ATTENTION:ネタバレ内容が含まれていますので、未見の方はご注意ください。
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【大英雄】


原題「東成西就」 1993年 香港作品
製作・総指揮:ウォン・カーウァイ
監督:ジェフ・ラウ
アクション監督:サモ・ハン・キンポー
 


定価:4,935円(税込)
時間:117分
音声:北京語
字幕:日本語
特典映像:オリジナル予告、「紅樓春上春」国内発売告知
 
レビュー
(愛をこめて)

ドタバタ活劇と言っておきましょう。あらすじを書こうにも、どうやったらうまくまとまるか・・・誰か教えて(笑)
金輪国を乗っ取ろうと画策する王妃とオウヤン vs 王女&強(くて面白)い仲間たち っていう大きなグループに分けられますが
それぞれの人物が絶妙なタイミングで関わりあっていて、一言では言ってしまえない関係です。
最初のうちは「はぁ?」と思うかもしれません。が!本当に最初だけ。後半に向けて一気に巻き返すこと間違いなしです。
一度見てしまえば、きっとアナタも【大英雄】の底なしの魅力にはまってしまう事請け合い。
こういう思い切りのいいハチャメチャな作品を名実ともに一流のスターたちが演じるってのは日本では考えられません。
それだけに面白さも半端じゃない。香港映画のきらめくスターたちが、驚くほどの怪演を見せています。


まずはヤオシ(レスリー・チャン)
好きな人には振り向いてもらえず、思いもかけない人からは追い掛け回される。
ここに出てくる人たちはみなそうなのですが、ヤオシもまたその一人です。
キラキラした二枚目ではないのですが、レスリーの可愛さはある意味女性陣をしのぐかもしれません(笑)
冒頭の“流し目拳”は強烈です。それ以上に強烈なのは、やはりタン様とのデュエットでしょうか。
ここで歌う歌はレスリーの詩だそうで(クレジットを睨み何度も確認)、こんなステキなこともやっちゃう人だったなんて〜
私はヤオシの泣き顔がとっても好きです。可愛すぎるよー。
「ウォ アイ ニィ(漢字が出なかった)」って言うときの横顔も好き。(私にも言ってみてくれ←バカ)
百面相のこどくクルクルと表情が変わって顔の筋肉が柔らかいのねぇ。(そっちかよ)
今まで見てきたレスリーの役からは想像もつかない壊れっぷりにクラッときました。

諸悪の根源オウヤン(トニー・レオン)
人物紹介のアイコンを作るために何度も映像を見直していたけど、カッコいい顔がなかった・・・
そもそもカッコいいシーンなんてあったっけ?っていうくらい、最初から最後まで
通しておバカをやってくれました。
私のイメージにあるトニー・レオンからはかけ離れた役に、最初「この人誰?」って思ったのですが、それは最初の一瞬だけ。
(面白いところばっかりの)見せ場が多くて、ホンチとの死闘は腹がよじれるほど笑わせてもらいました。
悪役なんだけど愛すべきキャラクターで、この役をとことんヘボヘボに演じてこそ喜劇となり得る作品だと思うので
トニーのわが身を省みない怪演にはMVPを差し上げたい。

そして私のお気に入りタン様(レオン・カーフェイ)。←“様”つけちゃう(ポッ)
「ラマン」と全然違うじゃんかぁ。どっちがホント?(こっちがホントだと言われたら・・・ちょっと嬉しいかも・笑)
この人の可愛さはこれまた格別です。登場からしてズッコケ。いでたちもどこの国の人?って思うワケのわかんない人なんですけど
実はとっても身分の高い人なのです。金輪国の第三王女と婚約してるのですがそんなことお構いなし。
仙人になるために「666」を持つ運命の人を探して暴走します。
DVDは北京語に吹替えなので、本人の声じゃないのに、ホントはこんな声の人なんじゃないかと思ってしまうようなキャラです。
見せ掛けはそんなおバカなタン様ですけど、結構強い。
ヤオシとホンチとのカンフーバトルはこの映画でまともに闘ってる唯一のシーンかもしれません。
タン様のヤオシ誘惑シーンは、見れば見るほど可愛らしくなってきます。皆様にもタン様マジックにかかってほしいです。

