Molly-Gucci's Check the Events! 2004

【コンサート】

●上々颱風 年末コンサート(12月19日よみうりホール)
 ワタシ的には七夕ライブがいまイチだった上々の年末興行。MCにもあったように、たしに客席の年齢は確実に上がっているが(笑)、おおっ満席じゃん。
「紅龍&ひまわりシスターズ」時代の名曲から、アイヌ〜アフリカ音楽の研究成果(?)生かした佳曲まで多彩な内容。アンコールのエミちゃんの裏キャラは面白かったが、ここは「サーフィンUSSR」の替え歌「サーフィンDPRK(北朝鮮)」でもカマしてほしかった。 ( ^ ^ ;

●進化するジャズバンド―名曲のタイムトラベル2004(12月18日東京FMホール)
 大友良英(ギター/ターンテーブル)、三宅榛名(ピアノ)を中心に、高良久美子(PON)、栗原正己(栗クリコーダーカルテット)、関島岳郎(シカラムータ)らが、ジャズのスタンダードを現代音楽やノイズなど、新しい解釈で再構築(?)という試み。でも、フリージャズがさまざまな試みの末に袋小路に入ってしまったような手法を今やられても… ( ^ ^ ; 。なんか中途半端じゃない? ノイズのOちゃんともなんか弾けてないし、三宅さんもピアノばっかじゃなく、エレピとかオルガン弾くとかイロイロやってほしかった。まさに残念!

●散打(7月31日南青山CAY)
  コーリアン・パーカョション・グループ「PURI」を独立したミン・ヨンチュルが、興した新世代のパーカッション
&パーフォーマンス集団によるライブ。「やりたいことがありすぎる」感満載の演出は今後、もう少し整理する必要があるかもしれないが、エネルギッシュなステージは魅力。いわば在日ヒップホップ世代の新芸能。

●よなは徹・神谷千尋(7月29日亀戸カメリアホール)
 いやこの人の天性の歌声はやっぱりスゴイ。神谷の伸びやかな声に夢心地…が、MCも含めてちょっとお行儀が良すぎるような。もうちょっと弾けると大化けしそうな予感が。対して、よなはの力強い歌声はやや一本調子。神谷などの女声とユニットを組んだほうがいいのでは? でも、楽しめた2時間でした。

●シャリハ・リミティ(7月10日草月ホール)
 いや、参りました、感動しました。初来日した81歳(!)の「ライの女王」はまさにその名にふさわしいスゴい歌い手でした。ひと声発しただけで草月ホールを見事にアルジェの港町オラン(行ったことないけど。 ( ^ ^ ; )に変えてしまった!
その野太い歌声は孫世代のバックバンドをグングン引っ張り、会場を興奮のるつぼに。いや、絶対このオバサン、年を誤魔化しておる〜。

●エリオット・シャープ+八木美知依(7月8日西麻布スーパーデラックス)
 前半はシャープのソロ、後半は前衛(?)箏奏者の八木とのデュオで、初めて見る(聴く)アバンギャルド・ギタリスト、シャープ。なるほどこりゃ、たしかに伝説のイノベーターだわ。引っ掻いたり、叩いたり、擦ったり、ほとんど真っ当な弾き方しなもんね(笑)。それでいてギターという楽器をホントによく知っている。ある意味、ジェフ・ベックと同質であり対極な存在。で、八木さん登場。ありゃ、手が見えない ( ^ ^ ; 。すごいテクニシャンだけど、やたらストロークが多いので、もうちょっと弾いてくれるとよかったんだけど…。

●上々颱風 七夕コンサート(7月7日新宿花園神社)
 先日のシアターLIVEの反動でしょうか? なんだか音の選曲もバランスが悪い(よな)。ダウントゥアースな曲が続いて上々らしい軽やかさに欠けていたよーな…。

