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革について

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●牛革の種類

一般に成牛皮のように25ポンド以上ある厚く重い皮をハイド(Hide)、 仔牛皮のように薄くて小さい軽い皮をスキン(Skin)と呼びます。
カーフスキン 生後6ヶ月以内の仔牛の皮をなめしたもの。
きめ細かく柔らかいため牛皮の中でもっとも上質とされる。
靴甲革(アッパー)、鞄、ベルト等
キップスキン 生後6ヶ月〜2年の中牛の皮。 カーフより厚手でカーフについで上質。 靴甲革(リーガルの靴が有名)、鞄、ベルト等
カウ・ハイド 生後約2年の牝牛の皮で厚くて丈夫なのが特徴。(ステアより薄い。) 靴甲革、鞄、ベルト、靴底革(ソール)等
ステア・ハイド 生後3〜6ヶ月に去勢された牡牛が成牛(22kg以上)になった時(生後2年以上)の皮で最もよく使われる素材。 靴甲革、鞄、ベルト、靴底革等
ブル・ハイド 生後3年以上の去勢されていない牡牛の皮で最もキメが粗い。 厚くて丈夫なので主に底革に使われる。 靴甲革、鞄、ベルト、靴底革等

●その他の革

コードバン 馬のお尻または背の部分をタンニン鞣して染色した革。褐色の光沢がある。繊維が緻密なので丈夫で長持ちする。
水による変色、変質と言う欠点もある。
靴甲革(オールデンの靴が有名)、ランドセル等
ピッグ 摩擦に強いブタの皮。軽量で耐久性があり、通気性にも優れる。表面には3つずつの毛穴が開いているのが特徴。 靴甲革、鞄等
ゴート 羊の革より硬いヤギの皮で丈夫で感触がソフト。毛穴の形に特長がある。子ヤギの皮はキッドスキンと呼ばれる。 靴甲革、鞄等
シープ
(ヤンピ)
羊の皮で薄く軽く柔らかい。防寒材料として優れており、主に手袋やロングブーツなどに使用される。仔羊の皮はラムスキンと呼ばれる。但し、やや弱い。 手袋、ブーツ、ランチコート等
カンガルー 薄くて丈夫でキメが細かくカーフよりも高級とされるが傷には弱い。 高級靴、バッグ等
オーストリッチ ダチョウの皮で羽を抜いた跡が丸く突起しているのが特徴の高級素材。非常に丈夫で、使うほどに手になじみ艶も出てくる。 バッグ、靴甲革、時計バンド等
ペッカリー 柔かい中南米諸国原産の野豚の革。 財布等
チンギャーレ 丈夫で摩擦に強い上、軽くて通気性も良いイノシシ革。表面に小さな3つの毛穴があり独特の素材感。 鞄、財布等
シャーク 小型のよしきりザメの皮革。摩擦などに対しては強いが防水効果は特にない。 時計バンド等
ハラコ 牛の胎児の毛皮(漢字では腹子、英語では「Unborn Calf」)。 不幸にも母牛のお腹の中で死んでしまった胎児、このため数が少なく、原皮も小さいので高価。
この代用品として用いられるポニーの毛皮(胎児ではない。)も便宜上ハラコと呼ばれることが多い。
靴、鞄等
ガルーシャ なめしたアカエイの革の表面を削ったもの。別名スティングレイ。 財布等

●ハ虫類の革(レップタイル・レザー)

ワニ革

凸凹模様が特徴の高級素材でクロコダイル種とアリゲーター種がある。最上級のクロコダイル(東南アジア産のイリエワニ)やアリゲーター、カイマンなどが有名。また、部位では、肚ワニ(はらわに)と言うワニの腹部が高級とされる。鱗の模様によって玉符(柔らかめ)と竹符(硬め)がある。

バッグ、ベルト、時計バンド等

トカゲ革

丸斑模様のリング、縞斑のオーバルなど様々なものがあり、ジャワのリザードが有名。また、リングマークトカゲ(リングトカゲ)が最も高級。 バッグ、靴甲革、時計バンド等
ヘビ革 美しい鱗が特徴だがあまり丈夫ではない。特ににしきヘビ(パイソン)が有名。 バッグ等

