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No.3 危機管理と予習のハナシ
「ニューヨーク」と聞いて、「テロ」とか「犯罪」とかいった嫌な言葉を思い出す人も多いかもしれない。もちろん、いまニューヨークで戦争が起きている訳ではなく、大袈裟に考える必要もないのだが。
ここでは、時節柄、作者が旅行に出る2002年7月までの間、何に気をつけてどんな準備をしたか、書いてみたい。
- 何が起こるか?
- 旅行を楽しむ情報戦
- その他、予習で読んだもの
おことわり
自分の身に降りかかるテロや犯罪の被害を予防すること・少なくすることは、あくまでも自己責任で行って下さい。
(そんな人絶対いないと思うけど)「ここに渡辺が書いたからその通りにしてればOKだ」と決めつけて、その通りにして被害に遭っても、このページを書いた渡辺 剛は一切の責任を負いません。
そのへんどうすれば良いかは、各自研究のこと。某グリーンマックスの説明書みたいやな。
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3-1 何が起こるか?
ニューヨークは危険な場所か?
まず考えたのは、「彼の地で何が起こり得るか」ということ。考えられることを片っ端から書いていくと、こんな感じになる。
乗っていた飛行機が落ちる、空港に着くなり荷物が出てこない、YesとNoを聞き違える、白タクに強引に乗せられてボラレorそのまま監禁、空港でいきなり銃乱射事件に巻き込まれる、荷物置き引き、困っていても誰も助けてくれない、乗っていた電車が脱線してケガ、車内で強盗、街を歩いていたら暴漢に襲われる、財布をなくす、ホテルに着いたら火事、繁華街で爆弾テロ、きれいなお姉さんについていったら実は犯罪者、危ない街に迷い混む、大災害が起きて避難しようにも航空券が取れない、誰にも連絡がつかない、etc...
次に「同じことが日本でも起こるか」考えてみる。
起こる、起こる、起こる、起こらない、起こらない、起こる、起こる、起こる、起こる、実際に起こされた、起こる、起こる、起こる、起こる、起こる、etc...
このような流れ出考えてみると、要は「ニューヨークで起こり得ることは日本でも十分起こり得る」ことばかりである。「日本で用心深くしている時のように現地でも振る舞えれば」、基本的にはそんなに心配することは無かろうと思う。
情報がこじらせる問題
ただ日本にいるときと勝手が違うことが一つある。「現地状況に不勉強、英語による意志疎通が苦手」など、情報・意志疎通の面で大きなハンデを背負うことになる。
具体的に言うなら、危ないことを知らずに犯罪多発地に迷い込む、外国語で流れてくるニュースが読めない、日本からの緊急メッセージを受け取れない、親とか関係者はもっと情報を掴んでいない、等の「情報」に関するトラブル、「情報」がきっかけでこじれるトラブルが起こり得るだろう。
それについては、大きく分けて以下のようなの対策が考えられる。今回の旅行では、そんな「情報戦」に目をつけて、準備をすすめた。
3-2 旅行を楽しむ情報戦
情報面でのハンデを解消し、楽しく旅行を遂げるため、以下に示すような対策を行った。
事前の下調べを行う
現地の情報について、特にテロや犯罪などの情報は以下のページを参考にして、意識して集めた。
- 外務省在ニューヨーク総領事館のページ。テロ等の情報も分かりやすく整理されている、管轄別の犯罪発生状況も地図に落とされており一目で分かる、など現地の治安情報を仕入れるのに使いやすい。ちなみに同じ外務省でも、本省が作った方のページはあまり役に立たなかった。
- 2ちゃんねるニューヨーク統一スレッド。どことなく「きな臭いオタクの巣窟(すくつ)」という印象を持たれている「2ちゃんねる」だが、ここは誹謗中傷もなく有用なやり取りがなされている。同時多発テロ当時までの過去ログが残っている。
- あとは定番の新聞社のホームページとかでニュースをまめにチェックしたりし、見たものはプリントアウトして綴っておいた。
- その他現地の情報を知るために読んだ本・見たホームページは下記のとおり。
パソコンを持参しインターネット環境を整える
アメリカでも、当然日本と同じようにテレビや新聞等があってそこから情報を仕入れることができるのだが、多分作者の語学力では、それを見たり聞いたりしても何も理解できないと考えた。その際、日本語のニュースソースを仕入れるのに「インターネット」が役立つであろうと思い、ノートパソコンを持っていくことにした。
当初、このページ用の文章も現地で書いたり、デジカメのデータ収納に用いるのに持っていくのに使えた。
- 持って行くのはノートパソコン(Apple iBook
Late2001)。ホテルには電話ジャックがあり、現地でネット経由で情報収集を行う予定。
Yes/Noの使い方に気をつける
今回の旅行では英語で会話する必要に迫られても、そのほとんどは(電話とかではなく)直接対面しての会話である。筆談とか、身振り手振りとか、指を差して「This
one ...」で何とかなりそうである。
ただし、ガイドブックにも出ていたが、「Yes/No」に関わるトラブルには気をつけねばなるまい。
- 一つはキッパリとした意思表示が概して苦手な日本人にありがちな、必要なく「Yes/No」が曖昧なままの回答は避ける。
- もう一つは「ここでタバコを吸ったら気に障りますか(Do you mind
...