強いのに恋愛にはとっても奥手なホンチ(ジャッキー・チュン)
従妹(ジョイ・ウォン)と結婚しようと意気揚々とやってきたのに、出逢い端から「田舎モノ」「ブサイク」と散々言われ
凹んじゃって自殺する。だけど強すぎて自分から死ぬことができない(自己防衛能力が働くのだとか・・・)ことが彼を悩ませる。
だけどそのお陰でオウヤンと行動を共にしていくうち、二人の間には友情らしきものが芽生えたり(笑)
最後にはハッピーエンドが迎えられるわけで、強くてヨカッタよね〜。ホンチ。
見せ場はオウヤンとの闘いだけじゃありません。
愛する従妹どのに男らしく?求愛する歌(ウィリアム・テル序曲)のシーンは、「そーきたかぁ」ってほどのコテコテぶりだけど
ジョイ・ウォンならずとも「やっぱりキライ〜(泣)」って言いながらちょっと「いいかも・・」と思っちゃうのでは。。
この映画の主題歌は彼が歌っています。♪ええ声〜(関西ローカルでスミマセン)です。

ヤオシ最愛の人である金輪国の第三王女(ブリジット・リン)
本人は武術の達人だと思っているのですが、かける技はいつも失敗ばかり。
本当はヤオシのことを頼りにしているのに、タン様を追いかけてそれがヤオシを悩ませる。
九宮山へ向かう途中、ある男に会ったためこれまたややこしい勘違いを受けてしまいます。
技をかけるときのブリジット・リンの表情が笑えます。美人なのに〜
最初の衣装を着てるシーンはちょっと宝塚調と言いますか、凛々しいです。
チョウを慰めるため兄弟子のフリをしたり、タン様がホモだったとショックを受けたり、忙しい王女さまですが
ラストはヤオシとハッピーエンド。ヨカッタヨカッタ。ヤオシをモンスターから守ってあげてネ。

ヤオシの可愛い妹弟子(ジョイ・ウォン)
最愛の兄弟子を王女に取られたと思い込み二人を追いかるのですが、途中思いもかけず従兄だというホンチに出会います。
突然「結婚してくれ〜」って言われちゃうんだけど彼女はヤオシが大好きなので軽くあしらう。傷つくホンチ。
だんだんとホンチのことを好きになっていくんだけど、それを手助けしてくれるのがヤオシ。(優しい兄弟子です)
ラストの乱闘シーンでは笑える流し目拳を見せてくれます。シナを作った動きが独特な感じ。
「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のスー・シンも好きだったけど私はこっちの方が好きかな。
ホンチから求愛されるシーンでは本気で爆笑してるんだと思うなぁ。ジョイ・ウォンの可愛さが炸裂。

金輪国お抱えの占い師(マギー・チャン)
王妃から飲まされた大ムカデに悩まされて言いなりになってしまう。
そして彼女の仕返しはカニ!なんだよそれ〜(泣笑)
変なグッズをいっぱい持ってるのは占い師だから?王妃&オウヤンとの太鼓対決は必見。
占い師なのにすごく強いのもこれまた謎。面白い人だわ・・・
日本の芸能界でやるならば、この人は是非とも萬田久子さまにやっていただきたいと思う。

兄弟子の帰りを健気に(?!)待っているチョウ(カリーナ・ラウ)
イタイ・・・イタイです。このイタさが可愛いです。
一途に兄弟子を慕うあまり、彼(女優さんがやってるけど男です)は思いもよらない行動に出ます。
男好きなのにヤオシには興味ないのかぁ。。。残念。(え?)
カリーナ・ラウって美人なのに、こんなに崩しちゃってもいいのかしら。と心配になったりしますが。
他の女優さんはキラキラのキレイな衣装を着てるのに、彼女はグレーのモコモコ服。
でもラストは愛する兄弟子と結ばれてヨカッタねぇ。お幸せに〜(3人の弟弟子はどうなるのかな)