●上々颱風 シアターLIVE!「早苗響」(5月29日三軒茶屋パブリックシアター)
 私の中の評価では、「今だかつてライブで楽しませてもらわなっかったことのないバンド」シャンシャンが、本格的に「芝居」をステージ演出として取り込んだコンサート。エミちゃんの別キャラ「ハリセンローズ」や紙芝居屋のオヤジ・紅龍などハマりにハマったステージは楽しさ一杯。「メトロに乗って浅草へ」「平和が戦車でやって来るなど」など、時代を先駆していたかのような曲も輝きを増していたような。もちろんこの日も私の中での評価は変わらず。

●梅津和時KIKI BAND(5月4日新宿ピットイン)
 梅津(S)率いる怒濤のカルテット。早川岳晴のベースもブンブン唸るが、やはり目と耳はつい鬼怒無月のギターに。熱演、力演のなかでもの足りないと言えば、新井田耕造のドラムか(このバンドにはもっとタイトなドラムが合っていると思うが…(例えば山木秀夫とか)。

●ピッピ隊音楽部(1月30日高円寺だちびん)
 友人に誘われて足を運んだ沖縄飲み屋での飛び入りライブ。ピアニカや簡単なパーカッション、コーラスの沖縄出身4人組で、とりわけ沖縄色を出しているわけではないが生楽器を生かした楽しい演奏。プロらしくないところが、ファンにはたまらないのだろうが、聞き手を選ぶようなアマチュアぽさがちょっと残念。

●井上鑑・やまがたすみこDUO CONCERT(1月19日南青山マンダラ)
 キーボード・プレーヤー&アレンジャーとして知られる井上氏とそのパートナーであり(なんとこの日が結婚25周年記念日とか!)、シンガーソングライターのすみこ女史による夫婦コンサート。まず井上バンド(g 斉藤正樹、b 高水健児、ds 山木秀夫、vl 金子飛鳥)によるプログレ・インプロゼーションに驚かされる。山木のドラムスのソリッドなこと! そんでもってやまがたサンの往年の声も健在。ディランの「時代は変わる」、ジョニ・ミッチェルの「BI G YELLOW TAXI」の大胆なアレンジも耳に残る楽しくも不思議(タイムスリップしたよう)な一夜。


【演劇・パフォーマンス】

●劇団1980「現代頓服談 いまばなしとんぷくだん」(9月9日三軒茶屋シアタートラム)
 経営の傾いた老舗の薬屋を舞台にしたドタバタ家族劇かと思いきや、後半は急転し日本の過去の歴史を暴くシリアス劇に。舞台演出も含めて、芝居でしか味わえないドラマツルギー。

●THE ガジラ「八月の狩」(9月2日下北沢ザ・スズナリ)
 朝鮮戦争を題材にしたシリアスなドラマ。原作となった井上光晴の同名小説ならびに『他国の死』を読んでいなかったばかりか、住民の大量虐殺、細菌兵器、そして日本人がこの戦争に参加していたことも知らなかった(!)。不明を恥じるのみ…。だが、例えば井手洋ニならこの題材をもう少しうまく料理したのではないか、とも思う。

●ふるさときゃらばん「森と川と水源地のものがたり リバーヘッド」(8月3日大宮ソニックシティ)
 あまりにお勉強なストーリー展開と萎えるキャラ(カッパだぞ)に最初はどうなるかと思ったが、転換の早さと小道具を上手く使った演出で、徐々に「ふるきゃら」らしさが。雑多な内容をなんとかうまくまとめてクリア… ( ^ ^ ; 。うん?楽団のドラマーは上手いゾ。(それにしても「ふるきゃら」はダム推進派なのか!?)