●加工別による革の分類

銀つき革 一般にスムースと呼ばれ鞣して染色しただけの、銀面(表面)を活かした純正革。 本染め革とも呼ばれる。厚い革を2枚か3枚にスライスした一番上の1枚目(表面の付いている部分)を銀付き革と言い、2枚目、3枚目をそれぞれ一番床革、二番床革と呼ぶ。
ガラス張り革 鞣した後、ガラス板やホーロー板に張り付けて乾燥、銀面に磨き処理(バフィング)、合成樹脂塗装という工程でつくられた革で硬くてツヤがある。
スエード(スウェード) クロム鞣した牛、山羊、羊等の革の裏面をサンドペーパーでベルベット状に起毛した革で毛足が短くソフトなものほど上質とされる。 スウェーデンで考案された技法ということで、仏語のスウェーデンが名前の由来。バックスキンもこう呼ばれることがある。また、毛足を整えていないものはラフアウト・レザーと呼ばれ、アウトドア・ブーツなどに使用される。

バックスキン

鹿革(BUCK)の総称で特に牡鹿の銀面(表面)をビロード状に起毛させたものをさす。今日では、同様の工程で起毛された牛革や羊革のナップド・レザーをさすこともある。
ヌバック 牛革の銀面(表面)を起毛させたベルベット状の革。バックスキンより目の細かいペーパーを使うため毛足が短く、防水性のオイルド・ヌバックがアウトドア・シューズ等に用いられる。NEO(新しい)バックが語源とされる。
ベロア 成牛革の裏面を起毛させた革でナップド・レザーとも呼ばれる。 スエードよりも粗く、毛足が長く、デザート・ブーツやワラビー等に利用される。
揉み革 グレイン、スコッチ・グレイン・レザー(SCOTCH GRAIN)とも呼ばれ、鞣した後、揉んでしわ(しぼ)をつけた革。大鹿に似せたエルクの他に水しぼ、角揉み、八方揉み等がある。
型押し革 鞣した後、銀面に模様を加熱高圧プレス機でプレスした革で表面のしぼが特徴。英ペポディ社のものが有名。また、ワニやトカゲなどの革に似せたものが多い。
エンボス、スタンプレザーとも呼ばれる。
シュリンクレザー 鞣し工程中に、特別な薬品を使って銀面を縮ませた革で揉んだ革よりもしぼが 強調されている。
ボーデッドレザー 表面に軽いしわ加工や型押しを行い、細かな線模様を入れた革。
モロッコ革 小石を敷いたような独特の模様の革で、山羊革をタンニン鞣したもの。
エナメル革(パテントレザー) クロム鞣し後、銀面に合成樹脂(エナメル、ポリウレタン樹脂)を塗装してピカピカに光沢を出した革。日本の漆塗りをヒントに考案され、アメリカでパテントが取られたことからパテントレザーとも呼ばれる。汚れが付きにくく手入れも簡単だが寒さに弱くひび割れしやすい。タキシードと合わせて履くオペラ・パンプス等に利用される。
オイルドレザー 動物油(主に魚油)でなめした革で、オイルによるはっ水性により、水分による劣化が少なく、しっとりとした感触がある。独特の光沢、色むらと粗い表面が特徴。オイル・レザー、オイル・アップ・レザーとも呼ばれる。
ぬめ革 タンニン鞣ししただけの染色も塗装もされていない革で革そのものの味わいがある。使いこむことで飴色に変色し風合いが増す。
水や油に弱い。
革メッシュ 紐状の革を編んでシート状にしたもので通気性に富んでいる。

セーム革

山羊や羊などの革を油鞣しして、スエード状に仕上げた革。時計や貴金属を磨くのに利用される。柔らかく、しなやかで洗濯もできる。
底革 本底用に鞣した革で普通、成牛革をタンニン鞣ししている。 厚いまま硬く仕上げている。 靴の底等に使用される。
床革 銀面をそいだ、残り部分を鞣した革で粗い。 樹脂塗料やエンボス加工を施して、あたかも銀付き革であるように見せかけ、鞄等に使用されることもある。床ベロアはクロム鞣しの床革を起毛したもの。
シルキー 仔牛の革でスエードと同じように作られるが、さらにソフトで最高級品。
ナッパレザー 生後1年未満の仔牛、仔羊なめし、回転するドラムの中で揉んでシボを付けたもの。
非常に柔らかいのが特徴。

