未来が壊れていく…




 その14

 

 ■核・生物・化学兵器■ 
 
 New!<核戦争による終末時計、2分進んで残り5分に>
 核戦争による地球滅亡の残り時間を概念的に示す「終末時計」が、2007年1月17日、これまでの「残り時間7分」から2分進められ、「残り時間5分」となった。時計を管理している米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が発表したもので、時計の針が進められたのは、2002年以来のこと。同誌によると、北朝鮮の核実験やイランの核開発による状況悪化に加え、地球温暖化の進行によって温暖化ガスを排出しない原発への依存が高まっていることも、核拡散と核戦争の脅威を増大させている。(07年1月18日各紙)
 
 <地球を50回破壊する核兵器の量>
 米国、ロシア、イギリス、フランス、中国の核保有5大国が現在持っている核兵器は、合計すると、TNT火薬に換算して約50億トン分になる。これは、1発で10数万人の命を奪った広島型原爆の33万発分に相当し、世界の人口60万人が全員1人当たり1トン近いTNT火薬を抱え込んでいる計算だ。
 この核兵器の量は、地球を50回破壊出来るほどの量とも言われている。
 
 <国別の保有核弾頭数は>
 世界には現在も4万発の核兵器があり、うち2万発が実戦配備されているとみられている。米シンクタンクACAの推計による5大国の保有核弾頭数は以下の通り(2000年7月時点の推計)。
 
 米国 戦略核7519。内訳は大陸間弾道ミサイル(ICBM)2325、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)3616、戦略爆撃機搭載1578。戦術核は970。長期保管中が2300、解体、廃棄待ちが1350。
 ロシア 戦略核6464。内訳はICBM3540、SLBM2272、戦略爆撃機搭載652。戦術核は4000。長期保管中または廃棄待ちが1万8000。
 英国 SLBM主体に戦略核200。戦術核80(すべて退役予定)。廃棄、解体待ちが120。
 フランス 戦略核400。戦術核は60。廃棄、解体待ちが50。
 中国 戦略核が275。戦術核は150。
 このほかインドパキスタンも核兵器を保有しているがその数は不明だ。南アフリカも原爆を開発したが、その後廃棄したと93年に公表した。
 
 <核解体に伴う危険は>
 アメリカとロシアは、核兵器を一定数まで減らす戦略兵器削減条約(START)を結んでいる。核の解体作業について、米エネルギー省は「解体中に核爆発が起きる危険性はない」としているが、一つ間違えば大惨事を招きかねないため、細心の注意が必要だ。核爆弾に使われているプルトニウムも毒性が強く、解体中に外部に漏れて少量でも吸い込めば、がんの原因になる。
 
   
 <天然痘テロに怯えるアメリカ>
 ブッシュ大統領は02年12月、テロとの戦いのため、米国民に天然痘の予防接種(種痘)を実施すると発表。まずは政府要人や軍関係者、医療関係者らを対象として、ついで警察官、消防士などへと、とりあえず1000万人に接種をする。天然痘は1977年を最後に世界で患者の発生はなく、WHO(世界保健機関)が人類の叡智で撲滅した、と歴史的な勝利宣言を出していた。しかしその後も、米、ロシアなどでは研究用としてウイルスを保管し続けており、これらが流出して生物兵器として使われることを米当局は極度に警戒している。

 <遺伝子操作で強力な細菌兵器>
 英科学誌ネイチャーは01年5月、細菌のゲノム(遺伝情報全体)研究が進み、凶悪な生物兵器が開発される脅威が高くなっている、と警告する特集記事を掲載した。それによると、遺伝子操作によって病原性が強められたり、特定の民族を標的とする細菌兵器を作り出すことも可能になってきている、としている。
  
 <炭疽菌は20カ国が培養中>
 01年にアメリカをパニックに陥れた炭疽菌は、第2次世界大戦以前から各国が培養しており、アメリカ国防総省とCIAの調査では、現在も20数カ国が培養中だ。また、炭疽菌とともに最も警戒されているのは、撲滅したはずの天然痘が生物兵器として使われることで、アメリカは大量のワクチンを確保し始めている。
 
 <化学兵器も多種多様に>
 化学兵器も多くの国が保有している。第2次大戦中にドイツが開発したGガスを始め、タブン、サリン、ソマンなどで、アメリカが戦後開発した強力な神経ガス、VXも脅威だ。


 
  このページの文章やデータを無断で複製・転載することは出来ません。転載を希望される場合は事前にメールでご連絡下さい。