●タコあし電源「阪神淡路大震災。」(8月2日中野劇場MOMO)
 自身が被災した同劇団主宰・岡本貴也が、震災から10余年を経て放つ「阪神淡路大震災を真っ向から描いた世界で最初のドラマ」。綿密の取材を経て紡いだ舞台は、濃密でスキがない。その演出力と作品のチカラは注目していいかも。

●見世物芝居二題「こい」「榎物語」(3月21日下北沢OFOFシアター)
 劇団1980の看板役者・柴田義之氏と劇団制作の映画で音楽を担当したジャズドラマー古澤良次郎さんによる一人芝居のコラボ。永井荷風作の「榎物語」は舞台上に置かれたさまざまなパーカョション(?)=音の出る物を配し、古澤の特技(?)とキャラを活かした芝居に、「こい」は柴田の味とコクと劇歴(?)を活かした芝居に、それぞれ仕上がっていた(ちょっと古クサイけど)。

●燐光群「だるまさんがころんだ」(3月4日下北沢ザ・スズナリ)
 自衛隊のクラク派兵もからめた「地雷」をテーマにした寓話劇。ちょうちょ地雷にジュンプ型地雷、アンティタンク型地雷といった「地雷うんちく」に始まり、世界中に1億数千個の地雷が埋められ、毎日70人がその犠牲になり、撤去には1000年かかること…などが劇中で次々と語られ、演じられていく。その学習成果と構成力は見事としか言いようがないが、後半はなんだかファンタジーでした。 ( ^ ^ ;


【芸能・演芸】

●てやん亭「特集!!東京男女漫才」(9月23日三軒茶屋シアタートラム)
 タイトル通りの男女漫才の5組の競演。浪曲父娘漫才の「さがみ良太・いずみ」は実質この日が本格デビュー。なので、これから父娘という珍しいコンビネーション芸を磨いてほしいもの。ほのぼの夫婦漫才の「新山ひでや・やすこ」はオーラスの“離婚披露宴”の畳み掛けが見事。女性上位夫婦漫才の「大空遊平・かほり」はスピード感が持ち味。客が若ければもっと涌いたのに…。おとぼけ夫婦漫才の「東 京太・ゆめ子」は京太のおとぼけが堂に入っている。環境問題のネタを額から流れる汗をぬぐいながら、自身の汗かき体質にオトしていったのは流石。そして、トリを飾ったのはもはや舞台に立っているだけで、金がとれる名人芸「あしたひろし・順子」。芸歴を重ねた熟年おとぼけ芸で、たっぷり笑わせてもらいました。

●つ花連の会「江戸の落語」(8月31日新宿末広亭)
 江戸雑俳を愛好する噺家たちが主宰した会。客席から「名人!」の声がかかった柳家さん喬、手堅い五街道雲助、飄々とした柳家小えんら、中堅〜ベテランが並ぶ。が、喬太郎、昇太、新潟ら、上手さと勢いを兼ね備えた若手勢と比べてしまうと…。落語の合間につばな連による雑俳「大喜利」、津軽三味線の太田家元久郎、俗曲の柳家小菊などが、適度なアクセントとなり、楽しめたのは寄席ならではか。

●第7回諸芸往来会(7月13日深川江戸資料館)
 宝井3兄弟(琴柳、琴星、琴調)の「読み競べ」とチラシにあるが、その通り三者三様の味が楽しめた講談の会。端正な琴調さん、飄々した芸風の琴星さん、そして啖呵の冴えた講釈師らしい講釈師、琴柳さん。が、3者とももう少し型を壊してもいいのでは、という気も。ゲストのハリセン・ローズこと白崎映美は、可笑しいというより無気味…。 ( ^ ^ ;

●上方落語の世界へご案内(7月3日府中の森劇場)
 上方落語から桂春団治、桂つく枝、、そして三味線漫談の内海英華ら。春団治の「皿屋敷」は以前、昇太で、つく枝の「青菜」はたい平という若い演者で聴いているので、つい比較してしまう。春団治の枯れた関西弁べれんめえやつく枝のまっすぐ芸もいいが、ここではやはり勢いのある江戸の若手のイキのよさ、ケレンに軍配を上げたい。ほかに柳亭市馬の「寝床」、英華姉さんって、スゴく三味線が上手くない!? 「東西寄席囃子くらべ」はなかなか聴けない企画で楽しめ、かつ勉強になりました。
 
 

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