ボラボラ島運用記
FO/JH1WXT FO/JR1WMO
免許証の申請と取得
2007年1月のフレンチポリネシアのボラボラ島への旅行を決めたのは、
2006年9月のKH6旅行の少し前でした。
フレンチポリネシアでのアマチュア無線免許の申請方法はOH2MCNのホームページに記載され、
申請書もダウンロード可能です。
ただし、申請書類は大部分がフランス語で書かれていますので、私の場合知人に翻訳してもらい、
9月中旬に郵送で申請をおこないました。
今回の旅行の日程上、パペーテのオフィスに行くことができないため、
免許状を郵送で受け取ることができたとの情報がHPにあったのをみて、
郵送での発行をお願いしたフランス語の一文をつけて申請したのですが、
12月になって、郵送での発行はできなくなったとの返事を受け取りました。
真偽のほどは定かではありませんが、9-11以来できなくなったようです。
返事のメールには、
「郵送はできないが免許発行の準備はできているのでボラボラ島に着いたら連絡をほしい」と
連絡先を付記しての記載がありました。
また、無線機の持ち込み許可証がないと通関が大変な国なのですが、
許可証も別途郵送されてきました。
申請時に送った内容は理解されていることがわかったので、問題はどうして免許証を受け取るかですが、
私はフランス語が全くだめなので、連絡を取っても内容が理解できないこと、
ボラボラ島とパペーテ間は小型飛行機で1時間弱の距離があり、
ボラボラ島に着いてからパペーテに戻ることはできないことがあり、
代理人に免許を受け取ってもらい、
パペーテ空港でのトランジットの時、
または、ボラボラ島のホテルでチェックイン時に受け取る方法が現実的と考えました。
そこで、年明け早々、今回のツアーの旅行会社に電話をして事情を説明したのですが、
この会社の支社はパペーテにはないため代行での受け取りはできないとの返事で、
行き詰まってしまいました。
しかし、この正月フレンチポリネシアとイースター島から運用されたJK1FNL小林OMが
フレンチポリネシアでの免許証を現地旅行代理店が代行して受け取ったとのことで、
OMにその代理店を紹介していただき、
早速FAXを入れ代行をお願いしたところ快諾を得、
空港でのトランジットの間に受け取ることができることになりました。出発のわずか1週間前でした。
免許申請に用意した資料一覧
無線免許申請書 : ダウンロード版(フランス語) 最新書式のファイルをその後受領
従事者免許英文証明
アマチュア無線局免許英文証明
パスポートのコピー
従事者免許証のコピー
無線機とアンテナ
用意した無線機は一昨年のKH0、昨年のKH2とKH6で使用したFT-857です。
フレンチポリネシアでの免許申請には無線機型名とシリアルナンバーの記載が必要で、
場合によっては通関時持ち込み許可証の提示が必要となりますが、今回、要求はありませんでした
アンテナは、今までの移動では
マッチングコイル部分を伸縮して使用周波数に同調させるタイプのホイップアンテナである
PW-1とATAS-25を使用しましたが、
今回は、遠距離通信が主となることと通信状況に対応したバンドに速やかにチェンジできることを考え、
ワイヤーアンテナ用チューナFC-40を用意し、ワイヤーアンテナでの運用としました。
さらに予備としてATAS-25も持参することとしましたが、このアンテナは実際には使用しませんでした。
ワイヤーアンテナではアースも重要な要素となるため、約90cm長のアース棒も持参しました。
ワイヤーアンテナをあげる釣り竿は手持ちがなかったので、免許が入手できる可能性が高まってから、
出発の1週間前に購入しました。