?)」系の質問への回答。日本語の場合でもよく取り違えるが、「Yes/No」の回答ではアベコベに解釈される可能性があり、具体的に「自分はどうして欲しい」と答えるよう努める。
海外携帯電話を持ち歩く
緊急時や仕事の問い合わせなど、日本からの連絡を受けられるよう、今回の旅行では外国でも使える携帯電話を持参することにした。
もっとも、災害や大イベント等、本当の「有事」の際、携帯電話は通話規制されるためあまり役に立たないのが難点ではあるが。「携帯いつもつながる」だけでも、身内に与える不安は少なくなるはず。
- 利用するのは、旅行会社とタイアップでキャンペーンをやっている、この会社のもの。料金は通常料金の半額(1日450円)になるのに魅かれた。
- 通話料は自分がかける場合・受ける場合のいずれも約200円/分とべらぼうに高い。そのため、携帯に電話が入ったら一端切り、公衆電話から掛け直すことにしている。
関係者への事前説明を行う
自分も現地の状況を知りたくてあれこれ調べて回っているところであるが、親とか職場の人とか、日本に残る関係者の人はもっと現地の状況が分からず、必要以上に不安に思っているだろうと思う。
そのため、行程表と一緒に、現地情勢に資料を作成した上で内容説明を行い、多くの情報を掴んでもらい出来るだけ不安を減らすようににした。
- 作った資料は、4ページほどの説明文とホームページのダウンロード・ガイドブックの抜粋
- 説明文では、旅行の行程と緊急連絡先に加え、現地の治安情勢(ホームページ等で勉強した内容)を記載した(下カコミ参照)。
- ホームページのダウンロードとして、現地の治安情勢(ニューヨーク総領事館ページに掲載のテロ情報・犯罪情報)および最新の情勢(7/4にロサンゼルスで起きた空港乱射事件と飛行機墜落事件の新聞報道)を掲載した。
- 地図と基本事項(泊まる場所を明記した地図と海外電話の掛け方、安全について)をガイドブックから転載した。
こんな資料を作って、自宅と勤務先に置いていきました。
7/17-22の旅行について
1 行程 (時間は全て日本時間)
1−1 日本からニューヨークへ
- 7/17(水)8:00 水戸市発東京経由で成田空港へ
- 7/17(水)16:00 成田空港離陸(コンチネンタル航空8便)
- 7/18(木)8:00 ニュージャージー州ニューアーク国際空港到着
- 7/18(木)9:30 空港直通鉄道でニューヨーク市内到着
- 宿泊先到着(Quality hotel on
broadway:クオリティ・ホテル・オン・ブロードウェイ)
1−2 現地での行程
1−3 帰国
- 7/21(日)21:00 空港直通鉄道でニューヨーク市出発
- 7/22(月)0:00 ニューアーク国際空港離陸(コンチネンタル航空9便)
- 7/22(火)14:30 成田空港到着
- 7/22(火)17:30 水戸市内到着
2 現地連絡先
2−1 本人と直接連絡を取る方法
- 携帯電話:(省略)※旅行中は、現地で使用できる携帯電話を持参。番号は別途連絡。
- 電子メール:244@asahi.email.ne.jp(常時使用する電子メールを使用)
2−2 本人と直接連絡を取れない場合の連絡先
日本:
- 航空会社:コンチネンタル航空(日本)事務所:03-XXXX-XXXX
- 外務省担当窓口:
- 在東京アメリカ大使館:03-XXXX-XXXX
- 保険会社窓口:03-XXXX-XXXX
アメリカ:(頭に「001-010-」をつけて掛ける)
- 在ニューヨーク日本国総領事館:001-010-1-XXX-XXX-XXXX
, 001-010-1-XXX-XXX-XXXX
- 宿泊先(Quality Hotel on
broadway):001-010-1-XXX-XXX-XXXX
2−3 関係者連絡先
- 親:XXXX XXXX・XXXX:(電話)XXXX-XX-XXXX
(住所)XXXXXXXXXXXXX
- 勤務先:XXXXXXXXXXXXX XXXXXX:XXX-XXX-XXXX (住所)XXXXXXXXXXXXX
(番号は各自調べて下さい)
3 現地での安全対策について
3−1 航空事故に対する安全
- (対策済)
- 今回使用するコンチネンタル航空は、本年導入された最新鋭の機材を使用することを確認済。
- これまでに発生し、日本でも報道されたテロ(未遂)事件において、コンチネンタル航空の飛行機はいずれも事件の対象とはなっていない。
- 航空機はニューヨーク市街地を避けたニューアーク国際空港より離着陸
- (現地でとる対策)
3−2 テロ対策に対する安全
- (情勢)
- 現在、アメリカ政府の危機管理庁において、「テロ事件の発生の危険性は『高まっている』」という情報がある。(別紙参照)
- 現在、自由の女神やニューヨーク証券取引所等、テロの対象となりやすい建築物への出入が規制されている。
- (対策済)
- 宿泊先はニューヨークの中心市街地から5kmほど離れたホテルとする。
