボラミ」とか、フォーク系のダニエル・バルデスとか、コールド・ブラッドやタワー・オブ・パワーのベイエリア・ファンクとか、チーチ&チョンのノヴェルティもの「ボーン・イン・ザ・イーストLA」とか、バリオ最大のアイドル・バンド、ウォーとか、ルーベン&ザ・ジェッツのドゥワップとか、80年代に入ってからのラティーノ・パンクとか……。
ごきげんな収録曲。今年もライノには期待してます。
|
|