未来が壊れていく…




 その1

 
  

 ■温暖化の直撃受ける日本■
 ■熱帯化で農林漁業は激変■
■海面上昇で平野部は水没へ■
  
 New!<今世紀末、日本の平均気温は最大4.7度上昇>
 環境省は08年1月8日、温暖化によって日本の平均気温は、今世紀末には20世紀末に比べて、最大で4.7度上昇するという試算をまとめた。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が07年にまとめた報告書の予測に基づいて、国内の気温上昇を分析した。
 この温度上昇よる影響は深刻で、猛暑日が増えて熱中症患者が相次ぐ、海面上昇で東京や大阪の湾岸地域が浸水する、農作物や水産物の収穫量が減る、感染症の被害が広がる恐れがある、等々、甚大な被害が懸念されている。経済被害は1兆ドル(約100兆円超)になると予測されている。
 IPCCの報告に盛られていた最悪のケース(化石燃料に依存して高度経済成長を続ける場合)は、今回の環境省の試算には含まれていないため、日本の温度上昇の幅がさらに高くなる可能性もある。(08年1月9日、朝日、日経)
 
  
 <海面上昇、3大都市圏で1000万人に危機>
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が07年2月にまとめた温暖化予測に基づいて、茨城大学の三村信男教授らが試算したところによると、海面上昇によって潜在的な水没危機にさらされる人口は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で1000万人に達することが分かった。それによると、水没の危機のある面積は、関東平野で322平方キロと、山手線内側の約3.4倍。大阪平野では384平方キロ、濃尾平野では665平方キロになる。(07年6月4日経)
 
  
 <海面上昇で日本は400万人に被害>
 国連の気候変動に関する政府間パネルが07年2月2日発表した予測によると、21世紀の地球の平均気温は20世紀末に比べて1.1度から6.4度上昇し、これに伴って海面は19センチから58センチ上昇する。これを受けて日本政府は、海面上昇による国内の影響について検討を始めた。環境省によると東京湾、大阪湾、伊勢湾の湾岸で標高が大潮の満潮時よりも低いゼロメートル地帯は577平方キロで、ここに住む人は約404万人いる。海面上昇によって、この地域に住む人たちが真っ先に被害を被る。(07年2月3日経)
 
  
 <海面上昇に対応するには10兆円が必要>
 政府の試算によると、温暖化で海面が1メートル上昇すると、日本全国の砂丘の90%が消失する。また海に面する市町村には、日本の人口の約半分が集中しており、商業販売額の約8割を占めている。海面上昇に対応して港湾や堤防の改修などのインフラを整備するには、10兆円規模の費用がかかる見通しだ。(07年2月3日経)
 
  
 <コメ、リンゴ、ミカン‥農業全般に多大な影響>
 国連の気候変動に関する政府間パネルが07年2月2日発表した温暖化予測にもとづいて、環境庁などが試算したところでは、国内で標高3メートル以下にある水田は約30万ヘクタールに及び、これは全水田の約7.5%にあたる。こうした水田では海水面の上昇によって高潮を受けやすくなり、コメの生産に影響してくる。また気温の上昇自体の影響によって50年後には、東北地方南部から南の地域のコメの収量が約10%減収となり、害虫が増えて品質も低下する。
 さらに現在は東北地方が中心となっているリンゴ栽培の適地は、北海道に移動する。温州ミカンの適地も北にずれ込む。(07年2月3日経)
  
 <27度超える暑い夜、2030年までに3倍に>
 国立環境研究所は07年7月2日、日本で最低気温が27度を超える「暑い夜」は、1981年から2000年にはひと夏に4〜5回だったのが、2011年から2030年では3倍にもなるという研究結果を発表した。最高気温が35度以上の昼の頻度も1.5倍になり、一方では冬に最低気温が0度以下の夜や最高気温が6度以上の昼は、3分の1程度に減るという。(07年7月3朝日)
 
  
 <日本の真夏日、2050年に100日を超え今世紀末に140日に>
 国立環境研究所と東大気候システム研究センターなどが、スーパーコンピューターを使って温暖化の影響を試算したところ、日本の真夏日は2050年ごろに20世紀中の倍の100日を超え、今世紀末には140日前後にまで増加するという予測が出た。これは、記録的な猛暑となった2004年の夏でさえも「冷夏」と感じられるほどの、すさまじい高温化で、これに伴い降水量も現在より2割近く増える。日本全体が高温多湿の東南アジア的な気候に変わり、熱帯地方にみられる感染症の日本での広がりや農作物への深刻な影響が懸念される、としている。(04年9月17日各紙)
 