- (現地でとる対策)
- 現地では最新の情報を入手に努める。具体的にはテレビ付きのホテルを使用する他、ノートパソコンを持参しインターネットに接続できるようにする。
- アメリカ政府およびイスラエル政府の施設には極力立ち寄らない。
- その他テロ事件の対象となる可能性が高い高層建築物には、安全が確認されない限り極力立寄りを控える
- テロ事件の対象になり得る繁華街・人混みには危険ある場合には立ち寄りを控える。
- 現地での移動は原則として地下鉄・バス等の公共交通機関を使用するが、危険のある場合には使用を控えタクシー等を用いる。
3−3 犯罪に対する安全
- (情勢)
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1990年代に就任したジュリアーニ前市長による犯罪抑止政策が功を奏し、1980年代(地下鉄の落書き等がひどかった頃)に比べ犯罪は大幅に減少しているが、場所や時間帯によっては、まだ犯罪が多発する地域がある。
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また、同時多発テロ以降市財政状況の悪化とともに再び犯罪率が上昇しているとの情報もある。
- (現地でとる対策)
- 別紙(ニューヨーク総領事館ホームページ)に示す危険地域には、極力立ち寄らない。
- 宿泊先には深夜になる前に戻る。
- 「Yes/No」の意思表示ははっきりと行う。また、ケースによっては誤解を与えないよう「Yes/No」に代わって具体的な意思表示を行う
3−4 テロ・犯罪対策に対する私見
最近の同時多発テロや以前の犯罪発生状況より、アメリカ及びニューヨークは「危険な都市」と思われている向きも多い。確かに、例えば現在でも強盗事件の発生率が市全体の平均で東京よりも高いことは事実である。
しかしながら、テロや犯罪等は極論すると日本でも起こり得るものであり(平成7年に発生した地下鉄サリン事件、最近多発する集団暴行事件を思い出していただきたい)、「アメリカだから危険」「ニューヨークだから危険」とは一概に言えないのではなかろうか。
ただし、現地状況に不勉強なこと、および言語が違うことから意志疎通の不十分なこと、その他の要因によって、テロや犯罪に巻き込まれるリスク・巻き込まれた後の対応に失敗するリスクが存在することも事実である。
そのようなリスクを少しでも減らすため、最新情報の入手、危険地帯への立ち入り自粛、明白な意思表示等に努める。
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旅行障害保険に入る
万一トラブルに遭った際のことを考え、旅行障害保険に入った。緊急時の関係者渡航費用、賠償責任、携行品の保証などをいろいろ付けたので、7400円ほどかかった。
- 入ったのは旅行会社のカウンターで進められたAIUの旅行障害保険。少し高額だが、通常の保険と同程度の保証がもらえる、傷害死亡時の保証が最大7500万円の保険に加入した。
- 携行品の盗難・手荷物の遅延の保証も含まれている。また緊急時に帰国する際の渡航費用保証もオプションでつけた。今回ノートパソコンを持参するため、万一の盗難のことを考え、そうした。
3-3 その他、予習で読んだもの
だって時間がないからね
人は旅行に行く前、どのくらいの本とかガイドブックとかWebページとかを読んだりするのだろうか。
作者の場合、実はあんまりあれこれとは目を通していない。さすがに毎日12時とか1時とかに帰宅した後では、さすがに資料を読む時間もままならない。土日は土日でNYの予習そっちのけでこんな駄文を書いているわけだし・・・。
というわけで、作者がニューヨークの予習で読んだものをリストアップしてみる。
図書
- 地球の歩き方 ニューヨーク(ダイヤモンド・ビッグ社、1640円)
定番中の定番。情報量も豊富であり、バッグパッカーでなくても有効に使える。個人的には旅先で開いていてもそれと分からない、切り口が青い紙を使っていない「02〜03年度版」がおすすめ。
- JTBワールドガイド 街物語 ニューヨーク・アメリカ東部(JTB、1900円)
普通の旅行ガイドにあるようなありきたりな歴史紹介ではなく、例えばネイティブアメリカン(かつてインディアンと呼ばれた)の視点から見たアメリカ大陸の発見等、突っ込んだ歴史紹介が載ったガイドブック
- ゆき姐のニューヨーク裏うら散歩(兵藤ゆき著、ワニブックス、1200円)
現地に滞在する主婦が街歩きの様子を綴った本だが、同時多発テロ事件後の様子が活字になって出回っているのが貴重。あと「散歩の心得」や安い買い物ガイド、各国のの料理などが、オールカラーで載っている。
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更新日 2003/06/15
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