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時計について

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●時計の種類

時計は機構的にみて大きく3つに分類できます。
手巻き 機械式時計には「手巻き」と「自動巻き」の2種類があり、リューズをまわす事でゼンマイを巻き上げるものを手巻きと言います。手巻きの時計は毎日手で巻き上げる必要があるものの、構造が単純なので自動巻きに比べ故障し難いというメリットがあります。
双方とも数年(3〜5年)に一度のオーバーホール(分解掃除)を行うことが推奨されており、精度は日差約10〜20秒。
自動巻き 振動でローターが回転しゼンマイを巻き上げる機構の時計を自動巻き、別名「オートマチック」と言います。腕に付けているだけで動き続けるので手巻きに比べ使い勝手が良いというメリットがあります。手巻きと同じく機械式なので、定期的にオーバーホールが必要。また、精度も手巻きと同じです。
クォーツ ゼンマイのかわりに電池と水晶振動子を用いたものをクォーツといいます。 多くの場合電池によって動作し、1年〜10年おきに電池交換が必要です。 精度は月差約0.3〜1.5秒。針で時刻を表示するアナログ、液晶に数字を表示するデジタルがあります。

●時計用語辞典

アップライト(Upright) ダイアル(文字盤)のインデックス(ダイアル上の時間を表す数字)を植字したもので、プリントしたものと比較し凹凸がある。
石(せき) 金属部分の摩耗を軽減する目的で、一方の軸の部分に使用される受石のことでルビーが使われることが多い。「17 JEWELS」という表記があれば、17石使用されていることを意味する。手巻き式で15〜17石、自動巻きでも25〜37石あれば機能上は十分とされる。
インデックス(Index) ダイアルに刻まれた時間を表すための数字の総称で、ローマ数字、アラビア数字、バータイプ、ドットタイプ等の種類がある。「チャプター」とも呼ばれる。また、プリント式、アップライト式といった仕上げがあり、特殊なものとしては各時間にダイヤモンドを配した「12ポイント」等がある。
ウォーター・プルーフ(Water Proof) 防水機能のこと。(別表参照)
SMH スイス最大の時計共同会社(Swiss Corporation For Microelectoronics And Watchmaking Industries)のことで、ブランパン、オメガ、ロンジン、ラドー、スウォッチ社などが参加。
エスケイプ・バルブ 潜水艇を使用して行われる大深度潜水では、呼吸ガスに酸素とヘリウムの混合ガスを用いる飽和潜水で行われるが、この際に時計内部にもヘリウムが侵入、このヘリウムガスは 浮上時膨張して時計を破損させてしまう。
このためこれを自動排出するために装備されているのがヘリウム・エスケイプ・バルブ
エタ(ETA)社 SMH傘下のムーブメント(時計内部の機械機構)供給会社で、スイスのムーブメント業界で約80%のシェア。その他のメーカーとして代表的なのはレデリック・ピゲ、レマニア、ジャガー・ルクルト、ジラール・ペルゴ。
エボーシュ 半完成体の時計ムーブメントで通常はこれを仕入れてムーブメントに仕上げる。
ギャランティ(Guarantee) 保証書のこと。サーティフィケート(Cartificate)とも言う。時計購入の際にはギャランティ、ケース、タグ等を取っておくと買い取りしてもらう際に有利。
キャリバー(Caliber) ムーブメントの型式を表す番号でCal.で表記される。
ギョウシェ ダイヤルやベゼル(風防の周りに取り付けられるリング状の部品)に刻まれる格子柄の装飾のこと。