●通称による革の分類

スムースレザー 最も鞄に使われる2mm厚程度のカーフで、使っているうちに風合いが でてくるのが特徴。
ブライドルレザー フルグレインカウハイドをタンニンでなめした後、長期間蜜蝋に繰り返し漬け込んでなめした耐久性の高い素材でブライドル(クツワなど馬具の総称)用に英国で開発された。ロウでコーティングされている為、変色や雨に対して強く、使い込むほどに光沢が益し、いつまでも頑強であるのが特徴。
使い初めにブルームと言われる白い粉が吹いていることがある。
BELTING LEATHER 西部ステア・ハイドを傷やしわを除きタンニン鞣をした後、つやを出すためオイルにつけて加工したもの。(HARTMANNの鞄に使用されているものは、発電機のベルトに使用されている工業用牛革を同様な製法でなめしている。)
サドルレザー 馬の鞍に使われる厚みのある革。
グラブタンレザー アメリカの鞄メーカCOACH(コーチ)の鞄に使用されている素材で、野球グローブに使用されている革からヒントを得て開発された。しなやかで色落ちしにくいという特徴をもつ。
ボックスカーフ ベビーカーフをクロムでなめし、顔料仕上げを施した肉厚な素材。柔軟性と伸縮性に富み、使いつづけても表面に変化がでないのが特徴。フランスの革メーカ、デゥブイ社のものがエルメスでも使用され有名。
コノリーレザー イギリスの鞄メーカであるタナー・クロール社の鞄にも使用されている英コノリー社独自製法の革。手触りが良い上、耐摩耗性、耐水性にも富む為、ロールスロイスのシートにも使用されている。

●革部位の名称

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1.ヘッド(Head) 5.バット(Butt)
2.ネック(Neck) 6.ベンズ(Bend)
3.ベリー(Belly) 7.クロップ(Crop)
4.ショルダー(Shoulder) 8.サイド(Side)

●鞣(なめし)方の種類

一般的に動物から剥いだままのかわの状態を「皮」と言い、この「皮」の毛を 取り除いたり、防腐処理をしたりして、鞄や靴などに使えるように 加工したものを「革」と言います。 そしてこの加工の工程を「なめす」と言います。
なめす事で腐ったり、乾燥してニカワ状になることを防ぎ、長く使用できるように なります。
具体的には、タンニンやクローム塩などを浸透させてコラーゲン繊維と結合させる 化学処理のこと。
クロームなめし 合成剤(硫酸クロム、重クロ ム酸ナトリウム、カリウム塩、クローム塩など)を用いた科学的製法による鞣方で、革製鞄では8割をしめる。 ソフトな風合いで表面に青みがかった深い光沢があり、柔軟性、伸縮性に富み、また、摩擦にも強く耐久性、耐水性がある。但し、水を吸収すると乾燥が遅い。
タンニンなめし
(渋なめし)
天然の植物(木樹の渋抽出した天然剤)を利用した製法で、手間はかかるが より自然な風合いが楽しめ(使い込むほどに独特の色に変化)、使い込むほど柔らかくなる性質をもつ。濡れても乾燥がはやく、伸びにくい。また、吸水性が良く染料に良く染まる。オーク、チェスナット等を使った植物なめし(Vegetable Tannage)の一種で鞣した革は黄褐色をしている。
ベジタブルタンニングとも呼ばれる。
混合(複合)なめし 2種類以上のなめし剤の特徴を生かし、用途毎になめしたもので、クロームなめしした後、タンニンなめしをした、野球グローブ用のグローブレザーが一例。コンビなめしともいい、逆にタンニンなめし後、クロームなめしすることを逆コンビという。クロームとタンニンの長所を生かした革を作ることができる。
油なめし 動物の油脂で皮を鞣す方法で、耐水性に強い。セーム革がこれにあたり洗濯も可能。
オイルドレザー 動物油で皮を鞣す方法。渋なめしする際にオイル分を多く含ませた革。
アニリン加工 なめしではなく染色方法。色落ちしやすいデリケートな染色だが 革がへたりにくいという特徴がある。

●防水加工

防水加工にはおよそ3種類のやり方があります。
1つめは製品ができてからエアスプレー等を使って防水剤を吹きかける方法です。 簡単にできる反面、表面のみの処理なので防水効果は期待できません。
2つめは製品ができてから防水剤につけ込んで良く浸透させてから 乾燥させる方法です。
3つめは原皮の状態のときに防水剤を染み込ませる方法です。 2つめと3つめの方法はコストも掛かる分その効果も長持ちします。