鍾馗博物館”へようこそ!

 当館では日本各地で見られる、瓦製の「鍾馗(しょうき)さん」を紹介します。


◆鍾馗とは?

京都では、通りに面した一階の屋根(小屋根)に置かれることが多く、他の地域と比べて鍾馗さんを間近で見ることができる

街角で、こんな感じの鍾馗さんを見かけたことがあるでしょうか。

鍾馗を魔除けとして屋根におく風習が、関西地方を中心に残されています。

中国、唐の玄宗皇帝が悪夢に悩まされていたところ、夢枕に現れて
魔物を退治してくれたとの伝説から、 道教の守り神として信仰を集めてきたとのことです。

日本にもかなり古くに伝わったようですが、瓦で鍾馗さんを作るようになったのは
一般の民家に瓦が普及し始めた19世紀始め頃らしく、それほど古いことではなさそうです。

  鍾馗(Wikipedia)
  洛中洛外の鍾馗 私の師匠のホームページです。瓦鍾馗の歴史についてはこちら。


◆鍾馗の魅力


2005年夏、早朝の京都産寧坂を散歩していて、両側に並ぶ町屋や商店に軒並み鍾馗さんが
あげられていることに気づいて以来、各地を歩き回って鍾馗さんを撮影し、記録しています。

ほとんど注目されることもない鍾馗さんですが、写真を集めて見比べてみると、
素朴なの、精緻なの、かわいらしいの、不気味なのといろんな鍾馗さんが見つかります。
特に古いものは、各地の零細な瓦屋の職人が見よう見真似で手作りで作ったと
思われるものが多く、何とも楽しい鍾馗さんが各地で見つかりいます。

奈良県河合町の鍾馗さん

何故か刀を差しています。
台座の形状から、元々は建替えられる前の家の棟瓦に乗っていたと推定されます。
家は新しくなりましたが、鍾馗さんは破棄されることなく生き延びることが出来た、運の強い鍾馗さん。

詳しくはこちら

暑い日も寒い日も週末は鍾馗さんを求めて出歩いているため、
7年で歩いた距離は10,000kを超え、年がら年中顔は真っ黒(^^;

見つけた鍾馗さんは1万体を超え、まだまだ見つかりそうです。


◆鍾馗の魅力
(管理人が実見した鍾馗さんの他、情報提供いただいた鍾馗さんもプロットしています)

(画像クリックで拡大します)


京都、奈良を中心に、大阪、滋賀、三重、愛知の各府県で多く見られます。

これまでに自分で確認したのは東から
 栃木、埼玉、東京、神奈川、静岡、長野、石川、福井、岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、奈良、和歌山、大阪、兵庫、岡山、鳥取、徳島、福岡、佐賀、宮崎
他に情報があるのは、
 秋田、群馬、千葉、山梨、香川、愛媛、大分


◆鍾馗の現状

鍾馗さんを取り巻く現状には非常に厳しいものがあります。
私が関心を持ったこの7年の間にも数多くの鍾馗さんが失われました。

寺院などであればともかく、民家に置かれる性格上、古い鍾馗さんは残りにくい宿命にあります。

もともと美術品ではなく、縁起物としての扱いですので、家に災厄があると古い鍾馗さんは破棄して
新しいものに取り替えるそうです。

瓦は重量があるためか、かつては日本各地に瓦屋が存在し、地元で使う瓦をまかなっていたらしく、結果、鍾馗さん

も地方色豊かで、鬼師(鬼瓦専門の瓦職人) や素人同然の職人さんが製作した個性的な「鍾馗さん」が今でもそこここに残されています。 しかしそういった零細な瓦屋さんも淘汰され、近年では個性的な鍾馗さんが産み出される背景は失われています。

古い家の場合、先代が建てた場合もあり、私が写真を撮っているのを見て、初めて自分の家に鍾馗さんがいることに気がついた、という方が少なからずいらっ しゃいます。
建替えの時には省みられることもなく、棲家と運命を共にする鍾馗さんは数知れないことでしょう。