クロノグラフ(Chronograph) 時刻表示に加えストップウォッチ機構を備えた時計のことで積算用のインダイアル(ダイアル内にあるもう一つの目盛り)を持つ。一つのボタンでスタート、ストップの操作を行うワンプッシュクロノの方が機構は複雑。
クロノメーター(Chronometer) スイス公認クロノメーター協会(COSC)に認定された時計のことで、15昼夜、5つの姿勢差、3つの異なる温度で行われる精度試験を平均日差-4〜+6秒以内でパスしたモデルに「Officially Certified Chronometer」の文字がダイアルに刻まれる。その他の精度検定としてはジュネーブ・スタンプが有名。
GMT(Greenwich Mean Time) 単にGMTといえばグリニッジ標準時を指すが時計の世界では24時間針と24時間表記の回転ベゼルにより任意の2カ国の時間をしることができる機能をいう。
コンプリート・メーカー ムーブメントを含む全ての部品を自社で一貫して製造する技術をもった時計メーカーのことで、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、バセロン・コンスタンチン、フランク・ミュラー、ロレックス、ジャガー・ルクルト、ゼニス、IWC、ミネルバ、ランゲ&ゾーネなどがこれにあたる。
けんずれ 時針、分針、秒針またはクロノグラフ針がきちんと真ん中に揃わない症状。
シースルー・バック(Seethrough back) ケースの裏蓋がサファイアクリスタルなどの透ける素材でできておりムーブメントの動きを眺める事ができる。ダイアルにも透ける素材を使用したものを特にスケルトンという。
スプリット・セコンド クロノグラフで2つの時間を同時に計測できるもの。
スモール・セコンド(Small Second) 6時位置などに秒針だけが独立してある時計の事でこれがダイアルの半分を占めるものを医師が脈拍を測るために使用した事からドクターズウォッチという。センター・セコンドよりも機構が単純。
センター・セコンド(Center Second) 秒針が長針、短針と共に中央に付いている時計の事。
ダイアル(Dial) 文字盤の事。
ダイバーズ・ウォッチ ベゼルに刻まれた目盛りにより、潜水時間を知ることができる防水時計。通常ベゼルは回転させる事ができ、逆回転防止機構がついたものもある。
タキメーター(Tachymeter) 正確にはタキプロダクトメーターといい、ベゼルやダイアルに刻まれた目盛りとクロノグラフ針を用い1Kmを通過する時間で平均速度を割り出す機能のこと。
ダブル・ネーム ダイアルに時計ブランド以外のメーカやショップの名前が刻まれている特注時計のこと。ロレックス社の時計ではフランスの潜水会社「Comex」や「TIFFANY」、「Cartier」のものが有名。
テレメーター(Telemeter) 音の伝わる時間から距離を測定する機能。
トゥールビョン テンプや脱進機などの時計の部品を丸ごと回転させて重力誤差を少なくする仕組み。
ドクターズ・ウォッチ 脈を測る際、秒針が隠れないよう時分針と秒針とが独立してダイアルに配置されているモデルのこと。
トリチウム 自発光性塗料で自発光するが光りかたが弱く、また、放射線を出すので使用量や取り扱いに規制がある。文字盤に「T」、「<25」等で表記され「<25」はガラス外側で測定した放射能量が25マイクロキュリー以下を意味する。(人体に影響を与えるレベルではない。) 放射性元素ということもあり、最近は別の夜光塗料(N夜光(ルミノーバ)等)が用いられる様になってきた。N夜光は畜光性塗料で光に当てておかないと光らないが、非常に明るく、また持続時間も長いのが特徴。