金輪国を我が物にしようと企む王妃(ベロニカ・イップ)
すっごいアホアホぶりです。キレイな人だけにそのギャップに笑っちゃいます。
こういう役好きだなぁ。タイプは違うんだけど「ハウ・トゥー・サクシード」のヘディ・ラルーのような憎めない可愛さがあります。
この人も表情豊かで、(他の女優さんもだけど) 日本人女優にはない変化振りが見ていてとても気持ちよいです。
得意技?は大ムカデを使って宮廷の人々を操ること。カンフーもなかなか強い女性です。
一人でラスベガスのショースターのような煌びやかな衣装を着ています。
日本人でこの役をやるとしたら、杉本彩さんでしょうかね。

チョウの愛する兄弟子(ケニー・ビー)
出てきた途端死んじゃいます。その死に方が実に情けない。
変な人なのかカッコいい人なのかよくわからない人ですが、(チョウが好きなんだからたぶんヘンな人だと思う)
要所要所で(幻想として)登場するのでとても美味しい役どころです。
 
「大英雄」な人々
マウスオンプリーズ
ヤオシ(レスリー・チャン) 王女(ブリジット・リン)
九宮山で修行している若者。
とっても強いのだけど、とっても怖がり。
師匠を訪ねてきた金輪国の王女に一目惚れ。
以来、一途に王女に尽くす純情可憐な青年。
「666」の文字を持っていたために、
ややこしいことに巻き込まれてしまう。
得意技は指神弾、流し目拳。
金輪国の王女。自称武術の達人?!
ヤオシとは師匠が同じで、国を乗っ取った
オウヤンを倒すためヤオシと共に経典を探す
旅に出る。チョウから兄弟子の仇と
追いかけられていたはずなのに、
だんだん兄弟子本人と思い込まれる羽目に。
タン様と婚約しているが・・・
オウヤン(トニー・レオン) 妹弟子(ジョイ・ウォン)
金輪国を乗っ取るべく従姉の王妃と結託する。
王女を追いかけている途中ホンチに見入られ
散々な目に…憐れ(合掌)
モンスターたちからはアヒルと呼ばれ愛され、最後までとことんやられっぱなしの憎めない悪人。得技はガマ心術と♪イーアイ イーアイ オー
ヤオシと流し目拳を稽古中に王女と出会う。
恋人をを取られたと王女たちを追いかける途中従兄のホンチに求愛されちゃった。
イヤよイヤよも好きのうち。
とってもやきもちやきだけどヤオシにとっては
可愛い妹。
タン様(レオン・カーフェイ) 占い師(マギー・チャン)
仙人になりたい一心で胸に「666」の文字を持つ運命の恋人を探す旅に出る。
やっと見つけた恋人はなんと男だった!
「愛してる」を言わせるためあらゆる行動に出るタン様の執念が勝ち見事無敵の仙人に。
美味しいところを掻っ攫っていく、
まるで水戸黄門のような人物である。
金輪国の占い師。
王妃に大ムカデを飲まされて言いなりになっているが反撃のチャンスを窺がっている。
飛行靴やらナンやら。。。妖しげな逸品の持ち主。
ホンチ(ジャッキー・チュン) チョウ(カリーナ・ラウ)
従妹にふられ生きていけないと自殺を図るが
あまりに強すぎて自分から死ぬことができない。
自分を殺してくれるヤツに白羽の矢を立てたのがなんとオウヤン。二人の死闘(?!)は抱腹絶倒。従妹への求愛ソングも最高に可愛いので必見ですぞ。
全心経の教徒。兄弟子を心から慕っている。
修行から戻ってくるはずの兄弟子が殺された!犯人は兄弟子を探しにきた時にすれ違った王女だと勘違いし王女を追いかける。
その途中タン様と運命的に出逢う。
兄弟子を思いながらも揺れる男心(笑)
兄弟子(ケニー・ビー) 王妃(ベロニカ・イップ)
修行から戻る途中、オウヤンの火を噴いた飛行靴が頭に刺さり不慮の死を遂げる。
死ぬ間際、通りかかった王女に「チョウに渡してくれ」と自分の服を託す。
登場してすぐ死んでしまうがとても美味しい人である。
金輪国を我がモノにしようと愛人でもある
オウヤンとタッグを組む。
大ムカデを使って宮廷中の人間を意のままに操り、彼女とオウヤン、占い師3人の太鼓対決はまさにおバカの極みでとても楽しい。
私が役者なら、この役を一番やってみたい。