  
  
 <降水量増え、梅雨明けは遅く>
 気象庁気象研究所や海洋研究開発機構などが参加する「人・自然・地球共生プロジェクト」がスーパーコンピューター「地球シミュレーター」を使って予測したところによると、今世紀末の日本ては、ほとんどの地域で最高気温が25度以上の夏日が30日以上増え、また最低気温が0度より低い冬日が20日から45日減少する。また北緯30度から35度の7月下旬から8月上旬の降水量が増えて、梅雨明けが遅くなる。(06年10月27朝日夕刊)
 
 
 <年々遅くなる日本の紅葉>
 日本各地で、紅葉のシーズンが温暖化の影響を受けて年々遅くなっている。紅葉の名所が多い京都では、京都地方気象台の敷地内にある標準木が紅葉になる日は、1974年から10年間の平均で11月27日だったのが、96年から2005年の平均は11月30日と3日遅くなっている。さらに06年は色づきが遅くなり、12月までずれ込みそうなところが多くなっている。(06年11月12日日経)
 
 
 <温暖化、2003年は一段と進む>
 世界気象機関(WMO)によると、2003年の地球の平均表面気温は、史上3番目の高温になる見通し。フランスやイタリアなど地中海・近東地域では、6月と7月の平均気温は史上最高となり、北半球全体としては、9月と10月の気温が史上最高となった。
 また1990年代の世界の気温は、過去1000年間で最も高かったことが分かり、温暖化が確実に進行していることが裏付けられた。(03年12月17日各紙夕刊)
 
  
 <今世紀末、日本は4〜5度も上昇>
 気象変動に関する政府間パネル(IPCC)は、01年10月1日、世界の平均気温が1990年から2100年までに1.4度から5.8度上昇するという報告書を発表。「過去1万年以上に先例のない急激な温暖化」としており、これによる海水膨張と北極・南極の氷融解のため、海面は2100年までに最小で9センチから最大で88センチ上昇し、沿岸や島嶼地域では居住不能になる恐れがあるほか、旱魃による農業生産の低下、マラリヤなど病気の蔓延も懸念される、としている。
 とりわけ、日本付近の温度上昇は大きく、南日本で約4度、北日本で約5度の上昇が予想されている。
    

 
 <明治神宮にシダ、日本向けベンツは熱帯仕様>
 東京・原宿の明治神宮ではいつのまにか、いたるところにシダ系の熱帯植物が生い茂るようになってきた。関西空港では01年夏、フィラリア症という熱帯の伝染病を媒介する「熱帯イエカ」が発見された。このまま温暖化が進めば、マラリアを媒介する「ハマダラカ」が繁殖する恐れも出てきたという。
 ドイツの「メルセデスベンツ」は、10年前から日本に輸出する車のエアコンを最高レベルの「熱帯仕様」に切り替えている。
 
 
 <代々木公園に長さ1メートルのヒル>
 東京・代々木公園で、湿度の高い夏の夜、長さ1メートルを超える巨大なヒルが地をはうのが、たびたび目撃されるようになった。幅7−8ミリで黄色い体に3本の黒い筋模様がある。プラナリアの仲間で、オオミスジコウガイビルと呼ばれる東南アジア産の生き物だ。植木など付着して日本に住み着いたらしい。東南アジア産の生物が東京でも冬を越すことが出来るほど、温暖化が進んでいることの表われと見られている。(01年11月25日日経)
 
 <過去30年で高山植物は減少>
 気象変動に関する政府間パネルが01年2月にまとめた報告によると、日本では過去30年の間に高山植物の種類が減少を続けており、琵琶湖では降雪量が減って富栄養化が進んでいる。世界的にも、植物の分布や動物の生息域が高緯度に移動したり、開花時期が早まるなどの異変が各地で見られる、としている。
 
 
 <70年後は真冬日も降雪も減少>
 気象庁が01年4月に発表した日本の温暖化予測によると、70年後の日本では1月の平均気温がほぼすべての地域で2度以上上昇し、中部山岳地帯や北海道では3度近く上昇するところもある。日本海側の降雪日は1月全体で4日以上減る。降雪量の減少が顕著なのは、新潟、福井、鳥取など。最高気温が氷点下の真冬日は、東北地方の沿岸ではあまり見られなくなり、最低気温が氷点下の冬日は、西日本の平野部ではほとんどなくなる。
 