バーゼル(Basel) フランス、ドイツと国境を接するスイスの都市で毎年4月に時計見本市の「バーゼルフェア」が開催される事で有名。
パーペチュアル(Perpetual) 永久という意味で機械式時計では永久カレンダーを指す。
ハック(Hack) リュウズを引くことで秒針を止める事ができる機能。
バックデイト機能 デイト表示が付いたGMTで時間を進ませるとそれに伴って日付も進み、逆に戻した場合にも日付も追従して戻る機能。
バネ棒(Spring Bar) ケース本体にベルトを取り付けるための部品で、高級ブランドでは18Kのものもある。18Kのばね棒は錆びないが傷が付きやすいうえ、高価 なので取り扱いには注意が必要。
バルジュー社(Valjoux S.A.) クロノグラフのムーブメントを製造していたメーカーで現在はETA社の傘下。
パワー・リザーブ ゼンマイの残量計。
バンド 写真
美錠 バンドの止め部分のこと。中留め、中止、尾錠ともいう。
風防(Glass) 文字盤や針の保護に使用されるプラスチックやガラスのカバーの事。人工サファイヤでできたサファイア・クリスタル・ガラスは硬度が高いため傷に強い。また、サファイアガラスに似た特性のミネラルガラス等も使用される。 形としてはフラットなもののほかに、中央が盛り上がったドーム型、面を付けたファセットなどがある。
フライ・バック(Fly Back) クロノグラフ作動中でもワンプッシュで、すべてのクラノグラフ針をゼロ地点に戻すための機構で即時リスタートさせることができる。
ブルー・スチール 焼きを入れて硬くしたスチール針のことで、色が青いことからこう呼ばれる。
ブレスレット(Bracelet) 金属製のベルトの総称で俗にブレスと呼ばれる。
ベゼル(Bezel) ケース外周にある風防を固定するためのリングのこと。特にダイバーズ・ウォッチでは、このベゼルを回転させ潜水時間の計測に 使用する。このベゼルのことを回転ベゼルといい逆回転防止のノッチが付いた物もある。また、GMT機能の時計では24時間針と24時間表記の回転ベゼルにより任意の2カ国の時間をしることができる。
ホーン ケースとベルトを接続する4本の爪のことでベルトはバネ棒で留める。アタッチメント、ラグ(Lug)、アシともいう。
マッドレジスト(Mud Resist) 防塵仕様のこと。
マット・フィニッシュ ステンレス・スチール・ケースの光沢を抑えた仕上げ。
ミニッツ・リピーター(Minute Repeter) 暗闇でもベルの音により分単位で時刻が分かる機構。
ミラー・フィニッシュ ステンレス・スチール・ケースに光沢を持たせるため磨き上げた仕上げ。
ミリタリー・ウォッチ(Military Watch) 軍用に特別に生産された時計で視認性の高い黒いダイアルのものが多い。ミル・スペックとも呼ばれる。
ムーブメント(Movement) ケース内部に収められた時計の機械部分。
ムーン・フェイズ(Moon Phase) 月の満ち欠けを表示する機構。
リダン(Redone) 古くなって色褪せたり、汚れたりしたダイアルを元の状態に塗り直すことで、アンティークの時計ではオリジナルのダイアルとして評価されない。
リファレンス・ナンバー(Reference Number) 時計の製造番号のことでRef.と表記される。多くはモデルチェンジにより番号が変わる。
リューズ(Crown) ゼンマイを巻いたり、時刻やカレンダーをあわせるためのつまみ。漢字では「竜頭」。
レトログラード 針が扇型のダイアルを移動して時間を表示する機構で、パワーリザーブやカレンダーなどに利用される。
ローター(Rotor) 自動巻きの時計において回転する事によりゼンマイを巻き上げるムーブメントの部品。全巻までには約5〜8時間程かかる。