本来は導電性のないグラスファイバー製が望ましいのですが近所の釣り道具屋にはなく、
強度の高いカーボン繊維が含まれた7段振り出しで全長5.4mものを入手しました。
フレンチポリネシア到着、ボラボラ島へ
1月20日PM12;55のエアー・タヒチ・ヌイTN-077便で成田を出発、
現地時間の20日AM5時にタヒチ島パペーテのファアア空港に到着しました。
約11時間のフライトで使用機材はエアバス社のA340でした。
空港での入国審査は、事前情報に反して、スムースに通過できたのですが、
預け入れ手荷物をピックアップしてからの通関が恐ろしく混雑していて、
通過までかなりのかなりの時間を要しました。
直前にロサンゼルスからの便が到着し、その乗客のほとんどが通関でチェックを受け、
この状況では我々も大変かと思っていましたが、日本のパスポートを見せるとノーチェックでパスできました。
日本のパスポートの信頼度が高いのか、
日本人は外国語がまるでだめと判断されているのかどちらかでしょう。
通関を終え外に出ると多くの現地旅行代理店関係者がプラカードを持ち並んでいます。
免許証の受け取りを依頼した代理店の方は、出発前にきいていたユニフォームですぐにわかり、
コンタクトができました。
手数料は現地通貨での支払いのため両替が必要です。
両替をする前に我々の旅行担当係員を確認して説明を聴き、
乗り換え便のチケットを受け取って銀行窓口に並んだのですが、すでにかなりの行列となっていました。
窓口前には自動両替機が設置してあるのですが、あいにく稼働していませんでした。
あまりに時間がかかりそうなので、
近くの売店に飛び込み日本円で買い物をしておつりを現地通貨で受け取り、
免許証代行受け取りの手数料としました。
預ける手荷物は旅行バッグが2個とアンテナ一式を入れたロッドケース1個で計50kgありましたが、
国内便も別料金ではありませんでした。
ファアア空港からボラボラ島へのフライトはエアー・タヒチのVT-416便で、
使用機材はAT5という高翼双発の6翔のプロペラ機で、
ルフトハンザのドイツ国内便で何度か乗ったことがあります。
この機体の乗降口は機体後方にあり、2-2配列座席です。
ボラボラ便の座席は自由席で、機首に向かって左側はボラボラ島が見えるとのことなので左側に座りました。
なお、ボラボラからの帰りは逆に右側にボラボラ島が見えます。
プロペラ機の場合、後方席の方がエンジン音が小さく、
ボラボラ便にはありませんが、ルフトハンザの機体では後方がクラスCでした。
ボラボラ島へは約45分ですが、当日は天候に恵まれず、景色はよく見えず揺れも大きいフライトでした。
着陸したときは雨で、
タラップを降りると係員が傘を渡してくれ、傘を差しながら到着ゲートへ歩くことになりました。
ボラボラ島の北側の環礁にある空港から島の西側にあるボラボラ島最大の町バイタペへボートで約15分、
港から送迎バスで約20分で島の南東に位置する滞在先Club Medへ到着しました。
到着後、館内の設備やシステムの説明を受け、レストランで朝食を摂った後、部屋へ案内されました。
部屋のカテゴリーはビーチコテージで、1棟の平屋に2部屋の造りです。
我々の部屋はレストラン・バーなどの公共施設に最も近い64号室で、
波打ち際から10m弱のロケーションでした。
部屋にはウェルカムシャンペンが置かれベッドやテーブル・洗面台は色とりどりの花々で飾られていました。
まるでハネムーンプランのようでしたが、Club Medのレピータとしてのお礼とのことです。
Club Medはこの10年間に家族でプーケット・バリ・リンデマン・ビンタン(2回)を、
WMOはさらにチェラティン・カビラと昨年12月にプーケットを利用していました。