 <東京の夏は今世紀中に46度に>
 環境庁がまとめたヒートアイランド調査によると、東京で7月から9月にかけて、30度を超えた時間は80年に168時間だったのが、00年には357時間と倍以上になった。7月から9月にかけての平均気温も、この20年で1.2度上昇している。
 研究者の中には、東京の夏の気温は今世紀中に46度にまで上昇すると指摘する研究者もいる。
 
 
 <日本でもマラリアやデング熱の危険>
 環境省の作業チームがまとめた温暖化による日本の自然への影響予測によると、50年後には九州南部が亜熱帯となり、100年後には房総半島以西が亜熱帯となる。北海道では亜寒帯林がほぼ消失する。東南アジアの昆虫が日本に住み着くようになり、熱帯林のマラリアやデング熱を媒介するコガタハマダラカやネッタイシマカが本州にも出現し、感染の危険にさらされる。
 
 
 
 <沿岸漁業に打撃、農業も一変>

 環境省の作業チームはさらに、海水温の上昇によってミズクラゲやカブトクラゲなどの南洋のクラゲが日本近海に現れ、イワシなどのえさを食い尽くすなどで、沿岸漁業は大きな打撃を受ける、としている。
 一方、東海地方より西では、高温すぎて稲が実りにくくなり、西日本の稲作シーズンは冬場のみに限られる。
 
 
 <九州、四国のマダイやフグは全滅へ>
 農水省・水産庁は、2100年までに水温が3度上昇するという「気候変動に関する政府間パネル」の報告をもとに、水温が1度上昇(短期)、1.5度上昇(中期)、3度上昇(長期)の3通りについて、漁獲、養殖が受ける影響を調査した。その結果、海水温が1.5度上昇すれば、九州、四国地方のマダイやトラフグは生息不適となることが分かった。(03年10月30日毎日夕刊)

 
 
 <2060年、日本のリンゴとミカンは壊滅>

 農林水産省系の独立行政法人の研究によると、日本国内のリンゴとミカンの主産地が、温暖化によって2060年ごろには、栽培に適しない地域となることが分かった。これは、気候変動に関する政府間パネルが01年に出した気候モデルに基づき、2060年には年平均気温が2.2度上昇するとして、生育への影響を試算した。栽培に適さなくなる地域は、リンゴでは津軽平野や北上盆地を含む東北6県のほとんどと、長野市、松本市周辺の盆地。ミカンでは静岡、和歌山、愛媛など、海に近くて日当たりのいい斜面にある主産地のほとんどが、栽培に適さなくなる。(03年10月4日朝日)
 
 
 <日本沿岸の水位、過去100年で最高レベル>
 気象庁が04年5月、明らかにしたところによると、最近5年間の日本の平均海面水位は、通常の水位と比べて4、5センチ前後高くなっており、過去100年で最も高いレベルとなっている。これは水温が上昇していることと密接な関係があり、日本近海の水温は地球温暖化などの影響で1985年以降、上昇傾向が続いている。
 
 <50センチの上昇で日本は290万人の移住必要>
 気象変動に関する政府間パネル(IPCC)が01年2月にまとめた報告によると、温暖化で海面が50センチ上昇した場合、日本では1412平方キロメートルが海面下に沈み、人口の2.3%にあたる290万人が移住を余儀なくされる。アジア地域全体では、数千万人の移住が必要となる。
 
 
 <1メートル上昇すれば日本で410万人が居住不能に>
 海面上昇が1メートルになった場合、日本では全国の砂丘の9割が消滅し、臨海部を中心として東京都の面積よりも広い2339平方キロメートルが水没し、410万人の居住者の移住が必要となる。また、ギリギリで水没は免れるものの満潮時には海面以下となる土地は、23万平方キロメートルにも及ぶ。こうした中で、堤防の増強や海岸線の改良工事にかかる費用は11兆5000億円に上ると見られている。(環境庁による予測と試算)

 <国土交通省も海面上昇対策検討>
 国土交通省が神奈川県の久里浜周辺における過去40年間の潮位を調べた結果、年に2ミリずつ上昇を続けていることが分かった。海面上昇の予測や影響については研究者の間でも見方が分かれているが、国土交通省では有識者をメンバーとする検討会を設置して対応策を検討。
 


 
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