●針(ハンド)の種類

ローマン・ダブル ローマン・ダブル スケルトン スケルトン
ブレゲ ブレゲ アブライト・ライン アブライト・ライン
メルセデス メルセデス バトン バトン
リーフ リーフ カシードラル カシードラル
ペンシル ペンシル ドルフィン ドルフィン
バー バー

その他、ルイ16世様式と呼ばれる複雑で優雅な形状の物もある。


●ケースの形状

オクタゴン オクタゴン(Octagon)

八角形のケースのことでアール・デコ全盛期に登場した。1920年代のロレックスに多く見られる。

オーバル オーバル(Oval)

楕円形のケースのことでレディース・ウォッチに多く見られる。

クッション クッション(Cushion)

1920〜1930年代に流行したラウンドをやや角張らせたクッションの形をした ケース。

シリンダー シリンダー(Cylinder)

円柱状のケースをさし、ラウンド型を厚くした形。

スクエア スクエア(Square)

正方形のケースのことだが、ムーブメントは丸型がほとんど。 「カレ」(フランス語)とも呼ばれる。

トノー トノー(Tonneau)

アール・デコ期のデザインでトノーとはフランス語で樽のことをいう。

バイセロイ バイセロイ(Viceroy)

形状はクッション型とスクエア型の中間でベゼルの周りが平らになっているのが特徴。 1930年代のロレックスの時計に多く見られる。

フレアード フレアード(Flared)

レクタンギュラー(長方形)の両すそが広がっている形状をいう。ロレックスのプリンスが有名。

ラウンド ラウンド(Round)

真円形状をした一番オーソドックスなケースで4本のホーン (バネ棒でベルトを留める部分)が付いている。
特にアタッチメント部分がホーンではなくベルトを引っ掛ける形になっている ものをコインといい女性用腕時計に多い。

レクタンギュラー レクタンギュラー(Rectangler)

1920年代頃から登場した長方形のケースでムーブメントも同様長方形に なっているものが多い。


●風防の種類

サファイア・ガラス 人工サファイヤでできたサファイア・クリスタル・ガラスは硬度が高いため 傷に強いが加工しにくいためフラットに近い形状で加工されることが多い。 文字が見やすく風防に使われる素材の中で最も高級とされる。
ミネラル・ガラス 別名無機ガラスともいい、サファイア・ガラスと似た特性を持つ。
合成樹脂 光沢は劣るものの加工のし易さと頑丈さで普及している。
硬化プラスチック 柔らかいため傷つきやすいが加工し易いためドーム型に盛り上がった美しい風防に加工できる。ドーム型に加工するのは強度を高めるという目的もある。 柔らかく弾力性があるため耐衝撃性には優れている。傷はプラスチック用コンパウンドで磨く事でおとすことができる。

●防水

非防水 ドレスウォッチに多く、雨などにも注意が必要。
30m防水 日常生活防水のことで、汗、洗顔時の水滴、雨などの濡れに対応。
50m防水 水道の水がかかった程度の濡れに対応。水泳は不可。
100m防水 入浴や水泳等に対応。
200m防水 本格的なマリンスポーツやダイビング等に対応。定期的な防水テストの必要あり。
300m防水 大深度潜水に対応。時計にヘリウムガス排出バルブがつくものもある。
時計にとって錆びは大敵、内部が錆びてしまった場合、交換部品が無いと修理不可能になってしまいます。
(竜頭、風防、パッキンを除く消耗品は旋盤で削りだすことが可能とのことですが。)
このため、たとえ防水仕様の時計であっても、極力濡らさないことが、長く時計とつき合う秘訣です。

●バンドの仕立て

へり返し仕立て

表材の革で芯材を包むようにし、後から裏材の革を張り合わせる仕立て。 ほとんどが手作業であるため手間がかかり、また、ワニ革などの加工には 高度な技術が必要。これに加えて表革も多く使うので高価だが耐久性はある。

フランス仕立て

裏材の革で芯材を包むようにし、後から表材の革を張り合わせる仕立て。 この仕立てもほとんどが手作業あるため手間はかかるが、表革が少ない分 価格が手頃。また、へり返しと同様耐久性はある。

半へり仕立て

芯材より少し大き目の表革で、芯材のサイド面まで革を立ちあげた仕上げ。 このため、サイド面がはがれやすいという欠点はあるが、かなりの工程を機械化できるので安価。ばね棒を通すエンドピースの部分に芯が見えているのがへり返しとの違い。

切れ目仕立て

カッティング仕立てとも呼ばれる。先にバンドより大き目の表材と裏材の革を張り合わせておき、これを後でバンドの形に合わせてでカット(型抜き)した仕立て。サイドに断面ができるためコバに塗料をぬり仕上げる。かなりの工程を機械化でき、工程も少ないため安価。芯材を包み込む形ではないため柔らかめのバンドに仕上がるが逆に耐久性に欠ける。