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見ていて面白かった沖縄のバス2000
(第3回)導入が進む中古車
沖縄県のバス事業に大きな影響を与えた「730」に際して、当局は県内のバス事業者が右ハンドル車を揃える際に、本土で発生した「中古のバス車両」を用いることを想定していた。結果的には、この時は当局の意向とは異なりほとんどの車両が新車で導入された(総務庁の報告書には、その理由までは触れられていない)。
バスでも、乗用車等と同様に「中古車」というものが存在する。都市部の事業者を中心に、整備性や排気ガス(首都圏や阪神地区では、排気ガスに含まれるNOxの総量規制に絡んで、NOxを一定量以上排出する古いバス・トラックの保有を禁止する法律がある)等の問題から、10年程度で廃車されるバスが多数発生する。地方のバス会社の中には、このような全く支障なく使える中古車両を、安く購入して運行している事業者が多い。
「730」から20年。県内のバス各社では、当時国の補助を受けて導入したバス車両の置き換えが急務となっていた。そこで目を付けられたのが「730」当時は、では注目を浴びなかった「中古車」である。県内のバス各社が中古車の導入に踏み切った背景の一つとして、都市部で発生する中古車の装備等が「730」当時と比べて格段に良くなった(冷房を完備していたり、大きな客室窓や乗降性に優れる出入口を持つようになった)という点は無視できないだろう。
以下、2000年9月の時点で、各社が導入している中古バスの、写真と説明をいくつか紹介する。
那覇交通
那覇交通で導入される中古車は、現在のところ関東地方で使用されたいすゞ製車両で統一されている。大きな特徴として、那覇市内線用の車両は他3社とは異なり、中扉をそのまま活かして使っていることが挙げられる。内装そのままであり、前歴を伺うことができる。

- 那覇交通121(いすゞP-LT312J)もと国際興業
通常の大型路線バスよりも若干全長が短い。13系統(空港石嶺線)はこの形式が使われているため、那覇空港からこのバスに乗って市内に入った人も多いと思われる。自分も沖縄に入って初めて乗ったのがこのバスでした。

- 那覇交通151(いすゞP-LV314L)もと東武鉄道
郊外線で使用される前後扉車。後扉は使用されていない。東武鉄道は、地方部の路線縮小によりバス車両が余剰気味であり、これから先各社に中古車両が流出する可能性が考えられる。

- 那覇交通157(いすゞP-LV314L)もと小田急バス
小田急バスの中古車両。小田急バス時代の幅が広い中扉を活かして、那覇市内線に用いられている。
琉球バス
琉球バスは、比較的早期から中古車両を導入している。車種は日野製と日産ディーゼル製であるが、様々な仕様の中古車を導入しているため、扉の位置や窓の形など、そのバリエーションは多岐にわたっている。県内では使わない中扉や後扉は、そのまま溶接で固めて、その部分にも椅子を設置している。

- 琉球バス541(日野P-HT235)もと京阪バス(右)と琉球バス624(日産ディーゼルP-U32系列)もと西東京バス
那覇−屋慶名間の長距離路線に使用される。双方とも、観光バスのような引き違い窓を持つ。541の方は、後扉と扉手前の行先表示を閉鎖している。

- 琉球バス51(日産ディーゼルP-U32系列)もと西東京バス
この車両は、もと明大中野八王子高校のスクールバスとして使用されていたもので、関東では珍しい西日本車体(西鉄グループの車体メーカー)製の車体を持つ。前扉・引き違い窓といった仕様が、長距離路線の多い沖縄に合っている。

- 琉球バス556(日産ディーゼルP-U32K)もと都営バス
屋上に4つ載る角型の箱(送風ファン)で前歴が分かる。ちなみに、写真の99系統(那覇新都心−空港)線は、2000年9月に開業したばかりの新しい路線である。

- 琉球バス15(日産ディーゼルP-U32K)もと横浜市営バス
上の都営バスとは、屋上機器(丸型のファンが前後2つだけ載っている)などで区別がつく。車内は背ずりの高い2人がけの椅子に交換されているが、前の部分は旧ユーザーの椅子がそのまま存置されている。
沖縄バス
計画的に新車投入を続けてきた沖縄バスも、ここ1〜2年は中古車を導入している。中古車も在来車同様全て三菱で統一されており、転入にあたっては側面の行先表示と中扉を閉鎖している。

- 沖縄バス108(三菱P-MP218M)もと横浜市営バス
沖縄転入にあたって、側面窓にカーテンを追加で付けている。今回写真は撮れなかったが、沖縄バスには、他に川崎市営や神奈川中央交通といった、神奈川県出身の中古車が多く転入している。
東陽バス
東陽バスは日野製の車両で統一されており、中古車もほとんどが日野製である。沖縄では使用しない中扉・後扉を丁寧に閉鎖している車両も多い。

- 東陽バス52(日野P-HT系列)もと大阪市営バス(推定)
関東ではなかなか見られない西日本車体製の車体を持つ。後扉も丁寧に閉鎖してある(閉鎖の例はここをクリック)。

- 東陽バス128(日野P-HT235)もと東武鉄道
側面の窓枠がセンスの良い黒色で仕上げられていること、及び前後の扉の形から、もともと東武鉄道で使っていた車両であることが分かる。
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初掲載日 2000.10.9 更新日 2006.4.23
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