アンテナ設置とアマチュア無線運用
部屋に入り荷物の整理が一段落してからアンテナ設置にかかりました。
釣り竿をベランダにタフロープで固定、先端に約6mのワイヤーアンテナの一方をビニールテープで固定して、
先から順番に繰り出していくだけでアンテナ本体の設置は完了です。
繰り出した部分にはロック機構がないので気休めにビニールテープを巻きましたが、
ゆるむことはありませんでした。
アースはベランダ下の砂浜に持参した80cmのアース棒を埋め込もうとしたのですが、
砂地が意外に堅く容易には埋め込めません。
荷物の制限から大型の木槌を持ってこなかったのが敗因でしたが、
斜め方向に差し込むことでとりあえず接地はできました。
ワイヤーアンテナの他端とアース線を地面においたアンテナチューナに取り付け、
アンテナシステムの設置は完了で、この間15分程度でした。
コイル調整方式のATAS-25の設置には締め付け用の工具が必要ですが、
今回のアンテナでは軽量のため特に工具は必要なく、今後の移動はこれに限ると思いました。


早速無線機と接続しSWRのチェックです。
7〜50MHzまでの全バンドを確認しましたが、18MHz帯だけはマッチングが取れないようです。
アンテナワイヤーの角度等を変えてみましたがだめでした。
釣り竿が導電性のためと思われますが、まだ確認は取れていません。
今までのATAS-25ではバンドチェンジ毎にコイルの調整が必要で、
アンテナのそばに近づくとSWRが変化するため、
アンテナから離れてRIGの前で送信してSWRをチェックしてはコイルを少し動かし、
またSWRをチェックする手間を要しましたが、
今回はオートマチックチューナなのでTUNEボタンを押すだけで自動的にチューニングが取れ、
しかもメモリに記憶されるので、
一度チューンを取るとバンドチェンジに応じて自動的に最適状態となり、快適な運用ができました。
ホテルは南東方向が海、他の方向は比較的近くに丘が迫るロケーションで、
極東・北米・ヨーロッパ方向は開けてなく、
また、ロングパスを期待できるほどの無線設備ではないので、無線運用で過度の期待はできません。
南太平洋FOからの運用は初めてです。
まずはバンドのオープン状態チェックで各バンドを聞いてみました。
日本より19時間遅れ(日本時間に5時間足して前日にする)の現地時間午後2時頃から14/21MHzでは
中南米がよく聞こえ、夕方は7/14MHzで北米やヨーロッパが聞こえます。
夜9時半頃からは7MHzで極東方面が聞こえてきます。
深夜12時前には眠っていましたので朝までの状況は不明です。
午前中はあまりコンディションはよくないようでした。
ベアフットのSSB運用で期待していた夕方からの14〜21MHzの極東方面は
14MHzで南米向けにCQを出すJA局が辛くも聞こえる程度でした。
SSBで実際にQSOできたのは、21MHzの中南米、14MHzの南米・北米・ヨーロッパと7MHzのJAでした。
18MHzはアンテナのチューニングが取れなかったため運用ができませんでした。
今回一番は7MHz SSBの運用です。この設備でSSBではJAはできないと思っていたのですが、
JA1DOT小林OMのCQが聞こえ、ダメ元で呼んだところコールバックがあり、何とかQSOができました。
小林OMより強力な信号を送ってくる極東方面の局はJA/HL/DUに何局もいたのですが、
何度コールしてもCQが帰ってくるばかりでした。
また、EAからも7MHzの強力な信号が聞こえましたが、コールバックはありませんでした。
このバンドのSSBではやはりパワーが必要なようです。
が、6m長のワイヤーアンテナでJAと交信できただけでよしとしたいと思います。
SSTVは何局か受信できていたのでCQを結構出したのですが、応答はありませんでした。
RATTY/PSK31も受信はできるのですが、CALLのチャンスがなかなか無くQSOはできませんでした。
主なオープンの時間が夕方から深夜までで、
この時間帯はバーやレストランで飲んだり食べたりするため、どうしても無線は2次業務となってしまい、
あまり交信はできなかったボラボラ島運用でした。
Club Medはオールインクルーシブのシステムなので、食事もすべて旅行代金に含まれているのですが、
昨年秋からは、一部の飲み物をのぞいて、バーでの飲食も含まれることになり、
バケーションとしては最高でした。


帰国へ
現地時間1月25日午後1時がチェックアウトです。
アンテナの撤去や無線機のパッキングは朝食を摂ってからの作業開始で十分に時間がありました。
特にアンテナは、設置も簡単でしたが、撤去はなお簡単でした。
ホテルに着いたときと逆順で送迎バス(乗っているのは我々2人だけでした)とボートを乗り継ぎ
ボラボラ島空港に到着しました。
この空港には発着案内の電光掲示板が無く、ボーディング時間をみれば間違えることはないのですが、
20分前に出る便へ間違えて乗ろうとする旅行客がかなりいました。
この日は空港に小型のプライベート用と思われるUSA籍機体番号のジェット機2機が駐機していました。


この日は比較的好天だったので右側の席に座り、14:25分発エアー・タヒチVT-413便でボラボラ島を離陸、
6日間を過ごしたボラボラ島の景色に別れを告げ、パペーテのファアア空港に到着、
係員に誘導されデイユースのインターコンチネンタル・リゾートへ4時前に到着、遅めの昼食を摂りました。
このホテルは空港から送迎バスで5分程度と近く、
深夜(早朝?)発の帰国便待ちのデイユースとしては最適かと思います。
ホテル出発は26日午前1時なのでたっぷり時間があり、
ベランダにアンテナを設置して/Pで運用することもできたのですが
、タヒチ島はボラボラ島と違ってかなり強い雨が降っていて、昼食時のビールが効いたのと、
部屋の冷房の効きがよくなかったことであまり動く気がせず、無線運用はあきらめて、
有料ですが高速インターネット(500caps程度でした)に接続して出発までの時間を過ごしました。
この部屋は真西方向に南太平洋が開いていますので夕日がよく見え、無線のロケーションも良さそうでした。
現地時間26日午前1:10、送迎バスでファアア国際空港へ出発、
係員から空港内の簡単な説明を受け搭乗手続きに向かい、
チェックイン・出国手続き・セキュリティチェックも混雑無く通過できましたが、
セキュリティ担当の若い女性が携帯電話にぶら下げてあったドコモダケのマスコットが気になったらしく、
何度も手にとって眺めていました。
出発時間までラウンジでくつろぎ、
搭乗開始時間になったので搭乗口へ行くと、外は風雨がかなり強く長蛇の列でした。
この空港は飛行機の下まで徒歩で行きタラップをあがらなければならない構造で、
雨具がないとずぶ濡れになること間違いなしです。
ビニール製の使い捨て雨合羽を配っていて、これが結構着づらいための列でした。
雨合羽を着けて席にたどりツタのですが、それでも結構ぬれてしまいました。
途中でカッパはなくなったようで、「俺はCクラスなのになぜないのだ」と怒っている人もいたようです。
雨中、AM03:30発エアー・タヒチ・ヌイTN-078便でフレンチポリネシアを離れ、
日付変更線を超え、1月27日午前11時前に、無事成田空港へ帰国しました。

使用機材
FT-857 & FC-40
ホテル Club Med Bora Bora
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